香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／千年紀】ザ･ミッション非情の掟

原題：鎗火(The Mission)
香港　ミルキーウェイ･イメージ作品　99年　84分　カラー　ヤン･エンタープライズ配給

製作･監督：ジョニー･トー　脚本：ヤウ･ナイホイ／ミルキーウェイ･クリエイティブチーム　撮影：チェン･シュウキョン　音楽：チュン･チーウィン

出演：(３点リーダー以降の人名は日本語吹替版ビデオのキャスト)
アンソニー･ウォン(黃秋生)=グァイ…政宗一成
フランシス･ン/ン･ジャンユー(吳鎮宇)=ロイ…喜多川拓郎
ロイ･チョン(張耀揚)=マイク…小原雅一
ジャッキー･ロイ(呂頌賢)=シン…安宏法男
ラム･シュー(林雪)=フェイ…内田大加宏
サイモン･ヤム(任達華)==ナン…うすいたかやす
エディ･コー(高雄)=ブン…野島昭生
ウォン･ティンラム(王天林)=伯父さん

―解説―
マフィアのボスを護衛する指令を受けた５人の男たちの捨て身の闘いを描いたサスペンス･アクション。出演は『野獣特捜隊』(94年)などのアンソニー･ウォン(黃秋生)､『白髪魔女伝』(93年)などのフランシス･ン(ン･ジャンユー=吳鎮宇)､『黒社会』(89年)などのロイ･チョン(張耀揚)､『冷戦』(2001年)などのジャッキー･ロイ(呂頌賢)､『食神』(96年)などのラム･シュー(林雪)､『ワイルド･ブリット』(90年)などのサイモン･ヤム(任達華)､『孔雀王』(88年)などのエディ･コー(高雄)､『ＰＴＵ』(2003年)などのラム･シュー(林雪)ほか。『暗戦デッドエンド』(99年)などのジョニー･トー(杜琪峰)監督､99年作。

―物語―
黒社会のボス､ブン(高雄)が刺客の襲撃を受け､弟のナン(任達華)は旧知の殺し屋グァイ(黃秋生)､マイク(張耀揚)､フェイ(林雪)､そしてロイ(吳鎮宇)と弟分シン(呂頌賢)を招集した。彼らの任務はブンの警護と刺客の正体を割出すこと。刺客の襲撃が続くなか､当初ギクシャクしていた５人だったが､やがて絶妙な連携を見せて遂には刺客のひとりを確保し襲撃の依頼者を突き止める。仕事を終え報酬を受取ったグァイに､ナンはブンの後妻がシンと関係していたと告げた。彼の処分をめぐり､４人は葛藤し決断を迫られる…。

オリジナル予告編動画↓

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 10月08日 21:11

”ダーク･トリロジー三部作”と大作『暗戦デッドエンド』(99年)の後､”香港ノワール”路線に大きな手応えを感じたジョニー･トー(杜琪峰)監督は､ガン･アクションをテーマにした新作に取り掛かります。ところが､圧倒的な資金不足の状況にありました。台湾のプロデューサー､チウ･フーション(邱復生)から出資を受けましたが､それでもかなりの低予算です。
そこでトー監督は､劇中の台詞や余計な動きを削り､メインキャストには極力NGを出さないよう告げました。予算が少ない上に､手元にあった撮影に使うフィルムも僅かしかなかったからです。そのためワンカットを長めに撮影し､間をもたせました。現場には台本もなかったため､俳優たちの台詞も基本即興でのアドリブ。そんな雰囲気のなかで印象的な｢紙屑サッカー｣のシーンも撮影されました。
結果､非常にスタイリッシュで緩急のあるオリジナリティあふれる銃撃シーンが出来上がったのです。キャスト陣の顔合せも絶妙で､アクションは勿論演技力にも定評のあるメンバーが揃ったので､表情で見せる芝居も違和感なく演じており出色でした。本作の作風や銃撃戦については､ジャン=ピエール･メルヴィル監督のフィルム･ノワールや日本の北野武監督からの影響を指摘する声もありましたが､トー監督自身は即興であったり偶発的に撮影現場で生み出されたものとインタビューなどで繰り返し語っています。

一方メイン･キャストの一角であったフランシス･ン(ン･ジャンユー=吳鎮宇､画像中)は､黒澤明監督の傑作『七人の侍』(54年)を想起させると日本のメディアへのインタビュー動画で応えています(広東語､日本語字幕あり)↓

99年7月下旬にクランクインし､9月中旬にはクランクアップ。ポストプロダクションを経て11月19日に香港で公開された本作は､興行的にはヒットとはならなかったものの､評論家筋や香港内外の映画関係者から高い評価を受け､
・第19回香港電影金像奨：最優秀監督賞
・第５回金紫荊奨：最優秀作品賞／最優秀監督賞／最優秀助演男優賞(ロイ･チョン=張耀揚､画像右)／最優秀撮影賞
・香港電影評論学会：最優秀作品賞／最優秀監督賞
・第37回台湾金馬奨lprpん最優秀監督賞／最優秀主演男優賞(フランシス･ン)
・2000年ベルリン映画祭フォーラム出品作品
…など､その年の映画賞を総ナメする勢いと評価を見せ付けました。

日本でも総じて扱いがよいとは言えないジョニー･トー監督作品のなかでも｢傑作｣｢代表作｣というファンや評論家の声は多く､実際国際的にも｢香港ノワールと言えばジョニー･トー｣という声が高まって来たのも本作が契機といってもではないでしょう。結果トー監督は､本作のキャラクターを使った作品を後年２作手掛けることになりますが､本当の意味での”ジョニー･トーの時代”の到来は､21世紀に入ってからとなります。

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