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ものがたろうコミュの結婚式のカクテル(カクテル番外編【ミモザ】

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スッと音もなく扉が開き、姿を現したのは腕を組んだ中年の男性と二十代後半の女性。

ふたりは厳かな顔もちで、私を含め大勢が見守る中をゆっくりと歩いていく。
女性のドレスが長いので、その裾を持ってトコトコと後を追う子が可愛くて、私は思わず笑いかけてしまった。

その間も歩を進めていたふたりは小さな階段の前で立ち止まり、組んでいた腕を名残惜しげに離す。
そして階段の上で待っていた男性のもとへ、女性だけが歩いていく。

純白のドレスと青銀のタキシードが神様の後光を受けて美しく輝いていた。




「綺麗だったなー、恵さん!隆さんもかっこよかったね!」

ホワイトデーに知り合った大崎 隆さん、恵さんの結婚式に急遽お呼ばれした私は、その素晴らしさにあてられてちょっと興奮気味になっているかもしれない。
だって、本当に綺麗だった!恵さんのプロポーションをぐっと引き立てるマーメイドラインのウエディングドレスは、出席した他のご友人達も思わず溜息がでるほどの美しさだった、と絶賛だった。

「そうですね、いかにもあの二人らしい結婚式でした」

隆さんは着慣れないタキシードにずっと戸惑っていて、キャンドルサービスの時にパティシエの格好で出れば良かったですよ、と言って苦笑していた。
ウエディングドレスを着る私としては気持ちはわからなくもないけれど、確かに白い服だけど絶対にそれはダメだと思う。
何より、恵さんが許さないわよね。

「でも、隆さんが指輪を落っことしちゃったときはびっくりしたなぁ…」

「僕は恵さんが落下していく指輪を地面につく前にキャッチしたことにびっくりしましたよ」

指輪の交換の時、緊張からか震える指先で指輪を摘み上げた隆さんは、なんと恵さんに指輪をつけてあげる前に落としてしまった。
きっとその場の全員が息を飲んだに違いない瞬間だったけど、恵さんはとっさに屈み込んで手を伸ばし、見事に指輪は救出された。

万雷の拍手が鳴り響く中、出席者に向けて優雅に微笑んだ恵さんは隆さんにもう一度指輪を預け、無事に指輪の交換は終えられた。
私と優人さんの結婚式ではきっとないだろうけど、もしあったとしたら私にはとてもじゃないけどできそうにない。

「でも、隆さんはあれで開き直れたみたいだったね!」

「そうですね。ご自分で用意されたウエディングケーキは見事でしたし、ケーキカットの時には幾らか余裕も見れましたし」

さすが『モン・サン・ミッシェル』のチーフパティシェ、隆さんは豪華なウエディングケーキを自分の手で作り上げたそうだ。
そのために隆さんは朝四時に式場のキッチンを借りて準備したらしい。
…ケーキカットの時の淋しそうな顔はきっと気のせいだと思う。

「優人さんも、今日はお疲れ様でした!」

「ええ、ありがとうございます」

にっこり笑って優人さんを労うと、優人さんも微笑みで返してくれる。
優人さんはホワイトデーの時に交わした約束通り、ウェルカムカクテルを振舞っていた。
恵さんのご友人のうち何人かが頬を染めていたけれど、これもきっと気のせいだ。

「どうしました?」

不思議そうな顔をした優人さんがこちらをのぞきこんでくる。
もしかしたら顔に出ていたのかな?

「ううん、なんでもないよ。ちょっと嫉妬しただけ」

「嫉妬?」

「うん。だって優人さん、相変わらずモテモテなんだもん」

ちょっと意地悪がしたくなって、早歩きで少し先を行く。
ドレスの裾がひらひらと舞って、川が乱反射した夕日とダンスしているみたいだ。

「そのモテモテな人を虜にしているのは、真理奈さんでしょう?」

すぐ横に追いついた優人さんは困った顔をしながら、

「次は僕達の番ですね」

と言って、私の左手に握られたブーケを指差す。
スーツ姿の優人さんは普段の三割り増しでかっこいい。

私はうん!、と元気よく返事をして、空いている右手を優人さんの左手にそっと絡ませる。

「ね、そういえば、ウェルカムカクテルの名前はなんていうの?」

唐突な質問に優人さんはそういえば教えてませんでしたね、と言って頭をかいた。

「あのカクテルはミモザ、と言います。お二人の好きな花がミモザだそうですよ。それに、」

優人さんは笑みを深くして、わたしに向き直って続けた。

「ミモザの花言葉は、真実の愛、ですから」

コメント(6)

結婚式ですねぇ。まだ本人達じゃないけど。教会はお父さんと腕組んで歩けるんだよね〜。やば、考えただけで泣けそうだ。パティシェ姿の花婿さんは駄目かしら?素敵そうだけどなぁ〜。ん?バーテン姿もいいかも(駄目?)指輪のくだりがお二人らしくて和みます。どんなケーキを作ったのか、気になる…
「そのモテモテな〜」の台詞上手いなぁ。やっぱりヤられます(笑)ミモザってなんか好きです。音の響きもいいし。いやぁ、本人達の結婚式も楽しみ。親の気分で泣けちゃうかも…
>「そのモテモテな人を虜にしているのは、真理奈さんでしょう?」

くひょ〜言ってくれますねぇ船岡さんってば、(〃゚д゚;A 
それがまた嫌味でないところが、彼らしいんだけど手(チョキ)

>優人さんは笑みを深くして、わたしに向き直って続けた。

>「ミモザの花言葉は、真実の愛、ですから」

なんか感動〜揺れるハートぴかぴか(新しい)

ミモザは私も好きな花のひとつなんだけど
花言葉は「真実の愛」だったのか〜電球

でも花婿さんの落っことした指輪を指輪
ハッシとキャッチする花嫁という
シチュエーションはいいですよ!
本当にあった話だったりしてexclamation & question
返事が遅くなってごめんなさい orz
感想ありがとうございます!!


おかんのもとさん
自分の結婚式を思い出しながら書いてましたw
パティシエ姿も面白いんですが、恵の性格と隆の性格を考えると難しいかな?、と。
指輪のとこでこれからの生活が容易に予想できますよねw
隆は尻に敷かれるタイプですww
ケーキは二段になっているオーソドックスなもので、てっぺんには東京タワーの前で互いに手を握って見つめ合うふたり(『決められない男』参照)が飴細工で作られています。

次はいよいよ、本人たちの結婚式。
華美にならないよう、質素にならないよう、頑張ります!


pawさん
言葉回しと決めどころを外さないのが船岡さんですw
ミモザはアルコール度数が低いし、シャンパングラスに入れても映えるので良いかな?と思って選びました。
花言葉は、たまたま同名の花があったことを思い出して加えた、ともすれば後付けのようなものでした(苦笑
さすがに落とした指輪をキャッチ!ってのは聞きませんが、緊張から落としてしまった、ってのはよくある話みたいですよw

俺はキッチリ決めましたのでご安心をw
ももどんさん

感想ありがとうございますー

真理奈さんは感情表現が豊かな人で、このあたりは船岡さんとの対比も兼ねてます。
船岡さんは『微笑む』ことが多い代わりに他の表現が極端に少ないので、真理奈さんに補ってもらってます。

最後のセリフはもうね、アンタどこまで惚れさせたいんだ、とwww
真理奈さんがいるから、という理由で(実際には他にも諸々ありますが)ホテルバーの件を断ったように、船岡さんは意外と独占欲が強いから、いつでも自分を見ていてもらえるようにきっと毎日のように口説いてますね。

恵と隆は素晴らしいバランスでくっついてます。
勝負事に強く、何でもこなせる恵だけど、何かとダメな隆にベタ惚れ。けして別れようなんて考えません。
それは、隆が常に自分のペースを崩さずに支えてくれているから。
隆がいなかったら、恵はダメになる。離れられないのは恵の方なんです。


えー…タキシードの色は、俺が着たものと同じですww
立ち位置はそれを意識したものではないけれど、なんとなく決めちゃいましたwww

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