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偽装請負/多重派遣/個人事業主コミュの『労働者派遣と請負・業務委託・出向の実務』(労働調査会)

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タイトルどうり、労働者派遣、請負、業務委託、出向の実務とその周辺の法律について詳しく解説されています。著者は安西愈(あんざいまさる)という方で、旧労働省労働局出身の弁護士さんです。

労働者派遣、請負、業務委託、出向といった労働者の就労のさせかたは、一歩法律を踏み誤れば、たちまち偽装請負や違法派遣に転落する可能性もあるわけで、どういう場合に偽装請負や違法派遣のような脱法行為になってしまうかについてもかなり詳しい解説がなされています。

私はこの本を読んで、「派遣」と「労働者供給」とがどう違うかを初めて理解しました。また、「一人親方(ひとりおやかた)」という新しいタームを知りましたし、これときわめて類似する「個人業務受託者(インディペント・コントラクター)」という概念についても理解を深めることができました。

本書の内容は、当コミュのテーマにドンピシャに焦点が合っており、まさに教科書的な本だと思います。お時間のある方にはぜひ一読をお薦めしたいです。詳細な目次を以下に示します。


【目次】

第1章 労働者派遣の意義―労働者派遣とはどのような就業形態なのか
1.労働者派遣法の意義とインパクト―雇用と使用の分離
2.労働者派遣法の目的と問題点
3.労働者派遣法のポイントと派遣労働関係
4.職安法の労働者供給事業禁止と労働者派遣法との関係

第2章 多様な労働者派遣の形態と労働者派遣法の適用上の問題
1.他人の労務の多様な利用形態と労働者派遣法の適用
2.「一時的臨時派遣」・「応援派遣」と労働者派遣法の適用
3.取締役・一人親方と労働者派遣法の適用―対象となる労働者とは
4.労働者派遣のあっせん・家庭への派遣と労働者派遣法の適用

第3章 労働者派遣と請負・業務委託等をめぐる問題
1.「請負」ならば法規制を受けない
2.請負、業務委託等と労働者派遣
3.いわゆる偽装請負をめぐる問題
4.個人情報保護法における労働者派遣と請負・業務委託との差異

第4章 「労働者派遣事業と請負事業との区分告示」をめぐる問題
1.「労働者派遣事業と請負事業との区分告示」をめぐって
2.個人業務受託者をめぐる問題
3.請負と労働者供給との区分は
4.請負または業務委託と労働者派遣の具体的判断基準の検討

第5章 業務請負・業務委託契約書と解説
1.業務請負・委託契約書の要点
2.「告示」の基準による請負事業か否かのチェックポイント
3.業務委託契約書と仕様書方式による請負の場合

第6章 労働者派遣と出向との区別をめぐる問題
1.労働者派遣と出向との差異
2.「業務取扱要領」における労働者派遣と出向との区分
3.労働者派遣と出向との具体的な労務管理上の差異
4.出向労働者の成果を「売上高」とする場合
5.全面的な転籍・出向型のアウトソーシングと労働者派遣

第7章 店員派遣・代理店派遣等の自社業務派遣と労働者派遣
1.店員派遣等の形態と労働者派遣との差異
2.派遣先に派遣店員や派遣駐在員の管理を委託した場合
3.店員派遣形態の場合の労基法等の適用と派遣先業務従事の場合の問題

第8章 いわゆる二重派遣的形態をめぐる問題
1.二重派遣とは
2.なぜ二重派遣は禁止か―二重派遣のパターン
3.二重派遣に該当しない場合
4.事業者間の協力・協業形態と二重派遣
5.プロジェクトチーム形態の場合
6.協同組合形態の場合

巻末参考資料
1.労働者派遣基本契約書(解説付き)
2.労働者派遣個別契約書(一般的業務用)
3.請負基本契約書
4.請負基本契約に付随する覚書(解説付き)
5.請負適正化のための自主点検表

コメント(6)

「労働者派遣法」における「労働者派遣」と、「職業安定法」に概念規定する「労働者供給」とは、非常に似ているわけです。しかし違いはちゃんとあるわけで、この違いが分かっていないと、労働者派遣業者が合法的に労働者派遣することはできないし、派遣労働者を受け入れる側も、合法的に使いこなすことはできないでしょう。世の事業主さんは、こういうことがちゃんと分かっているのかどうか疑問を感じました。

「労働者派遣法」においては、派遣元の派遣会社が派遣労働者を「雇用」していることが重要な要件になっているんですね。一方、「職業安定法」に概念規定する「労働者供給」の場合は、この「雇用」による労働者の地位確保がいい加減になっている場合を指し、違法行為になるわけです。

労働者派遣における派遣契約の属性をどう理解するかですが、

(1)派遣元と派遣先間における派遣労働者の指揮命令権の譲渡契約であるとする見解

(2)派遣先に派遣元の有する労働者の指揮命令権を委託するものであるとする見解

(3)両事業主間において派遣先に対する派遣労働者の労働力を使用、収益なさしめる賃貸借類似の無名契約(民法に定める典型契約に属さない契約自由の原則に基づいて締結される契約)であり、いわば指揮命令権の貸与契約であるとする見解

があるようです。著者の安西氏は(3)の見解に立っているようです(P13)。
この本で、「一人親方」について書かれている部分をご紹介しましょう。

『このため、個人事業主である一人親方が派遣先で指揮命令を受け自ら労働力としての使用収益の対象となって労働を提供し、労働することになると、それはもはや労働者派遣ではなく、派遣先と一人親方との間に雇用契約が締結されたことになり、派遣先の直接雇用する労働者となってしまうことを意味する。
 また一人親方の自営業者としてあくまでも専門的知識、経験、能力を生かしたプロフェッショナルとして、派遣先から指揮命令を受けないで、独立自営業者として派遣先より注文や委託を受けて自己の責任で業務を遂行するということになると、それは「請負契約」ないし「業務委託契約」となり、労働者派遣には該当せず派遣法の適用外となる』(P33〜34)

ここで述べられていることは、私なりに要約すると、「雇用か、請負か、はたまた偽装請負か」ということです。そして、「雇用か、請負か」のキーポイントの一つは、「その一人親方がその就労している職場で指揮命令を受けるのか受けないのか」ということでしょう。雇用していないのに指揮命令を受けると、これが偽装請負だということになりましょう。
こういう図書をコミュニティとして登録できないものでしょうかね?>mixi事務局様。

>>[1]労働者派遣における指揮権は私も(3)の「貸与」と思っています。
移譲したり委託したりだと、派遣労働者の所属が曖昧になります。

もちろん、それは常用型派遣を前提としています。

登録型派遣においては「労働者供給」に過ぎませんね。派遣元は労働者を「雇って」いないのにピンハネだけしているわけですから。

>>[2]「一人親方」は従来、大工や内装業などで多く使われた言葉です。

本来、請負は成果物に対する代償として報酬をやりとりすべきで、どんな成果物を提出するかは契約時に明示しまければいけません。

ところが、私の実家の増築工事を引き受けた大工さんたちは、増築する家屋に対してではなく、労働時間に対する報酬という契約を結んだため、予定を半年過ぎても完成する見通しが全くつきませんでした。
早く完成すればそこで報酬がストップするのだから、当たり前です。

また、私の部屋は屋根のある部分と屋根のない部分とに分けられるはずでしたが、誰も知らない間に両方とも屋根があるように建てられていました。
私の指摘を受けて、担当する建築業者が慌てて確認すると、1階部分の防水上の問題で2階を雨ざらしにすることは不可能、ということで勝手に屋根をつけた(というか、部屋だけ分けて屋根は分けなかった)ということです。
つまりは、大工さんと契約する時に、どういう部屋を増築するかが決められてなかった、ということです。

>>感想
本来は全く違うはずの「派遣」と「請負」が、現在は「指揮命令の有無」でしか区別できなくなっているのは、一つには「成果物の事前徹底」がなされておらず、「労働時間の売買契約」だけおこなって、どのような成果をあげるかは業務に入ってから徐々に決めて行く、という業務形態が横行しているからだと思います。

私は、労働時間の請負契約は「労働者供給」として禁止すべきだと思っています。
時間単価で労働力が欲しいなら、百歩譲って労働者派遣法を守れ、良心が少しでもあれば直接雇用しろ、と考えます。
>>[3]

>私は、労働時間の請負契約は「労働者供給」として禁止すべきだと思っています。時間単価で
>労働力が欲しいなら、百歩譲って労働者派遣法を守れ、良心が少しでもあれば直接雇用しろ、と考えます。

全くおっしゃる通りですね。私は「偽装請負禁止法」のような法律が必要だと考えていましたが、条文をどう規定するかは技術的に非常に難しいと感じていました。しかし、時間単価で労務提供を要求する契約条項を「労働者供給」とみなす「みなし規定」を設けることで、事実上の「偽装請負禁止法」の役割を果たすと考えます。
私は偽装請負に特に関心を持っているので、関連する説明で重要と思えるところをピックアップしてご紹介します。第3章の「労働者派遣と請負・業務委託をめぐる問題」の3に「いわゆる偽装請負をめぐる問題」というセクションがあり、そこの注目した解説をご紹介します。


『請負や業務委託のポイントは、請負人側の業務の独立処理にあり、労務・人事・業務・秩序・事務管理上注文者側から独立していなければならない点である。これらの独立性を欠くと正当な請負や業務委託とは認められず、いわゆる偽装請負とみなされ、適法な労働者派遣の要件を充足しない場合には、もともと労働者派遣形態は実質上すべて労働者供給事業に該当する(職安法第4条第6項)というパターンである(「業務取扱要領」)から、労働者供給事業の違反(職安法第44条)となり、請負人側も注文者側も両者とも処罰される(職安法第64条第9号)ということになり、これが厚生労働省の見解となっている。』(P55)


上の記述で、「請負人側も注文者側も両者とも処罰される」という文言が見えますが、この場合の「請負人側」の、実際に発注者側事業体内で就労している労働者も処罰の対象になるのかどうかは、上の記述で見る限りは判然としません。

私の解釈では、この場合の「請負人側」というのは、業務の受注者としての人材派遣(労働者供給)会社の主体が存在する場合の話に限定されるのではないかと考えています。つまり、逆に言うと、「請負人側」が「一人親方」であって、当該親方が自ら労働者となって発注者側事業体内で就労している場合は、処罰の対象にはならないと解釈しています。

なぜかというと、もしこれが処罰の対象になってしまうと、労働者を保護する趣旨で規定されている「職業安定法」の意義が空洞化してしまうからです。
もうひとつ私が偽装請負の観点から注目した記述はこちら(↓)。


『しかしながら、個人業務委託契約者として、労働者でなく独立自営業者として、当該業務の受託事業者と業務委託契約を結んで、当該業務委託契約に基づいて委託者と受託事業者との間の業務委託契約の履行として、独立性が認められるのは、実態上も前記「告示」の基準に合致するものでなければならない。そのためには発注者と個人事業者との間で注文書及び仕様書(複雑な設計・施工を要する注文の内容や図面を記した書類で、契約書、注文書等と一体となった発注図書類をいう)等で具体的に注文に係る仕事の完成や業務の独立処理すべき内容が明白で、いちいち発注者から指示を受けるものであってはならない。あくまでも請負や業務委託と認められるためには前記「告示」の基準に準じた個人自営業者としての独立性が認められるものでなければならない。(中略)そのためには受託事業者からも委託者からも具体的な指揮命令を受けるものであってはならない。』(P102)


上に記述されていることは、個人業務委託契約者が独立自営業者でなければならないことからして、当然のことと理解できますが、このページの隣のページには、さらに次のような興味深い説明があります。


『委託者の労働者や派遣労働者と同一業務を混在して行うものでないこと。委託者の事業所内で混在業務従事者の一員として委託者の担当者等の指揮命令を受けるものであってはならない。』(P103)


つまり、独立自営業者たる個人業務委託契約者は、委託者側の正社員等とチームプレーをしてはいけないし、させてはいけないというわけです。これは「独立性」がきちんと維持されないからです。

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