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Faire le Château Kisvinコミュの読む『ワインの個性』

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おっくーさんからせっかく借りたので
読んで感じたこと気づいたことをあげていこうと思います。
ちょっとずつコメント欄にトピックを追加していきます。

まずは第2章『気候』のところ
p91 日照と風の項
>「6月の開花・結実によって収量が決まるのに対し、ワインの質は8月の日照にかかっている」

さらに突っ込むと、おそらく受粉効率と受精効率がかなり絡んでくるはずです。この辺は園芸学会でもブラックボックスな部分なんですが、たいていの作物はりっぱな大きさの花由来の花粉を遅くても朝の10頃までに授粉しないといい果実がとれません。したがって、自家受粉なブドウさんも同じはずで、朝方の受粉効率が問題になります。午前中の蒸散が進んで、植物体内の水ポテンシャルが低下することが関係しているのではないかと言われています。下にも出てきますが、風が強すぎると花粉のロスが多くなってしまいます。

P92
>(風が)過剰な場合は受粉を妨げて結実量を減らしてしまったり(ここまではOK)、葉の熱を奪って光合成を減速させることがあります。寒冷なドイツの畑では葡萄畑の熱が風でさらわれるのを嫌い、畝を風の方向に対して直角に設けるのが一般的です。

 ドイツの気象に関する情報です。
http://euroassist.de/germany/weather.htm
確かに、光合成は葉中の細胞内で酵素反応が起こっていますので適度に温度がないと光合成速度は気象要因(日射、大気湿度等)に対して早い段階で律速してしまいます。低温乾燥な気象環境であるため、風により気孔からの蒸散量が増えることになります。葉温とからめた風速とブドウの気孔開度のデータをみたことはありませんが(探してみます)、ある程度不都合な風速になるとブドウも馬鹿ではないので気孔を閉じて葉温の損失を防ぐはずです。本の中のこのセンテンスは正しい知識がないと、『そうか、風で葉温が下がるといけないんだな?』と勘違いする人がでかねません。ちがいますよ〜。一概に言える話ではなくて、あくまでも環境によってはという話なんです。

P92 マイクロクライメイト
 ここではマイクロクライメイトではなくてメソクライメイトというのが正しい用語であると力説されています。
え〜、まあ、難しいとこですね〜。海外では書かれているとおりの定義で使われているようですが、それも一部の園芸分野においてのようです。
micro climate(私はマイクロクライミットと呼ぶ)は園芸学会において温室内環境なんかにも適用します。
 このセンテンスで堀氏はマイクロクライメイトが指すのは1〜2メートル単位以内であると書かれていますが、学会では圃場レベルでこの用語を用います。微気象という言葉は農業分野でよく用いられますが,新編農業気象学用語解説集(1997年,農業気象学会編)によれば,「地表面の影響を強く受ける地上10m付近までの気層内の微細な時間・空間スケールの気象現象をいう。特に気象要素の鉛直分布の差異やその成立過程を研究対象とする」とされています。
 要は何をやっているかによって視界が違うんですよ。その人が見ている対象物のスケールが違う場合、メソにもミクロにもなりうるんです。言葉のあやとりに陥る必要性はどこにもありません。
 
 はい、今日はここまで。

コメント(5)

おっくーさんへ
 ご指摘ごもっとも、「葡萄畑の熱」というところの畑を完全に読み落としていました。うっかり。

 ただ、寒冷な条件下では風による地表温度への影響は極めて軽微であるはずです。地上面蒸発量が少ないはずですから。地上面蒸発や蒸散による水蒸気が風で持ち去られて初めて温度が低下します。乾燥した状況で風が吹いても気温は下がりませんし、地温も下がりません。ドイツのような環境ではたしていかほどの影響があるやら興味あります。風向きと畝方向の角度は大気の流動抵抗としはかなり大きいものです。風向きと畝方向が直角であることは風をブロックするだけではなくて、強風時において畝間の空気塊が閉じ込められることになります。そうするとわずかな水蒸気がこもることになり、畑の熱は奪われにくくなります。地表面からの熱移動量減少に加え、大気流による鍋蓋効果もあります。

上記
>確かに、光合成は葉中の細胞内で酵素反応が起こっていますので適度に温度がないと光合成速度は気象要因(日射、大気湿度等)に対して早い段階で律速してしまいます。低温乾燥な気象環境であるため、風により気孔からの蒸散量が増えることになります。
 と書きましたが、酔っ払ってたので実はかなり乱暴に書きました。低温乾燥と書いた部分の低温はミスです。いりません、ただの乾燥のことです。で、低温なのでもともと大気の遠心的蒸散ポテンシャルは低いんですよ。そんな条件で風が吹いてもたいして植物体内が渇くことはありません。葉温さえある程度高ければ気孔は閉じません。ですから風向きと畝方向が直角であれば空気力学的には蒸散しやすくなります。そちらの方が気孔内CO2濃度が低下しないので光合成のためにもよいのです。なんで、取り上げた文章の理解ってちょっとちがうんじゃないのかなって思ったんですよ。それに、受光を考えると、ただ方位を無視して風向きに合わせて畝の包囲性を決めるなんてちょっとおかしいですよね。

最も大きいインパクトファクターは何か?この辺のところって、その畑の地形、気象環境によって量的バランスはかなり変わるはずです。
地勢
P95 方角
>西向きの斜面は、午後の温かい日差しを直角に浴びるためにもっとも早く発芽がはじまり、葡萄が早く成熟することが知られている一方、東向きの斜面は最高気温に達する前の朝日を浴びるため、葡萄はゆっくりと成長します。

前文は太陽光成分の青/赤比の日変化が影響した生長点でのホルモンコントロールが影響している話かと思います。後文はちょっと乱暴で根拠がないように思います。

ナパ・ヴァレーの話
>朝日を浴びる西側斜面のマウント・ヴィーダーのカベルネ・ソーヴィニョンが複雑味のあるスタイルになるのに対し、夕日を浴びる東側斜面のスタッグス・リープ・デストリクトのものは、タンニンのよく重合した、男性的なワインとなります。

 日本は湿度が非常に高い国ですから、雨天後の晴天日などは午後から天気が崩れだすことも少なくありません。また、雲の影響を無視すれば西日は赤外線の量が多いので奇形花の発生率が高くなります。ただし、午後の方が太陽光に含まれる紫外領域の成分が多くなります。「曇りでも紫外線は多い」という方向性のみの言説に無批判であってはならないとされています。日射量と紫外線量の関係は雲の種類によっても変わるそうです。

西向き斜面であれば、東向き斜面に対して樹体内の水ポテンシャルが低下している午後における受光量が多く、葉内水ポテンシャルも低下して光合成効率は著しく低下しやすくなっているはずです。一方、東側斜面の樹は朝方の日射を受けやすいので蒸散速度の立ち上がりが早く、日中通して十体内の水ポテンシャルは高く保たれがちです。この水ポテンシャルの動向が枝・葉内における物質生産(光合成産物だけでなく、ホルモン類なども)に影響しています。

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