原題：非常突然(Expect the Unexpected)
香港 ミルキーウェイ･イメージ作品 98年 90分 カラー 日本劇場未公開(ビデオ→DVD)
製作：ジョニー･トー／ワイ･カーファイ 監督：パトリック･ヤウ 脚本：ゼトー･カムユン／ヤウ･ナイホイ 武術指導ユン･ブン
出演：ラウ･チンワン／サイモン･ヤム／ヨーヨー･モン／ルビー･ウォン／ホイ･シューハン／レイモンド･ウォン／ラム･シュー
―解説―
兇悪な武装強盗団を追う香港警察特捜班の姿を描いたアクション･ドラマ。出演は『つきせぬ想い』(93年)などのラウ･チンワン(劉青雲)､『トゥームレイダー２』(2003年)などのサイモン･ヤム(任達華)､『ヒーロー･ネバー･ダイ』(98年)などのヨーヨー･モン(蒙嘉慧)､『ダブルタップ』(2000年)などのルビー･ウォン(黃卓玲)､『ブレイキング･ニュース』(2004年)などのホイ･シューハン(許紹雄)､『カラー･オブ･ペイン』(2001年)などのレイモンド･ウォン(黃浩然)ほか。『パラダイス！』(97年)のパトリック･ヤウ(游達志)監督､98年作。
―物語―
宝石店を襲った３人組のひとりが逃込んだマンションの一室に潜む兇悪な武装強盗犯が警官隊との銃撃戦で負傷。マンディ(蒙嘉慧)が働く喫茶店にたむろする３人の仲間が街中で発砲し強盗犯を奪還する。マンディと旧知のケン(任達華)率いる特捜班が駆付け､遅れて到着したサム(劉青雲)がエレベーターの上に隠れる襲撃犯を確保した。若手刑事ジミー(黃浩然)が重傷を負い西九龍警察の車両も襲撃され武器が奪われるなか､武装強盗団の標的が馬券売場の売上金と知った特捜班は追跡と銃撃戦の末一味を仕留める。事件が落着しケンたちは祝杯を挙げようと街へ繰出すが､そこへ逃走中の宝石店襲撃犯が現れ彼らに発砲した!
オリジナル予告編動画↓
香港 ミルキーウェイ･イメージ作品 98年 90分 カラー 日本劇場未公開(ビデオ→DVD)
製作：ジョニー･トー／ワイ･カーファイ 監督：パトリック･ヤウ 脚本：ゼトー･カムユン／ヤウ･ナイホイ 武術指導ユン･ブン
出演：ラウ･チンワン／サイモン･ヤム／ヨーヨー･モン／ルビー･ウォン／ホイ･シューハン／レイモンド･ウォン／ラム･シュー
―解説―
兇悪な武装強盗団を追う香港警察特捜班の姿を描いたアクション･ドラマ。出演は『つきせぬ想い』(93年)などのラウ･チンワン(劉青雲)､『トゥームレイダー２』(2003年)などのサイモン･ヤム(任達華)､『ヒーロー･ネバー･ダイ』(98年)などのヨーヨー･モン(蒙嘉慧)､『ダブルタップ』(2000年)などのルビー･ウォン(黃卓玲)､『ブレイキング･ニュース』(2004年)などのホイ･シューハン(許紹雄)､『カラー･オブ･ペイン』(2001年)などのレイモンド･ウォン(黃浩然)ほか。『パラダイス！』(97年)のパトリック･ヤウ(游達志)監督､98年作。
―物語―
宝石店を襲った３人組のひとりが逃込んだマンションの一室に潜む兇悪な武装強盗犯が警官隊との銃撃戦で負傷。マンディ(蒙嘉慧)が働く喫茶店にたむろする３人の仲間が街中で発砲し強盗犯を奪還する。マンディと旧知のケン(任達華)率いる特捜班が駆付け､遅れて到着したサム(劉青雲)がエレベーターの上に隠れる襲撃犯を確保した。若手刑事ジミー(黃浩然)が重傷を負い西九龍警察の車両も襲撃され武器が奪われるなか､武装強盗団の標的が馬券売場の売上金と知った特捜班は追跡と銃撃戦の末一味を仕留める。事件が落着しケンたちは祝杯を挙げようと街へ繰出すが､そこへ逃走中の宝石店襲撃犯が現れ彼らに発砲した!
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『ロンゲストナイト』と『ヒーロー･ネバー･ダイ』(共に98年)の間に制作された所謂ジョニー･トー(杜��峯)監督一派の”ダーク･トリロジー”第２作目です。残念ながら日本では本作のみ劇場未公開に終わりました。『ロンゲストナイト』に続きトー監督はプロデュースに回り､パトリック･ヤウ(游達志)が監督を務めていますが､デビュー作『パラダイス!』(97年)から本作まで､全くといってよいほど毛色の異なる”香港ノワール”作品を仕上げた手腕には唸らされますが､トー監督が主宰するミルキーウェイ･イメージでの監督作は､事実上本作が最後となりました。
冒頭からただならぬ雰囲気で始まる『ロンゲストナイト』や『ヒーロー･ネバー･ダイ』と異なり､ヨーヨー･モン(蒙嘉慧､画像左)扮するヒロイン･マンディが働く喫茶店の風景から始まる本作は軽快でロマンティックな雰囲気にあふれています。想いを寄せるマンディを見守る特捜班の刑事ふたり､サイモン･ヤム(任達華､画像中)とラウ･チンワン(劉青雲､画像右)の眼差しは､後年やはり日本未公開に終わった『スリ』(2008年)への原点を感じます。
『スリ』の原点といえば､トー監督がこだわってきた”よき時代の香港の街並”の描写が､本作でも随所に行われています。本作はデイ(日中)シーンが大半ですが､この撮影技法がナイトシーンのみで展開され一層の効果を発揮していくのが､2003年の『ＰＴＵ』です。ちなみに”ダーク･トリロジー”のなかで終始香港の街のみで物語が展開していくのは､本作のみです。
こうした香港の街並みを背景に前中半はサイモン･ヤム率いる特捜班の犯罪者との闘いに明け暮れる日常を丹念に積み重ねて描写しています。ご存知のように『男たちの挽歌』(86年)の”香港ノワール映画”は､『香港極道 警察(サツ)』(79年､テレビ放送)や『漆黒 ノワール』(84年､テレビ放送)を始めに､警察官の苛酷な日常をテーマに置いた作品が多かったワケです。そういう意味では”先祖帰り”と言えなくもない作風なのですが､ただ苛酷さのみを描くだけでなく前述したヨーヨー･モンをめぐるサイモン･ヤムとラウ･チンワンとの恋をさや当てや､彼らの後輩である若手隊員同士の淡い恋模様など､ロマンス要素を織り込んでいるのがいるのが巧みです。実際本作が制作された後から､所謂｢警匪片｣と称される｢香港ノワール映画｣では､ロマンチシズムや青春ドラマ的な要素を取り入れた警官の日常を描く作品が増えていくのです。
こうした恋愛模様を含む警官の日常を描いた本作は､なぜ”ダーク･トリロジー”の１作となるのでしょうか。それは､あまりに衝撃的なラスト･シーンに付きます。ひとつの事件が解決し､祝杯を挙げようと街へ出た特捜班の前に悪夢のような偶然が重なった末､思いもかけぬ惨劇が振り掛かります。そしてそれを知り呆然と立ち尽くすヨーヨー･モンのいる喫茶店を映しながら､本作は幕を閉じます。
ポイントは､特捜班が追っていた事件(犯罪者)はふたつだったという点です。偶然に２組の犯罪者が同じマンションに逃げ込み､特捜班を翻弄していく…。この設定は後年トー監督が自ら手掛けた『ブレイキング･ニュース』(2004年)でブラッシュアップされ､エモーショナルな見せ場を作っていくことになります。
冒頭からただならぬ雰囲気で始まる『ロンゲストナイト』や『ヒーロー･ネバー･ダイ』と異なり､ヨーヨー･モン(蒙嘉慧､画像左)扮するヒロイン･マンディが働く喫茶店の風景から始まる本作は軽快でロマンティックな雰囲気にあふれています。想いを寄せるマンディを見守る特捜班の刑事ふたり､サイモン･ヤム(任達華､画像中)とラウ･チンワン(劉青雲､画像右)の眼差しは､後年やはり日本未公開に終わった『スリ』(2008年)への原点を感じます。
『スリ』の原点といえば､トー監督がこだわってきた”よき時代の香港の街並”の描写が､本作でも随所に行われています。本作はデイ(日中)シーンが大半ですが､この撮影技法がナイトシーンのみで展開され一層の効果を発揮していくのが､2003年の『ＰＴＵ』です。ちなみに”ダーク･トリロジー”のなかで終始香港の街のみで物語が展開していくのは､本作のみです。
こうした香港の街並みを背景に前中半はサイモン･ヤム率いる特捜班の犯罪者との闘いに明け暮れる日常を丹念に積み重ねて描写しています。ご存知のように『男たちの挽歌』(86年)の”香港ノワール映画”は､『香港極道 警察(サツ)』(79年､テレビ放送)や『漆黒 ノワール』(84年､テレビ放送)を始めに､警察官の苛酷な日常をテーマに置いた作品が多かったワケです。そういう意味では”先祖帰り”と言えなくもない作風なのですが､ただ苛酷さのみを描くだけでなく前述したヨーヨー･モンをめぐるサイモン･ヤムとラウ･チンワンとの恋をさや当てや､彼らの後輩である若手隊員同士の淡い恋模様など､ロマンス要素を織り込んでいるのがいるのが巧みです。実際本作が制作された後から､所謂｢警匪片｣と称される｢香港ノワール映画｣では､ロマンチシズムや青春ドラマ的な要素を取り入れた警官の日常を描く作品が増えていくのです。
こうした恋愛模様を含む警官の日常を描いた本作は､なぜ”ダーク･トリロジー”の１作となるのでしょうか。それは､あまりに衝撃的なラスト･シーンに付きます。ひとつの事件が解決し､祝杯を挙げようと街へ出た特捜班の前に悪夢のような偶然が重なった末､思いもかけぬ惨劇が振り掛かります。そしてそれを知り呆然と立ち尽くすヨーヨー･モンのいる喫茶店を映しながら､本作は幕を閉じます。
ポイントは､特捜班が追っていた事件(犯罪者)はふたつだったという点です。偶然に２組の犯罪者が同じマンションに逃げ込み､特捜班を翻弄していく…。この設定は後年トー監督が自ら手掛けた『ブレイキング･ニュース』(2004年)でブラッシュアップされ､エモーショナルな見せ場を作っていくことになります。
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