香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／新時代】激戦 A True Mob Story

原題：龍在江湖/沒有明天(A True Mob Story)
香港　BoB ＆パートナーズ･カンパニー作品　98年　112分　カラー　日本劇場未公開(ビデオ→DVD)

製作：ティファニー･チェン／ウォン･ジン　監督･脚本：ウォン･ジン　撮影：チェン･シュウキョン　編集：マルコ･マック

出演：(３点リーダー以降の人名は日本語吹替版ビデオのキャスト)
アンディ･ラウ(劉德華)=ワイ･チュンディ…辻谷耕史
ジジ･リョン(梁詠琪)=サンディ･リョン弁護士…安田未央
スーキー･クワン(關秀媚)=ルビー…栗田ひづる
アレックス･フォン(方中信)=マイケル…大倉正章
マーク･チェン(鄭浩南)=プリンス…高田べん
ベン･ン(吳毅將)=ソン
サム･リー(李燦森)=サンサ
ン･チーホン(吳志雄)=チュン
アンジー･チョン(張慧儀)=シンディ…牧野芳奈

―解説―
ボスの息子を助けチンピラから幹部に成り上がりながら､組織に利用されかつての敵からの報復にもさらされる男の闘いと過酷な末路を描いたアクション･ドラマ。出演は『上海グランド』(96年)などのアンディ･ラウ(劉德華)､『君のいた永遠』(99年)などのジジ･リョン(梁詠琪)､『潜入黒社会』(2001年､ＤＶＤのみ)などのスーキー･クワン(關秀媚)､『ジェネックス･コップ』(99年)などのサム･リー(李燦森)､『ロンゲストナイト』(98年)などのマーク･チェン(鄭浩南)､『復讐のプレリュード』(95年)などのベン･ン(吳毅將)､『ダブルタップ』(2000年)などのアレックス･フォン(方中信)ほか。ウォン･ジン(王晶)監督､98年作。

―物語―
チンピラのディ(劉德華)は５年前､対立するソン(吳毅將)にさらわれかけた組織のボスの息子プリンス(鄭浩南)を助けるが､妻のシンディをひき逃げしたソンの片目をつぶし刑務所に入った。出所後ディは幹部に昇進し､プリンスとＶＣＤ工場を任されたが､彼に儲けは回ってこない。そんなディを暴力団担当の刑事マイケル(方中信)がねらう。彼はディの弁護人サンディ(梁詠琪)の恋人だった。実はＶＣＤ工場はコカイン密造の隠れみので､組織はディに罪を着せようとする。さらに大金を積み出所してきたソンが､ディの息子や恋人ルビー(關秀媚)の前に現れ残酷な報復を仕掛けてきた!

オリジナル予告編動画↓

コメント(3)

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[1] mixiユーザー 08月26日 12:27

96年に香港映画界へ旋風をもたらし､イーキン･チェン(鄭伊健)を一躍スターダムにのし上げた｢欲望の街古惑仔｣シリーズ。当初イーキン扮する主役にアンディ･ラウ(劉德華)へオファーが入っていたことは､同シリーズのアンドリュー･ラウ(劉偉強)監督もインタビューで応えたほど知られたエピソードです。スケジュールの都合からオファーを断ったアンディですが､社会現象を巻き起こすほどの同シリーズのヒットに心中期するものがあったのか､香港映画界きってのヒットメーカーであり同シリーズの生みの親でもあるウォン･ジン(王晶)監督と組んで放ったのが本作です。言わば長年映画でチンピラ役を演じ続けてきたアンディの｢欲望の街古惑仔｣シリーズへの”アンサー･ムービー”とも取れますし､同時にアンディの十八番だった”チンピラ”役の集大成にしようと気概も垣間見えます。
本作で示された｢欲望の街古惑仔｣シリーズへの”回答”は､｢A True Mob Story｣という原題からうかがい知れます。｢欲望の街古惑仔｣シリーズは人気コミックから生まれたフィクショナルな世界観。ならば本作では実社会での”古惑仔=チンピラ”の生き様はどうなのか､を描いています。
OPこそ､アンディが歌うノリのいいロック調のテーマ曲をバックに｢欲望の街古惑仔｣シリーズを彷彿とさせるカット割りで､金髪メッシュにタトゥーをキメたアンディが街を闊歩していく様子が活写されますが､すぐに抗争に巻き込まれ妻を失ってしまいます。逆上し敵の頭部に斬り付け重傷を負わせたものの､逮捕されて刑務所入り。出所後幹部に取立てられイキり倒すものの､実際は末席扱いで鉄砲玉代わりに裏切り者の始末に向っても子分に任せて自分は隠れて怯える有様。それをナイトクラブで暴露されほかの幹部から｢犬｣扱いされる始末。幼い息子の養育もままならず､うだつの上がらないアンチ･ヒーロー的なキャラクターを通しています。見てるうち､本作は｢欲望の街古惑仔｣シリーズだけでなく､アンディが90年代に主演した｢実録犯罪映画｣へのアンサーも含んでいると感じました。このジャンルで悪徳警官とカジノ王をヒロイックに演じたアンディですが､実際の人生はそんなにカッコよくはないんだよと､本作は提示してくれている気がします。

OPに流れる主題歌｢死剩把口｣(歌アンディ･ラウ)PV動画↓

[2] mixiユーザー 11月16日 17:52

ヒットメーカー､ウォン･ジン監督の作品ですから､アンディ･ラウ(画像左)を囲むキャストも実に多彩です。ヒロインは実質ふたり配役されているのですが､メインはアンディ同様歌手としても活躍し､トップ女優の地位も確立しつつあったジジ･リョン(梁詠琪､画像中)です。アンディとは『フル･スロットル烈火戦車』(95年)以来の共演となります。
もうひとり､妻を失ったアンディを健気に支える恋人(というか実質内縁の妻状態)役で登場するのが､スーキー･クワン(關秀媚､画像右)という女優さんです。彼女は実年齢でもジジ･リョンより一回り年長者で､80年後半ミス香港のファイナリストを経て芸能界入りしましたが､正直女優としてはパッとせず長期間下積みを続けていました。そして95年からは女優活動を休止していましたが､香港が中国への返還を迎えた97年復帰し､香港映画界が極度の人材不足に陥るなか､大役に抜擢されたのが本作です。以降チンミー･ヤウ(邱淑貞)やチョン･マン(張敏)が抜けた後を埋める形で､ウォン･ジン監督作品の新たなヒロインとして出演作を重ねていきます。

[3] mixiユーザー 01月15日 06:25

恋人である弁護士(ジジ･リョン)がチンピラのアンディ･ラウに惹かれているのを察知し､彼を捜査の標的として付け狙う刑事役にはアレックス･フォン(方中信､画像左)。別項でもふれていますが､80年代後半のアクション映画｢天使行動｣シリーズ(87～89年)以降､Ｂ級アクションの助演を重ねてきた末ジョニー･トー(杜琪峰)監督作『戦火の絆』(96年)でアンディと相対する大役に抜擢され､以降トー監督作を中心に善悪両方こなせる性格俳優として第一線に浮上してきました。本作でもアンディ相手に凄みを感じさせる敵愾心を表現しています。
冒頭アンディに助けられながらも､その恩を返すこともなく逆に彼を追い詰めていくボスの息子役はマーク･チェン(鄭浩南､画像中)です。彼もまた80年代なかば､当時の新興勢力だった映画会社シネマ･シティ(新藝城)にて､スター候補生として数々の娯楽作に出演しますが､シネマ･シティ撤退後はアレックス･フォン同様Ｂ級アクションでの活躍がメインとなり､時はⅢ級片(成人映画)へ出演することもありましたが､98年のジョニー･トー監督作『ロンゲスト･ナイト』で本作同様暗黒街のボスの息子役に抜擢されてから､クセの強い役もこなせるヴェテラン俳優として話題作に起用されるようになっていきました。
そしてマーク･チェンを襲撃した張本人でありながら､アンディに逆襲されて片目を潰され､ゆがんだ悪意を抱き後半アンディを窮地に陥れるのが､90年代に量産された数々のⅢ級片での怪演で個性を発揮してきたベン･ン(吳毅將､画像右)です。彼も当初は当コミュニティでもご紹介した『ソルジャー･オブ･マフィア』(91年､ビデオのみ)などに主演していましたが､間もなく悪役に転じ本作でも出番は決して多くないものの､強烈なインパクトを残します。

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