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映画を追跡コミュの「リトル・ミス・サンシャイン」鑑賞記

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「リトル・ミス・サンシャイン」(2006米)

監督:ジョナサン・ディトン、ヴァレリー・ファリス
脚本:マイケル・アーント
出演:グレッグ・キニア/トニー・コレット/スティーヴ・カレル/アラン・アーキン/アビゲイル・ブレスリン


小品ながら注目され、本年度アカデミー賞において作品賞、脚本賞、助演男優賞(アラン・アーキン)、助演女優賞(アビゲイル・ブレスリン)でノミネートされています。近頃のアカデミーは「ミリオンダラー・ベイビー」が受賞したり、「サイドウェイ」がノミネートされたりと、膨大な製作費を投じて作った派手な映画が受賞するという傾向にはありません。この作品のノミネートもそういった傾向を反映していると言えるのではないでしょうか。

話は家族の崩壊と再生をコメディ・タッチで描いています。80年代以降、例えば「普通の人々」や「クレイマー、クレイマー」などで描かれてきた最早ありきたりのテーマなのでしょうが、この映画には過去の映画に見られるような重苦しさややりきれなさはなく、はちゃめちゃな家族が右往左往する様はむしろ日本映画の「家族ゲーム」を見ているようでした。

この一家はヘンテコです。
父親リチャード(グレッグ・キニア)は「9段階プロジェクト」という胡散臭い成功への道を説くセミナーを開発し、業者に日々売り込んでいるが、人に勝ちをけしかける割には自分は成功から程遠い人生を歩んでいる。その父親(アラン・アーキン)は退役軍人で、ヤクが手放せないし、女癖が悪いので老人ホームを追い出される始末。長男はそんな家族に嫌気がさし、口を閉ざしてしまった。パイロットになるという目標だけを支えに、ニーチェ思想にのめり込みながらどうにか日々を生きている。母親シェリル(トニー・コレット)の頭痛の種は消えない。そんなある日実兄フランク(スティーヴ・カレル)が失恋のショックから自殺未遂を起こし、彼の面倒も見る羽目になってしまうのだった。しかし、そんな時末娘オリーブ(アビゲイル・ブレスリン)が繰上げで地区大会一位となり、なんと全米の美少女コンテスト(リトル・ミス・サンシャイン)に出場できることがわかり、フランクを1人にするわけにもいかないので、この6人全員ではるばるロサンゼルスのコンテスト会場までワゴンバスに乗って移動する道中を描く。


面白いです。登場人物それぞれが背負っているエピソードが均等に散りばめられるように脚本が作られているので、飽きないんですね。父親の話に飽きてきたところで話が叔父フランクの話に上手く移り変わる。ミスコンだけに話は終始せず、それぞれが自分の挫折とどう折り合いをつけていくかという過程がしっかりと描かれています。初めは、母と娘と祖父だけのものであったミスコンが次第に全員にとっての目標となり、時間ギリギリに会場に着いた途端、どうにかエントリーさせるために今まで失恋のショックから鬱状態にあった叔父が誰よりも早く駆け出すシーンがとても良かった。

上手い設定だなと思ったのが、この叔父フランクが「プルースト学者」だということ。私などプルーストだなんて難解中の難解な文学という認識しかなかったのですが(映画版「失われた時を求めて」は理解できずに劇場を出た記憶があります)、このフランクが、ふとしたことで落ち込んでいる兄をこうやって慰めるシーンがあるんです。

「プルーストだなんて10代は片想いを続け、結局報われなかった。その経験を元に20年かけて一作の小説を書いただけさ。要は負け組みの男だよ。でも、若い時期に苦しんだからこそ彼は成功できた。だから若い時期を無駄に過ごすんじゃない」

このフランクという人物の設定がとても良かったと思います。

「俺は全米で2番目に偉いプルースト学者なんだ」

なぜ二番目なのか??
ここに彼のやるせない胸中が集約されているのですが、その答えを知りたい方は是非劇場に行ってこの6人たちの旅を見ていただきたいと思います。

ただ、クライマックスのミスコンのシーンには私はちょっと感心できませんでした。あれじゃ苦労して会場にきた意味がないのでは・・・?しかし、家族が希望を取り戻すことを描くことには成功しています。

(★★★★☆)


<補足>
アカデミー賞予想
アラン・アーキンは助演男優賞取る可能性、濃厚だと思いますが、どうでしょう。助演女優賞はアビゲイルはとっても可愛い女の子で久々に子どもらしい子役が出てきて私は好きですけれど、「ピアノ・レッスン」のアンナ・パキンは怪物並みに上手かったことを思い出しました。助演女優賞は「ドリームガールズ」のジェニファー・ハドソンが取るのではないでしょうか。

作品・脚本を取るとは思いませんが、アカデミー会員というのは受賞作を全部見ているわけではないらしいので、その場の会場の雰囲気などで決まってしまう面もあるのでしょう。私は作品賞は「バベル」に取って欲しいなと思っていますが、私の予想は毎度当たりません。

コメント(2)

ボクは「ドリーム・ガールズ」の一人勝ちかと思ったんですが、「作品賞」にノミネートされてないでしょ。

昨年が苦しい人種問題を扱った「クラッシュ」ですからね。今年はエンタテインメント重視みたいに思いました。
>北京波さん
「ドリーム・ガールズ」はこれぞハリウッドという映画で、こういう作品が作品賞を取るべきだと思っていたのですが、作品賞にノミネートされていないのですね。

やっぱりアカデミーはなぜか明るい作品を作品賞に選ぶことを避けている気がしますね。ここ2,3年は特にそういう気がします。

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