香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／新時代】パラダイス！

原題：兩個只能活一個(The Odd One Dies)
香港　ミルキーウェイ･イメージ作品　97年　90分　カラー　バンダイビジュアル／ツイン配給

製作：ジョニー･トー／ワイ･カーファイ　監督：パトリック･ヤウ　脚本：ワイ･カーファイ　撮影：チェン･シュウキョン　アクション指導：ユン･ブン　音楽：レイモンド･ウォン　美術：シルヴァー･チョン　編集：ウォン･ウィン･ミン
出演：カネシロ･タケシ／カルメン･リー／ビュン･ウーニン／ケネス･チョイ／リー･トーユー

―解説―
無軌道な日々を送る若者と刑務所帰りの女性が､暗殺の仕事を受けたことから強く結び付いていく姿を描いたアクション･ロマン。出演は『天使の涙』(95年)などのカネシロ･タケシ(金城武)､『妖獣都市香港魔界篇』(92年)などのカルメン･リー(李若彤)､ビュン･ウーニン(卞宇珉)､ケネス･チョイ(蔡楓華)､『金玉滿堂決戦!炎の料理人』(95年)などのリー･トーユー(李道瑜)ほか。監督は本作がデビューとなるパトリック･ヤウ(游達志)。97年作。

―物語―
雀荘で無一文になったモー(金城)は､大金を得ようとインド人に殺しの斡旋を依頼した。モーは受取った88000ドルをギャンブルに賭け15万ドル儲けるが､やる気が失せインド人を脅して殺し屋を雇う。現れたのは刑務所帰りの女(李若彤)だった。彼女の身勝手から男に殺されかけたモーは金を取返し手を切ろうとするが､その男サイモン(李道瑜)の為入獄したと涙で語る女を見て､彼は一流ホテルに部屋を取り女と結ばれる。女は携えた絵葉書に書かれた場所へ行きたいと告げた。新年の朝､モーは女に喫茶店で絵葉書と航空券､金が入った袋を渡し走り去る。数時間後､モーが暗殺を実行し逃走中のニュースが流れた…。

オリジナル予告編動画↓

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 01月23日 01:32

当コミュニティでは初のご紹介となる､昨年4Kレストア版が大ヒットした『恋する惑星』(94年)や『天使の涙』(95年､画像左)といったウォン･カーウァイ(王家衞)監督作への出演で､日本でも多くのファンを獲得した日台混血の映画スター､カネシロ･タケシ(金城武､画像中)の主演作です。
実は本作､ジョニー･トー(杜琪峰)監督一派によって制作された１本なのですが､当時の日本ではジョニー･トー監督は数いる香港のヒットメーカーでもある一職人監督としか認識されていませんでした。本作で監督デビューしたパトリック･ヤウ(游達志)は､トー監督の腹心でもありましたが､当時は”ポスト･ウォン･カーウァイ”と紹介されていました。
確かに本作が､ウォン･カーウァイ監督作をかなり意識した作りになっているのは､ある意味”時代”､もっといえば当時の映画界からの要請もあった面は多分にあったと考えられます。しかも本作はそのウォン･カーウァイ監督作に出演していたカネシロ･タケシが主演なのですから。説明台詞を極力排したミュージックビデオのようにオフビートでスタイリッシュな場面展開と全編に漂うロマンチックなムードは､後年我々がイメージするジョニー･トー組の作風とは明らかに一線を画しています。
ヒロインのカルメン･リー(李若彤､画像右)は､曲折の末にジョニー･トー監督のマネージャーと契約したことから､本作への起用になったと思われますが､日本ではジョニー･トー作品の女優というイメージは希薄ではないでしょうか。実は本作の制作年前後に､カルメン･リーはジョニー･トーの監督作やプロデュース作に数本参加しているのですが､ほとんどが日本では未公開に終わり､唯一劇場公開されたのが本作なのです。もう1本トー監督作『ファイヤーライン』が映画祭で上映後DVD化されたものの､現状は廃盤で入手困難となっています。
当時の日本での批評筋からは､本作を｢ラブ･ストーリー｣として捉えていた向きも多かったようですね。まぁ表面的に浮かび上る物語は確かにそうなんですが､登場人物の背景にあるのはダークサイドのな世界に生きる人々の人間模様､生き様です。コレは”香港ノワール映画”の根幹を成す要素と言っても過言ではなく､いささか変化球的ではありますが､本作もやはり｢香港ノワール｣の1本なのだなと気付かされる重要な側面です。
そしてパトリック･ヤウ監督が本作の次に手掛けるのが､ジョニー･トー監督の名を一躍広めることになる“ダーク･トリロジー”の第1作目『ロンゲストナイト』です。見比べるとあまりの作風の違いに驚かれること必至ですが､本作を“ダーク･トリロジー”の｢習作｣的1作と捉えた上で見直すと､ウォン･カーウァイ監督作のフォロワーとはまた違った側面を見出せること請け合いです。

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