ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

五つ星の本のみを紹介しあう会コミュの『21世紀の国富論』原丈人

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
本当ならおまけに★ひとつ付けたいところですが、経済用語などがちょっと難しく特に前半の現行の世界的な経営の流れのあたりがちょっと細かく理解しきれていないので、それでも興奮気味に★五つです。

@@@

『21世紀の国富論』は主にアメリカで情報通信技術分野の新技術を創出する企業へのベンチャー・キャピタリストとして活動をしながら、アメリカ共和党の評議会名誉共同議長を務め、さらに国連など様々な機関で理事や議長を歴任している、原丈人(はらじょうじ)さんの著書です。
(原丈人プロフィール/産学官連携ジャーナルより)
http://sangakukan.jp/journal/profile/hara-j.html

この本が書かれたのは2007年前半で2008年に起こったリーマンショック以前だったわけですが、すでに行き過ぎたマネーゲームによる経済の危機を予言し、その解決策を日本が主導して進める道を提言しています。

私が今まで「なんかおかしいなあ」と漠然と思っていた世界のたくさんのことに対して丁寧に解説されていてずいぶん理解することができたし、原さんのようなスーパーインテリが「おかしい!」とはっきりと明言されているところが個人的にものすごく溜飲が下がったのでした。

経済にあまり明るくない私の感想ですので、多少のずれがあることも否めませんが、それでも、私と同じくらいの位置で今の世界に閉塞感を覚えている老若男女の皆さんに是非お勧めしたい一冊です。

@@@
@@@
私は祖父や母が日常的に株をやっていたこととその祖父からいくつか株をもらっていたこともあり、自分の持っている株の動向や日経平均、円相場くらいは長年眺めてきていたのでした。
バブル後の個人の世界でも、バブルを教訓にしつつも「金融」で資産を増やすべし!という流れが根強く、特にその発生源である欧米では子供のうちから金融教育をなんていう話もまことしやかに語られていて、ふむふむ、そういうもんかと、分かったような分からないような、やはりぼんやりとした気持で眺めながら、時々為替差益や日経主要銘柄ファンドなんかでちょこっと父の資産を増やしたりしていたのでした。
(自分の株に関しては、一昨年夫と会社を興しその資金繰りのためリーマンショック後に売却せざるを得なくなるまでは眺めるだけでほとんど動かさず。ふっ。そんなもんよね)

そんな中、「何かおかしい」と思うようになったのは、その流れがどんどん加速して一般人の中から「デイトレーダー」と呼ばれるような、一日中PCの画面とにらめっこしながら時間単位で売却益を稼いで生計を立てているような人にスポットが当たり始めたころで、
「これはもしかすると、根本的に何かが間違っているんじゃないだろうか」
とややはっきりと思うようになったのです。
もちろんそれまでだってそれはビジネスとして成り立ってきたわけなのだけれど、個人の世界に当たり前のものとして広まり、ちょっとしたニュース一つで株式が乱高下するようになって、「これって当の会社にとってどんな風に影響を及ぼすのだろう?」そんな漠然とした疑問を感じるようになってきた頃に、村上ファンドやライブドアの事件が起こったのでした。

『21世紀の国富論』の中で当時時事用語ともなった株式公開会社の「時価総額」について大きく言及されています。

会社とは誰のものか。

アメリカ流のコーポレート・ガバナンス(企業統治)の要には「企業は株主のもの」という考え方があるのだそうです。この考え方を突き詰めてゆくと、企業の目的は株主にとっての価値を上げること、すなわち「株価を上げること」になってしまうわけです。
***
(本文より)
ネットバブルの崩壊から間もなく、2001年の末には総合エネルギー取引とITビジネスによって全米で売り上げ7位の大企業に成長していたエンロンが、不正会計の発覚によって破綻しました。さらに、2002年にはアメリカの大手通信会社であるワールドコムの粉飾決算が発覚します。これはアメリカ史上最大の経営破綻となりました。
 この時アメリカではすでに、出資した企業の株を株主が長期的に持ち、その成長を見守るという前提が大きく崩れていました。株式市場の大部分は日々の投機で動いており、株主の多くは短期的に株価を吊り上げて高値で売り抜け、株式売却益を最大化することだけを目的にしていたのです。
 この状況は、株式を公開しているアメリカ企業のCEOにとっても、好都合でした。彼らは多額のストックオプション(将来の自社株を現在の価格で買う権利)を持っているので、何としても株価を上げる必要があったのです。
***

***
(本文より)
今、アメリカでは企業価値(時価総額)を大きくした経営者がもてはやされますが、それは人間が本来求める幸せとは無縁のものです。そして、良い製品を作るとか、優れたサービスを行うといった企業目標は、ROE(株主資本利益率)をはじめとする効率を優先した目標の後ろに隠れて、お題目化しつつあります。
(中略)
 良い製品を作ることよりも、時価総額を上げることに気を使わなければならないような株価偏重の考え方には、すでに中長期の視点に立つ多くの経営者が違和感を抱いています。製造業がすべきことは、優れた製品を作ることであって、見せかけの財務諸表を良くすることなどではありません。当たり前のことですが、財務は経営の主役ではないのです。実際のところ、そのようなゲームに踊らされた現在のアメリカは、かつてのように新しい基幹産業を生み出すだけの力を失ってしまったのです。
***

「時価総額」とは、その企業を今解散するとしたらそれが市場でどう評価されるかを示したものにすぎないにもかかわらず、「株主の利益」を求めるあまり、財務諸表の見せかけを向上させるための操作(資産の縮小など)やそこから派生する行き過ぎたM&A(合併と買収)で企業ひいては産業そのものの体力が損なわれているとしたら、それは当然のことながら社会そのものの体力を損なうことに繋がるということを、よく考えれば分かるはずなのです。
でも、マネーゲームで自分さえ儲かればよいという実に小我な欲が世界中に蔓延した揚句、とうとう2008年リーマンショックによる連鎖的世界恐慌が起こりました。


2008年末にかけて次々と会社が倒産し、派遣切りが行われ、社会がどんどん暗さを増してゆく中で、興味深い番組があったのですが、その中で出てきたとある中小企業ではこの不況の中リストラを行わないどころか、例年通りのボーナスを支給し昇給を行っているというのです。

それが可能となるのは高い内部留保によるものでした。
好景気で業績が上がると企業はさらに生産を拡大するために借り入れをし設備投資をするのが一般的ですが、その会社では好景気で業績が上がり、銀行から融資の申し出があっても受けないのだそうです。
その代り利益を内部留保として蓄え、必ず廻って来る景気の変動の下降期にその資金を従業員へのボーナスや福利厚生に充てたり、ライバル達が不況で設備投資や開発を控えざるを得ない中、敵のいない状態で新たな開発を進め市場に打って出ることができるというのです。

社長が「不況が3年続いても余裕ですね。節約すれば10年大丈夫かな」と笑っていたのが本当に印象的だったのですが、よくよく考えれば、この社長が言っていることは別にごくごく当たり前のことにすぎないのです。
ただ、このごく当たり前のことを景気の良い時に冷静に判断して実行できる人がどれだけ少ないかということが、不況時に明らかになるわけです。
(そういえば、どこかの野球監督も「好調の時に不調の芽がある」なんて言ってませんでしたっけ?)

『21世紀の国富論』では、それではどうしたらこういった状況を変えてゆくことができるかという提言が原さんの視点で語られているのですが、読んでつくづく思ったのですが、やっぱり世の中は当たり前のことで回っていくんだな、ということです。

これの本が出版された2007年前半当時はまだリーマンショックも起こっていなかったので、著者の論説・提言はきれいごとのようにとられる向きも無きにしも非ずだったかもしれませんが、この世界連鎖的恐慌の中にあってこそ私たちは原さんの言葉に真摯に耳を傾け、学ぶことができるはずです。
一時的にはこずるいことをして儲かることもあるかもしれないけれど、中長期的に見て人の道に外れた道理の通らないことが続くということはあり得ない。
企業は優れた製品を生み出し社会に貢献することが第一義であるべきであり、それによって得られた利益はそれに従事する人たちに分け与えられ、その一部が中長期的な視点で企業を支える株主に分配されるのが、本来あるべき企業運営の姿です。
この循環が滞りなく行われることにより社会も安定し、そこに暮らす私たちの生活も安定するのだということを。


企業とそれを取り巻く環境の道義性はもちろんですが、原さんの提言することで最も素晴らしいと思うのは、ビジネスを考えるときのモチベーションとなるもののひとつが、
「貧困のない豊かな世界」という理想の実現
であるということです。

この言葉だけを聞くと非常に夢見がちなどこかの野党が掲げるスローガンみたいに聞こえるけれど、原さんがすごいのはきっちりと資本主義的な手法でそれに着手し実際にどんどん進めていることなのです。
特に大きなプロジェクトとして、バングラディシュの貧困問題解決のために、医療と教育を改善しようと立ち上げた通信事業bracNetがあります。

普通途上国の貧困問題に対しては、ODA(政府開発援助)や国連の援助、または民間の寄付や慈善事業などをよく耳にしますが、こういったものはどうしても関係者の利権争いやら現地の政府高官の多くが私腹を肥やすために援助を横流ししたりといった問題がつきまといます。
原さんは現地のNGO(非政府組織)BRACと合弁を組むことによって、バングラディシュの国内の隅々に通信網を整備し識字率を上げることで教育や医療の改善を図りつつ、事業としてきちんと収益が上げ、かつその収益をさらに新たな投資に回すことのできる仕組みを作っています(BRACはNGOなので事業の収益から得た配当はそのまま再投資に回される)。
(参考:ほぼ日刊イトイ新聞「原さんと初対面」「20億円で600億円を上回る効果を」)
http://www.1101.com/hara/2007-11-23.html

***
(本文より)
大切なのは、「通常行われている方法が根本的な問題解決になっているのか」という考え方だと思います。
(中略)
 これは会社で仕事を頑張らない従業員に口を酸っぱくして説教するよりも、頑張った人がやりがいを感じられる仕組みを作った方が良いのと似ているかもしれません。関係者それぞれの目的と全体の理想が調和できるフレームを作って根本的に解決する──それがバングラディシュのプロジェクトで私が目指した解決法です。経済的に自立した事業として成立させることができれば、支援をする方とされる方が共通の目標を持つことができ、負担を負うだけの立場にある当事者はいなくなるのです。
 これまで慈善事業や援助でしかできないと信じられていた途上国支援も、かなりの割合で経済的に独立した事業として位置付けることができます。そうすれば援助に使われていた資金は回収され、さらに新しい対象に出資されることになり、持続性が高まります。私は、こうした考え方が本当の意味での途上国支援となり、世界から貧困をなくすことにつながっていくと考えています。
***

これまでこのような考えを持った人がいなかったわけではないと思うのです。
ただ、どうしても私たちの目には机上の空論というか、高度資本主義社会においては所詮実現不可能なきれいごとに過ぎないのかもしれないというあきらめのようなものがあった気がするのです。
ところが、この原丈人という人は、それをきれいごとに終わらせずに、きわめて合理的に精力的に実現に移しているらしい。

原さんの存在は、暗いニュースばかりが世の中を席巻しているように思われる昨今にあって、久々に心に希望の光がともるような、そんな気持ちにさせてくれます。
これからも原さんの理想がさらに現実のものとなっていくようエールを送りつつ、その活動に注目してゆきたいと思います。

(参考:ほぼ日刊イトイ新聞「原さんと初対面」)
http://www.1101.com/hara/index.html

***
***
(amazon作品紹介より)
内容紹介
■丹羽宇一郎(伊藤忠商事取締役会長)
日本の成長戦略をこれほど明確に描き出した本はない。企業経営者、政府関係者のみならず、すべてのビジネスパーソン必読の書。

■岩井克人(東京大学教授/『会社はこれからどうなるのか』著者)
スタンフォード大学経営学大学院出身にして世界的ヴェンチャー資本家――これはこの著者だからこそ可能であった株主主権論批判の書です。

日本の経済・産業・社会は、いまこそチャンスを迎えている!
シリコンバレーで数々の企業を成功させてきた実業家・原丈人による、待望の初著作!!

繰り返される企業買収、日常化したリストラ。マネーゲーム化したアメリカ経済の後追い。見せ掛けの景気回復。さらに、知財関係は欧米に牛耳られ、お家芸だったモノ造りも、中国をはじめとするアジア諸国に追いつかれようとしている……この先の日本に、可能な未来はあるのか?

誰もが抱くこの疑問と不安に、著者の原丈人は、力強く「ある」と答える――日本は、むしろ、いまこそ千載一遇のチャンスを迎えているのだ、と。IT産業がすでに成熟産業になり、経済を牽引してくことができなくなりつつある現在、新たな基幹産業を創出できなければ、ほんとうの景気回復はありえない。そして、その新産業を造り出すポテンシャルをもつのは、欧米でも中国でもなく、じつは日本だからだ。

そのためには、いくつものハードルを越えなければならない。新しい市場のあり方、新しいファイナンスのあり方、新しい会社のあり方が、まず必要とされる。次に、それらを活用できる人材。これらを、どのように日本に糾合させ、会社を活性化していくか? 本書には、そのための具体策が明快に示されている。

著者のこれらの提案が実現すれば、日本は、先進国からも発展途上国からも、必要欠くべからざる名誉ある国になるだろう。私たちに必要なのは、まず一歩を踏み出すことだ。
***

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

五つ星の本のみを紹介しあう会 更新情報

五つ星の本のみを紹介しあう会のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。