香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／絶頂期】リー･ロック伝大いなる野望 PART1 炎の青春

原題：五億探長雷洛傳(雷老虎)/雷洛傳Ⅰ(Lee Rock/Lee Rock 1)
香港　ウィンズ･ムービー･プロダクション作品　91年　117分　カラー　東京国際ファンタスティック映画祭'95にて上映(ビデオ)

製作：ジミー･ヒョン／ウォン･ジン　監督：ラウ･アモン　脚本：チェン･メンクェン　撮影：ジゴ･リー／アンドリュー･ラウ　音楽：チャウ･コンシン
出演：アンディ･ラウ／チョン･マン／チンミー･ヤウ／クァン･ホイ･サン／ポール･チン(チョン･プイ)／ン･マンタ

－解説－
1950年代の香港に実在した悪徳警官の半生と周囲の人間模様を実録タッチで描いたアクション･ドラマの前篇。主演は『上海グランド』(96年)などのアンディ･ラウ(劉德華)。ほかに『ゴッド･ギャンブラー』(89年)などのチョン･マン(張敏)､『男たちの挽歌４』(94年)などのチンミー･ヤウ(邱淑貞)､『プロジェクトＡ２』(87年)などのクァン･ホイ･サン(關海山)､『香港･東京特捜刑事』(88年)などのポール･チン(チョン･プイ=秦沛)､『逃避行』(90年)などのン･マンタ(吳孟達)､『龍拳』(80年)などのジェームス･ティエン(田俊)らが共演。『ギャングス』(88年)のラウ･アモン(劉國昌)監督､91年作。

－物語－
1949年､潮州出身のリー･ロック(劉德華)は警察学校に入学､半年後制服警官となる。当時横行した警官への贈収賄を拒否し､職務に忠実なリーはラード(吳孟達)と友情を結んだ。恋人ローズ(邱淑貞)の父親が高額な結納金を要求した為､リーは金を得る為スネークとトラブルになり､あげく火災で彼女と生き別れる。1952年､チェン部長(關海山)の推薦で特捜刑事に昇格したリーは､ダンスホールでグレース(張敏)を助けるが､彼女の父親は九龍の大親分･銀魚(田俊)だった。実力者ガントン警部(秦沛)の身内を逮捕し左遷されたリーは､グレースとの結婚を機に特捜へ復帰､九龍暴動を鎮圧し刑事部長に昇進する。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 10月27日 12:27

アンディ･ラウ(劉德華､画像左)が､1950～60年代の香港に実在し､警察はおろか裏社会の実権をも握って巨万の富を得たとされる警察官リー･ロック(雷洛)の半生を演じた超大作の前編です。出世作となった『いますぐ抱きしめたい』(88年)以降"香港ノワール映画"では､チンピラなど黒社会側の人間を演じることが多かったアンディですが､本作では当コミュでご紹介済の『香港極道野獣刑事』(88年､テレビ放送)以来となる警察官役(90年の『欲望の翼』など"香港ノワール"以外の映画では警官を演じている)。しかし今回は実在のモデルが存在するだけに､役作りや演技など相当高いレベルを要求されたと思うのですが､アンディは見事それに応え堅物の制服警官だった青年期から内部抗争の果て香港警察の刑事部長に上り詰めるまでをこれまでにない不敵な表情や重厚さを交えて熱演しています。結果その年の香港映画興収で第７位を記録するヒットとなり､これまでチンピラ役のイメージが強かったアンディは新たな当り役を得て､主演俳優としてステップアップに成功します。
アンディの相手役には､プロデューサーに回ったウォン･ジン(王晶)監督の常連女優だったチンミー･ヤウ(邱淑貞､画像中)とチョン･マン(張敏)をＷヒロインとして配しています。彼らを囲む脇のキャストも過去の"香港ノワール映画"で､印象的な演技をしてきたベテラン俳優陣が総結集しています。なかでも警察内の権力闘争に巻込まれたアンディを陰に陽に助言を与え続けるチェン部長に扮したクァン･ホイ･サン(關海山)は､第11回香港電影金像獎で最優秀助演男優賞を授賞しています。加えて､このベテラン陣のなかで異彩を放っているのが､アンディの正妻となるチョン･マンの父親役であるジェームス･ティエン(田俊､画像右)です。60年代後半にショウ･ブラザースでデビューした彼は､ロー･ウェイ(羅維)監督に従う形でゴールデン･ハーベストへ移籍し､香港へ凱旋したブルース･リー(李小龍)や若きジャッキー･チェン(成龍)やサモ･ハン(洪金寶)たち､要は"旧体制派"スターの主演作に脇役で出続けていた俳優です。その彼が｢香港ニューウェーブ｣の一潮流である"香港ノワール"作品に出演するのはとても珍しく､しかもアクション無しでも演技は非常に達者で好印象を残しました。
監督は､当コミュでもご紹介済の『ギャングス』(88年)で鮮烈なデビューを飾ったラウ･アモン(劉國昌)監督です。本作は３本目の監督作ですが､『ギャングス』でも印象的だったセミ･ドキュメント･タッチを活かしつつ､ガン･アクションを交えた骨太の演出で､｢省港旗兵｣シリーズに端を発した"実録(犯罪)映画"の頂点を成す１作と称賛されました。
そして､別トピでもお伝えした通り､本作と｢跛豪/To Be Number One｣(91年･未公開)のヒットにより"実録(犯罪)映画"の制作が活発化し､リー･ロックという当り役を得たアンディ･ラウは､その後も他作品でスピンオフ的にリー･ロック役を演じ､後年の集大成的大作『追龍』(2017年)へとつながっていくことになります。

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