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愛しき空コミュの思い出の空

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一緒にかえろう。

恋をするためピンクのバスに乗り込んだ男女が
恋におち番組製作者の作戦通り視聴者の涙と笑いを誘う。

異国の地でまるで世界中に異性はその数名しかいない錯覚に陥り
同時に恋におちる。

よく考えるとその恋は本当の恋といえるのか。
なんて事はわからないが
唯一わかっているのはそんな冷めた考えをしながらも
見事番組制作者側の意図通りTVをみている俺がいるってことだけ。

女性なんか世界中にたくさんいる。
それでも一人の女性が気になって数年が過ぎている。

それでも恋とよべるか分かんないけど
恋に落ちそうになったことも過去にあった。



いつものように業務をこなす午後。

たまに起きるトラブルに頭を悩ましていた。
どうしようかな。
考えてもそれが解決するわけもなく
とりあえずトラブルを解決するべく煙草をふかしながら
少し深いため息をつく。

なんとかなるよ。

そういって契約社員である女性社員が
俺のマグカップにコーヒーをいれてデスクに置き
自分の業務へともどっていった。

あの日もこんなちょっぴり暑い日だったな
なんて事を思い出した。




彼女は結婚して2年。

俺が入社して3年たった2年前彼女は今とは違う苗字で
正社員として同じ業務をこなしていた仲間という名の同僚。

仕事は淡々とこなし
お客からの評判もそれなりによかった。

今では結婚して契約社員として事務職を主にこなしている。

3年前彼女と同じプロジェクトを担当したとき
今まで会話という会話をしていなかった彼女と
まともに話したのを記憶している。

あの時も今と同じようにひとつのトラブルで頭を悩ませて
遅くまで残業をしている俺に付き合ってくれた。
なんとか解決したとき安心感と同時に空腹が僕を襲い
下心なんかなく彼女を夕食にさそった。

なんか疲れたからご飯でもいかない?おごるよ。

そういうと目を輝かせ
最近駅前にできた店にいってみたいと彼女はいった。

そこで彼女とは仕事以外の話を初めてした。


家族のこと
趣味のこと
そして恋愛のこと


たわいもない話だったかもしれないが
なにか心地いい雰囲気で
傍から見れば恋人にでも見えたかもしれない。

もうそんなに彼氏いないんだ?

そっちだって長い間いないじゃん。

なんて笑い話をしながら彼女との
ミーティングという名のデート?はそれなりに楽しかった。


夜になると急に淋しくなったりするのは
女々しいかもしれないが、たまにあったりする。
ずっと好きな加那は彼氏がいて
なんとなく異性と話したくなる時がある。

何度か彼女と食事したとき
初めてプライベートで携帯に電話をした。

どうしたの?

そう問われても
さみしくて・・なんていえる筈もなく
イタ電したくなってさ
とクダラナイ冗談で彼女は笑いながら長電話に付き合ってくれた。

社会人になってからというもの
学生時代のようにコンパばかりの週末はなくなって
女性との出会いの機会も減ったかもしれない。

職場で数名いる女性社員の中でも
彼女が一番魅力的だったってこともあって
何か少しずつ惹かれていくのを自分の中で感じていた。


お疲れ様です。

また明日。


普通の男女とは違う電話の切り方。
食事のあとの別れ際の台詞。

僕たちは友達でもなければ
恋人でもなく
同僚。

人間は慣れていく生き物で
食事だけでなく映画やカラオケなんかも数回いった。

もちろん二人だけでないときもあったが。

メールの回数も増えていった。

それでも職場のましてや同じプロジェクトの一員に
恋なんかしていいのか?なんて自問自答している自分が心のどこかにいた。

そして加那の事も考えたりする自分が心のどこかにいた。

初めて彼女と食事にいってから1ヶ月が過ぎ
ジメジメした梅雨がやっとあけようとしていた。

その日は明日中に仕上げなくてはならない書類つくりに
終われいつの間にか社内には二人になっていた。

途中休憩を挟みながら馬鹿話。

上司の文句やクレーマーへの不満を笑いながら。

僕は彼女に恋をしているのだろうか。
お互い両想いとはいえないが
間違いなく惹かれあっているのは気づいてる。

それでも仕事の仲間というだけで
どこか踏み出せずそれでもこんな恋人といえない関係が
いつまでも続けばなんて思っていた。

前に彼女に加那の話をしたこともある。
彼女の男関係もかるく聞いたこともあった。


俺が少しは惹かれた人だ。
魅力がない筈がない。

そして書類が完成しようとしていたとき彼女が口を開いた。

彼氏できるかもしれないんだ。

しばらくの沈黙。
なんだこの空気。
早く沈黙を打ち消さないと。

そっか。
じゃあもう二人で食事とかいけないね。
残念だけどおめでと。

なんてことを明るく言ってみる。

そうだね。

加那ちゃんのこと好きなんでしょ?
がんばりなよ。

どうかな?

数分後書類が完成し
かえろっか?と彼女が俺に言う。

タイムカードを押し
事務所は静まり返りなんとなく彼女を抱きしめたくなった。

理由なんてわからないし
文字になんてできないが

そのときは本能のまま彼女の手を引っ張り抱きしめた。

え?

なんとなくだよ。

そっか。


そういうとぎゅっと抱きしめている俺の腕の上から
ぎゅっと彼女が力をいれてくれた。


今はまだ彼氏いないからね。

そうだね。

今日だけなんとなくね。

知っている。



そして流れのままキスをした。

最初で最後のキスを。

きっと当事者本人しかわからない雰囲気で
当事者同士でしかわからない感情だったろう。

そしてその日
二人が始めてであり最後の言葉をお互いに言った。


ばいばい


お疲れ様。
としか言えなかった同僚に
男女の別れの挨拶。


ばいばい

言った後なにか照れくさく
初々しい感じ。


それから一年後。

彼女はそのときできた彼氏と同じ苗字を名乗り
正社員から契約社員へとなった。



あの時ああいえば
あの時こうすれば

なんて後悔なんかせず
二人しかわからないであろう感情は
今ではひと夏のいい思い出としてお互いの胸のなかに。

その日の帰り道
昨日までの大雨がうそのように晴れ
夕焼けがやけにキレイに空を染めていたことを覚えてる。




彼女が入れてくれたコーヒーを一口飲み
自分がやるべき業務へと手を進める。



そんな恋のような昔話。



今年も梅雨があけたようだ。

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