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エッセイストコミュの今日は『アンダルシアは晴天320日』を読んだ。

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今日は『アンダルシアは晴天320日』を読んだ。

今日読んだ本、『アンダルシアは晴天320日』(佐々木 爽)は、約10年前に書かれたもので、実際に、夫婦でアンダルシアに移住し、そこを拠点にさまざまな旅をし、ものを見たものである。平易でとてもおもしろい。副題が、〜年金夫婦のスペイン生活〜なのが何か心をほぐしてくれる。
昨夜、読んだプロスペル・メリメの『カルメン』(杉 捷夫訳)も、もうアンダルシアはもうすごい地、というしかないし、これまで読んだものすべてがそうだが、特に、あの風来坊が登場する『アンダルシア紀行』(著:カミロ・ホセ・セラ)には正直参ってしまった。

しかし、この本は実際にアンダルシアに住み「体感を語って」くれているので、混乱したわたしの頭は、この“大まかな輪郭”が癒してくれた。

この中で、著者は『こんなエピソードを聞いた。ローマのスペイン広場はスリが多い所として有名だ。イタリア人が言うには、「本場、スペインの方が、もっと多い」「いや、イタリアほどではない」と主張するスペイン人』。つまり『スリの集団は稼ぎ時を狙って両国をまたにかけて移動するので、どちらも同じだ、という話し』。これは、あの盗賊師(とりあえず)のカルメンも、あっちの国、こっちの国、あの地方に神出鬼没して、次の獲物を狙ったりすることからも。また、フランス南部の闇市にはスペイン人が出没するという記述がさまざまな本にもある。
つまり、著者に言わせれば、大きいけれども『日帰りで3ケ国旅行が体験できる国』なのだ。国境なんてないに等しい。このことを腹に決めてかからないと、まずアンダルシアは分からない。さらに、スペイン内戦から第二次世界大戦にいたる過程を、その経済やイデオロギーのみにて捉えるならば、あの戦争の意味も分からない、とわたしは何度も思うのである。海に囲まれた日本とは違い、民族や国が訳も解らず入り組んでいるのに、『スペインの地方の街には、それぞれ歴史、文化が繋がれた独自の風趣があり、そこに住む人たちは誇りにしているようだ』と著者が語るとき、単なる史観では埒があかないよなあ、って感じ入る。

この本の著者は、こんな人種、スペイン人と日本人の違いを次のように分析する。実は、それを図式化しているのだが、ここでは何とか、わたしの拙い表現で代える。
まず、日本を「保護社会」(集団主義)と題し、円で示す。まずその円の中心には「個人」があり、そのすぐ周りに「家族」があり、そして「会社」があり、終わりの外円は『国家』である。
これに対し、スペインを「解放社会」(個人主義)とし、まず中心に「個人」を据え、くっつくように「家族」の円があり、後は波線で、「教会」、「学校」、「会社」、そして「国家」が放射状に並べられてある。いずれにも政治や政党や権力といったものはない(捨象したのだろう)。

最初、わたしはこの図式を不思議に見た。

でも、日本を「保護社会」(集団主義)として「重層円」で示すのはとてもおもしろい。それに対して、スペインを「解放社会」(個人主義)とし、「個人」を中心に置き、その他を放射状に描くのはまことに対比的で、スペインの「個人」は、いわば、ちっとも「教会」、「学校」、「会社」などの重層化されていないものを示すのが際だっていると思う。ゲリラの語源はスペイン語である、って前に言ったが、民族や国家の前にまず「個人」ありきなのだ。「誇り」がそれぞれに渦巻いている。それで、老アナーキストは言ったのだ。『真の個人の自由のないところに、解放はあり得ない』と。

鬱屈した世界。ビジョンなき世界。そんなことないよ、ここにあるじゃないか、どんなに気儘だって・・・。大きく開かれていく自由こそが大切である。こころがどんなに空洞をつくっていても。

まあ、この本は何もそれらを追求するものではないから、やがて、これでいいのではないか。よくスペインのあるいはスペインを構成する人種のことを言い当てている、って思った。確かに、どの本を読んでも“おいらが一番”の人種たちであるから。それに、輪をかけて、イギリスや、イタリアや、ドイツが、これもまた“おいらが一番”って、ちょっかいを出してくるのだから、もうどうしようもない「地方」である。
著者いわく、『スペイン人は3人寄れば、そっぽを向くといわれるほど、自己主張が強く他人の意見を聞こうとしない』。『なにしろ働かないことが最高の美徳としているお国柄だからー』って舌を巻き、『スペイン人の考え方は、労働時間を超過してまで働く必要がない、ということだ』に至り、『怠惰なスペイン人に対して勤勉な日本人という評価も正反対だ』と言わしめる。あたかも著者の日本における勤勉ぶりをやや否定しながら懐かしむように。

この本にはまだ、興味深いものがある。『ピレネー山脈に連なりスペイン一の長さを持つエプロ川流域には100キロに及ぶブドウ畑があり、上流アルタは、辛口の白ワイン、中流アラベサは、最高品質の赤ワイン、下流バハはガルナチャ種のブドウから赤ワインとロゼが造られている』。

わたしは、ふん、そんなことは俺の方が詳しいぜってつい言いたい。なぜなら、このことだけで、あの風来坊『アンダルシア紀行』(著:カミロ・ホセ・セラ)は10ページも書いてわたしを苦しめたのだから。

それと最後にひとつ。
著者は、『独裁者フランコの最大の功績は、スペインが第2次大戦に参加しなかったことだ、とされている。ヒトラーが参戦を求めて会合した際、フランコは会談の途中で、「食事を・・・・・」とうって、2時間ほども帰ってこなかったという。その時、フランコがシェスタ(昼寝)をとったか、どうかはわからないが、スペインの慣行を利用した、ということだ。ヒトラーはそれを聞くと、「歯医者へ行って歯を抜いてもらった方がましだった」と激怒したという話しだ。

これについても、わたしの方が詳しい。

これは、ヒトラーの腹心でスペイン通であった幹部が、ヒトラーの虐殺に嫌気が差し、こっそりと、彼が、フランコに、ヒトラーの口車に乗るな、と告げ口し、彼は以来、反ヒトラーとなる重要人物のお陰である。それをわたしが通う「セルバンテス文化センター」で借りた本で読んだものだ。

まあ、脈絡無く述べたが、こんな地方で“小悪魔”のような女性、カルメンにわたしも会ってみたいものだと思う。

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