香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／絶頂期】逃避行

原題：天若有情/追夢人(A Moment of Romance)
香港　ムービー･インパクト／パーカー･ヒル･フィルム･プロダクション作品　90年　92分　カラー　ポニーキャニオン配給

製作総指揮：ワーレス･チャン　製作：ジョニー･トー　企画：リンゴ･ラム／ウォン･ジン　監督：ベニー･チャン　脚本：ジェイムズ･ユエン　撮影：ウォン･ウィン･ハン　武術指導：ユン･ブン　音楽：ロー･ターヨウ／ビヨンド
出演：アンディ･ラウ／ウー･チェンリン(ン･シンリン)／トミー･ウォン／ン･マンタ／ラウ･コン／チュー･ティエ･ホー

―解説―
強盗事件にかかわったチンピラの若者と､人質となり巻込まれた令嬢が､身分や境遇の違いを超えて恋愛を貫こうとする姿を描いたアクション･ロマン。出演は『暗戦デッドエンド』(99年)などのアンディ･ラウ(劉德華)､『恋人たちの食卓』(94年)などのウー･チェンリン(ン･シンリン=吳倩蓮)､『チャイナホワイト』(89年)などのトミー･ウォン(黃光亮)､『少林サッカー』(2001年)などのン･マンタ(吳孟達)､『いつの日かこの愛を』(89年)などのラウ･コン(劉江)､『プロジェクトＡ２』(87年)などのチュー･ティエ･ホー(朱鐵和)ほか。『ジェネックス･コップ』(99年)などのベニー･チャン(陳木勝)監督､90年作。

―物語―
チンピラのワァディ(劉德華)は､兄貴分(朱鐵和)の指示で宝石店襲撃を手伝うハメになる。逃走途中資産家の令嬢ジョジョ(吳倩蓮)を人質に取って逃げた。実行犯のラッパ(黃光亮)は顔を見られたジョジョの命､そしてワァディをも狙うが､逃れた２人は共に時を過ごすうち恋に落ちる。マカオで幸福な時間を過ごす２人だが､ジョジョの母親はワァディを誘拐で告訴し引離そうとした。ジョジョがカナダ留学を決意した矢先､ワァディの組織ではラッパが組長の座を狙って内紛を起こし､ワァディは頭部に重傷を負う。瀕死のワァディはジョジョをバイクに乗せて夜の街を疾走し､２人きりの結婚式を挙げるが…。

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コメント(5)

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[1] mixiユーザー 01月20日 20:47

『いますぐ抱きしめたい』(88年)を起点とし､アンディ･ラウ(劉德華､画像左)が数々の映画で演じてきた"チンピラ路線"の到達点的な1本であり､現在でもファンの間で彼の代表作と語り継がれている作品です。
『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(2004年､画像右)といったジャッキー･チェン(成龍)主演作も手掛けるなど､今やトップ監督のひとりとなったベニー･チャン(陳木勝)の事実上デビュー作となります。ただ大半の演出はプロデューサーであり先に監督デビューしていたジョニー･トーが手掛けたと言われています。そのほかリンゴ･ラム(林嶺東)とウォン･ジン(王晶)の両監督がプロデュースに回るなど､スタッフも一流どころが揃っています。
日本では､93年の｢東京国際ファンタスティック映画祭｣で原題にて上映後その年の年末に小規模ですが邦題が付いて劇場公開されました。その際にはラブストーリーであることが強調されましたが､実際本編を見るとガンアクションや格闘､バイクチェイスも用意されてますし､黒社会で生きる男たちの葛藤や対立といったドラマも色濃く描かれています。コレまで紹介した作品のなかではロマンチックな要素が強いですが､"香港ノワール"としての魅力も充分備えた1作に仕上がってもいるのです。

[2] mixiユーザー 02月03日 15:42

本作で映画デビューを飾ったウー･チェンリン(吳倩蓮､画像左)も､ヒロインとして鮮烈な印象を残しました。元々アイドルグループの一員からソロ歌手として台湾で活動していましたが､本作の演技で第10回香港電影金像奨で最優秀新人賞にノミネートされるなど脚光を浴び､アンディ･ラウを始めとする｢四大天王｣から､トニー･レオン(梁朝偉)､レスリー･チャン(張國榮)､ラウ･チンワン(劉青雲)､そして"亜州影帝"チョウ･ユンファ(周潤發)といった錚々たるスター俳優たちとの共演を重ね､90年代の香港映画を代表する人気女優へ登り詰めていきました。特にアンディとは本作の後も『raid-ers レイダース』(91年､ビデオのみ)､『復讐のプレリュード』(95年)､『ベルベット･レイン』(2004年)といった香港ノワール系の作品などで共演しています(ご紹介した３作品は後刻当コミュニティでご紹介予定です)。また現在ほどブレイクしていなかった90年代のジョニー･トー(杜琪峰)監督作では､彼女がヒロインに起用される頻度が高かったです。彼に限らず香港映画界のトップクラスの監督にはほぼ起用されているウー･チェンリンですが､台湾のデビュー時から同じ台湾出身の監督兼女優シルビア･チェン(張艾嘉)から強い信頼を寄せられていたのも特筆すべき点です。
本作は香港では興収的にそこそこでしたが､評論家筋やマスコミ､そして業界内からはかなり好評だったようでシリーズ化されることとなります。第2作『風よさらば』(93年)､第3作『戦火の絆』(96年､画像中)で主演の変更はあっても､ヒロインはウー･チェンリンのままでしたので､本作含め彼女の為のシリーズと言って過言ではない代表作となりました。
日本でも本作が香港で公開された後から､広東語表記のン･シンリン名義で一部の香港映画ファンからの注目を集めました。本作以降の香港映画では､化粧っ気の少ないナチュラルな美少女役が多かった印象でしたが､95年夏に日本では公開された台湾出身のアン･リー(李安)監督による『恋人たちの食卓』(94年､画像右)では､航空会社勤務のキャリアウーマン役でコレまでと一変した大人の魅力あふれる女性を演じて､一般の映画ファンにも知られるようになりました。