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ちりめん山椒(連歌 俳諧 連句)コミュの芭蕉連句鑑賞 炭俵『むめがゝに』の巻

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http://homepage.mac.com/metrius/umegakani.jpg

    炭俵『むめがゝに』の巻

  むめがゝにのつと日の出る山路かな  芭蕉
   処/\に雉子の啼たつ       野坡
  家普請を春のてすきにとり付て    同
   上のたよりにあがる米の直     芭蕉
  宵の内はら/\とせし月の雲     同
   薮越はなすあきのさびしき     野坡
  御頭へ菊もらはるゝめいわくさ    野坡
   娘を堅う人にあはせぬ       芭蕉
  奈良がよひおなじつらなる細基手   野坡
   ことしは雨のふらぬ六月      芭蕉
  預けたるみそとりにやる向河岸    野坡
   ひたといひ出すお袋の事      芭蕉
  終宵尼の持病を押へける       野坡
   こんにやくばかりのこる名月    芭蕉
  はつ雁に乗懸下地敷て見る      野坡
   露を相手に居合ひとぬき      芭蕉
  町衆のつらりと酔て花の陰      野坡
   門で押るゝ壬生の念仏       芭蕉
  東風々に糞のいきれを吹まはし    同
   たゞ居るまゝに肱わづらふ     野坡
  江戸の左右むかひの亭主登られて   芭蕉
   こちにもいれどから臼をかす    野坡
  方/\に十夜の内のかねの音     芭蕉
   桐の木高く月さゆる也       野坡
  門しめてだまつてねたる面白さ    芭蕉
   ひらふた金で表がへする      野坡
  はつ午に女房のおやこ振舞て     芭蕉
   又このはるも済ぬ牢人       野坡
  法印の湯治を送る花ざかり      芭蕉
   なは手を下りて青麦の出来     野坡
  どの家も東の方に窓をあけ      野坡
   魚に喰あくはまの雑水       芭蕉
  千どり啼一夜/\に寒うなり     野坡
   未進の高のはてぬ算用       芭蕉
  隣へも知らせず嫁をつれて来て    野坡
   屏風の陰にみゆるくはし盆     芭蕉


参考:
 芭蕉全連句(by 生角さん) http://www7a.biglobe.ne.jp/~yeoman/re259.pdf
            in http://www7a.biglobe.ne.jp/~yeoman/frame.html
 潁原退蔵編『俳諧七部集』の全文テキスト  http://j-texts.com/kinsei/h7buah.html

コメント(41)

                 付心 付所 付筋 親疎 見立替え  執中 曲節
むめがゝにのつと日の出る山路かな
 処/\に雉子の啼たつ      起情 其場 物心 親句       雉子 処々
家普請を春のてすきにとり付て   起情 時節 心付 疎句       家普請てすき


  家普請を春のてすきにとり付て処/\に雉子の啼たつ
家普請を春のてすきにとり付て
 上のたよりにあがる米の直    起情 時宜 心付 疎句       米価 上の便

家普請を春のてすきにとり付て上のたよりにあがる米の直
(やぶしん)                  (ね:値)

 家の修理を農閑期に頼んだが、上方からの便りでは米の相場が上がったとか、金要り
 の時に心配なことだ。
 上のたよりにあがる米の直
宵の内はら/\とせし月の雲    起情 時分 余情 疎句       小雨 はら々

宵の内はら/\とせし月の雲上のたよりにあがる米の直

 宵の内に月に雲がかかりぱらぱら小雨が降り出した、上方からの便りでは米の値が
 上がったというが不安だ。(言っている内容は全く関係ないものだが、前句の不安感
 と付句の不安感が見事に交響している!)
宵の内はら/\とせし月の雲
 薮越はなすあきのさびしき    起情 其場 心付 疎句       寂び 薮越話

宵の内はら/\とせし月の雲薮越はなすあきのさびしき

 宵の内に月に雲がかかり小雨がぱらぱら降ってきた。境界の笹薮越しに
 お隣と話をしたがやはり秋は寂しい。
 薮越はなすあきのさびしき
御頭へ菊もらはるゝめいわくさ   起情 其場 心付 疎句 在所->町  菊  迷惑さ

御頭へ菊もらはるゝめいわくさ薮越はなすあきのさびしき

 御頭から使いがきて菊を所望された。使いと薮越しに話したがお互いにお仕えする
 身はつらく秋が寂しく感じられる。

写真提供は<a href="http://photozou.jp/photo/top">フォト蔵さん</a>
御頭へ菊もらはるゝめいわくさ
 娘を堅う人にあはせぬ      起情 其人 心付 疎句       秘蔵娘会せぬ

御頭へ菊もらはるゝめいわくさ娘を堅う人にあはせぬ

 御頭から我が家の菊の所望があったが迷惑なことだ。使いに見られ御頭に告げ口され
 ぬようにしっかりと我が愛娘はかくまって会わせぬようにしよう。
 娘を堅う人にあはせぬ
奈良がよひおなじつらなる細基手  起情 其場 心付 疎句       行商人細基手

奈良がよひおなじつらなる細基手娘を堅う人にあはせぬ

 奈良を商いの場とする行商人はみな同じような零細な元手だが、なにかあるといけない
 ので娘は会わせないようにしよう。
奈良がよひおなじつらなる細基手
 ことしは雨のふらぬ六月     遁句 時節 心付 疎句       空梅雨今年は

奈良がよひおなじつらなる細基手ことしは雨のふらぬ六月

 奈良を商いの場としている零細な元手の私達行商人にとって、今年は空梅雨で行商しや
 すくて助かりますね。

 ことしは雨のふらぬ六月     遁句 時節 心付 疎句       空梅雨今年は
預けたるみそとりにやる向河岸   起情 時節 心付 疎句       味噌 預けた

預けたるみそとりにやる向河岸ことしは雨のふらぬ六月
 
 こっちは土地が低く浸水しやすいので向こう岸の親しい人に味噌桶を預けていたが、今年
 は空梅雨なのでとりに行かせた。(味噌を預けた理由、預けた先(親類、知人、親方等)
 などをさまざまに空想、想像して色々と古今権威からも恣意的解釈が出てくるところであ
 ろう。言葉足らずの他の句についても同様。)
預けたるみそとりにやる向河岸
 ひたといひ出すお袋の事     起情 其場 心付 疎句       身上話ひたと

預けたるみそとりにやる向河岸ひたといひ出すお袋の事

 向こう岸の親類に預けた味噌を取りに行かせた。味噌など万事をよく仕切っていた母
 への思い出話に花が咲いた。
 ひたといひ出すお袋の事
終宵尼の持病を押へける      起情 其人 心付 疎句       尼持病持病押

終宵尼の持病を押へけるひたといひ出すお袋の事

 旅の宿で夜もすがら同行の尼の看病をしたがお互いにひたすら母の思い出話をした。
終宵尼の持病を押へける
 こんにやくばかりのこる名月   起情 其人 心付 疎句 尼->女房  宴遅参蒟蒻

終宵尼の持病を押へけるこんにやくばかりのこる名月

 一晩中女房の看病をしていて翌日の月見の宴に遅参した。ごちそうは蒟蒻しか残って
 いなかった。
 こんにやくばかりのこる名月
はつ雁に乗懸下地敷て見る     起情 其場 心付 疎句 宴会->旅立 旅立 乗懸下

はつ雁に乗懸下地敷て見るこんにやくばかりのこる名月

 初雁が啼いたので鞍に下地を敷き出立の準備をする。昨夜の鍋にはこんにゃくばかり残
 っており空には名月が出ている。
はつ雁に乗懸下地敷て見る
 露を相手に居合ひとぬき     起情 其人 心付 疎句       露  居合

はつ雁に乗懸下地敷て見る露を相手に居合ひとぬき

 初雁が啼いたので鞍に下地を敷き出立の準備をする。立木から露が落ちてきた。戯れに
 はっとばかり居合い抜きをした。(手刀かも知れない。)

                 付心 付所 付筋 親疎 見立替え  執中 曲節
 露を相手に居合ひとぬき
町衆のつらりと酔て花の陰     起情 其場 心付 疎句 旅人->酔客 花見衆づらり

町衆のつらりと酔て花の陰露を相手に居合ひとぬき

 町の人々がずらりと陣取って花見の最中だ。酔客が戯れて花の露を相手に手刀で居合い
 抜きをしている。(前句は秋(露)で付句は春(花)の季移り。露は困ったときには便
 利の言葉。そんなこととは露知らず(^^))
町衆のづらりと酔て花の陰     起情 其場 心付 疎句 旅人->酔客 花見衆づらり
 門で押るゝ壬生の念仏      起情 其場 心付 疎句 花見->壬生念壬生念門で押

町衆のづらりと酔て花の陰門で押るゝ壬生の念仏

 町のお歴々が揃って桜の咲く茶店で呑んでいる。壬生念仏(法会と狂言)はすごい人出で
 寺門では押し出されてしまった。
 門で押るゝ壬生の念仏
東風々に糞のいきれを吹まはし   起情 時節 心付 疎句       東風 糞熱れ

東風々に糞のいきれを吹まはし門で押るゝ壬生の念仏

 東風が畑にまかれた糞(こえ:肥)のいきれを吹き回すように吹いている。壬生寺の門
 ではごったがえす壬生念仏の群衆に押されながら境内に入った。

東風々に糞のいきれを吹まはし
 たゞ居るまゝに肱わづらふ    起情 其人 心付 疎句       肱の病ただ居

東風々に糞のいきれを吹まはしたゞ居るまゝに肱わづらふ

 東風が堆肥の熱れを吹き回している。畑に撒かなければいけないが肱が神経痛で痛くて
 無為に過ごしている。
 たゞ居るまゝに肱わづらふ
江戸の左右むかひの亭主登られて  起情 其人 心付 疎句 農夫->奉公 上京話左右

江戸の左右むかひの亭主登られてたゞ居るまゝに肱わづらふ

 江戸に働き出た家族(子か兄弟)の様子を見てきてくれるよう、上京した向かいの亭主
 に頼んだが、仕事は楽でただ居るだけなのでなまって肱が痛いとか。(ここらへんは
 想像の余地が広く、解釈のバリエーションがあることだろう。)
江戸の左右むかひの亭主登られて
 こちにもいれどから臼をかす   起情 其人 心付 疎句       から臼こちに

江戸の左右むかひの亭主登られてこちにもいれどから臼をかす

 江戸の様子を江戸へ行ってきたばかりの向かいの亭主から聞かせてもらったので、
 こっちでも唐臼を使うところだが先に貸してあげた。
 こちにもいれどから臼をかす
方/\に十夜の内のかねの音    起情 其場 心付 疎句       十夜鐘方々に

方/\に十夜の内のかねの音こちにもいれどから臼をかす

 方々の寺で十夜(十月五日から十四日まで行われる浄土宗の念仏法会)の鐘の音が鳴っ
 ている。この期間は寺をめぐるのに忙しいので、うちでも要るのだが先に唐臼を貸した。
方/\に十夜の内のかねの音
 桐の木高く月さゆる也      起情 時分 余情 疎句       冴ゆ月桐の木

方/\に十夜の内のかねの音桐の木高く月さゆる也

 方々の寺から十夜の鐘の音が聞こえる。見上げると桐の木の高い梢の上に澄んだ月が見
 える。
 桐の木高く月さゆる也
門しめてだまつてねたる面白さ   起情 其人 心付 疎句       早寝 黙て寝

門しめてだまつてねたる面白さ桐の木高く月さゆる也

 隠者なのだから誰か来るといけないと一般人のように門を開けておく必要もないの
 だ。自分の好きなように早めに門を閉めてねることにしよう。そう思うと束縛から
 解放されたようで面白い気分だ。見上げると庭の桐の高い梢に澄んだ月がかかって
 いる。
 
 芭蕉自身は、「すみ俵は門しめての一句に腹をすへたり」(三冊子・赤)としてい
 るが、門人は口をそろえて、空豆の巻の 泣事のひそかに出来し浅ぢふに 芭蕉 
 がよいとしている。

 余談になるが、芭蕉は おもしろさ急には見へぬすすきかな 鬼貫 に衝撃を受け、
 面白さを詠んだ句をいつかものしたいと思っていたのかも知れない。平句と発句だ
 が、ならべてどちらがよいかは自明か。やらせが感じられない鬼貫の句が優ってい
 るか。
門しめてだまつてねたる面白さ
 ひらふた金で表がへする     会釈 其人 心付 疎句 隠者->俗人 猫ばば拾た金

門しめてだまつてねたる面白さひらふた金で表がへする

 誰か門を叩いているが面倒くさいから黙って寝たふりをしよう。拾って猫ばばした金は
 畳の表替えにでも使おう。(意地悪い俗人と見立て替えしたか。表がへする が現在形
 だったりして古今、付いていない句とされることもあるようだ。)
 ひらふた金で表がへする
はつ午に女房のおやこ振舞て    起情 其人 心付 疎句 拾金->貰金 振舞 初午に

はつ午に女房のおやこ振舞てひらふた金で表がへする

 初午に女房の親類にもてなしをしたら喜んで過分なお礼を貰った。思いがけない金で
 拾ったようなもの、畳の表替えでもしよう。
はつ午に女房のおやこ振舞て
 又このはるも済ぬ牢人      起情 其人 心付 疎句       牢人 又此春

はつ午に女房のおやこ振舞て又このはるも済ぬ牢人

 初午に女房の親類が来たので振る舞ったが主はこの春もまだ仕官が叶わず浪人だという。
 又このはるも済ぬ牢人
法印の湯治を送る花ざかり     起情 其人 心付 疎句 無職夫->居候留守居僧湯治

法印の湯治を送る花ざかり又このはるも済ぬ牢人

 世話になっている僧が湯治に行くのを見送る、桜が満開だが自分はこの春も仕官かなわ
 ず居候の身だ。
法印の湯治を送る花ざかり
 なは手を下りて青麦の出来    起情 其人 心付 疎句 ->花が見送り青麦 なは手

法印の湯治を送る花ざかりなは手を下りて青麦の出来

 僧が湯治に出掛るのを満開の桜が見送っている。畦道を下りて見たら青麦の出来は良い。
 なは手を下りて青麦の出来
どの家も東の方に窓をあけ     遁句 其場 心付 疎句       東向家どの

どの家も東の方に窓をあけなは手を下りて青麦の出来

 この農村は東にひらけているのでどの家も東に窓があいている。畦を下りて見ると青麦
 の出来はよい。
どの家も東の方に窓をあけ
 魚に喰あくはまの雑水      起情 其場 心付 疎句 農村->漁村 魚雑炊喰あく

どの家も東の方に窓をあけどの家も東の方に窓をあけ屋では漁

 この漁村では東に海(湖)があるのでどの家も東側に窓があいている。浜の苫屋では漁
 師たちが魚雑炊を飽きるまで喰らっている。
 魚に喰あくはまの雑水
千どり啼一夜/\に寒うなり    起情 時分 物心 疎句 漁師->旅人 千鳥 一夜々

千どり啼一夜/\に寒うなり魚に喰あくはまの雑水

 浜辺の宿に逗留しているが夜の浜では千鳥が啼きたんだん寒くなってきた。毎日の魚
 雑炊には喰い飽きてくた。
千どり啼一夜/\に寒うなり
 未進の高のはてぬ算用      起情 時節 心付 疎句       年貢 算用

千どり啼一夜/\に寒うなり未進の高のはてぬ算用

 川千鳥が啼く夜ごとに寒くなってきた。年も押し迫ってきたが百姓どもの年貢の未納
 額が多く算段がつかない。
 未進の高のはてぬ算用
隣へも知らせず嫁をつれて来て   起情 其人 心付 疎句 徴収->納税 嫁  隣不知

隣へも知らせず嫁をつれて来て未進の高のはてぬ算用

 隣近所にも知らせないまま内々で嫁をめとった。年貢は未納で算段もつかない状態だ。
 (わたくしが嫁取りしたときと似てないこともないw)
隣へも知らせず嫁をつれて来て
 屏風の陰にみゆるくはし盆    会釈 其場 心付 疎句       菓子盆屏風陰

隣へも知らせず嫁をつれて来て屏風の陰にみゆるくはし盆

 この主は隣近所にも知らせないまま嫁を連れてきて内々で祝言したようだ。屏風の陰に
 その名残りか菓子盆が見える。
                 付心 付所 付筋 親疎 見立替え  執中 曲節
むめがゝにのつと日の出る山路かな
 処/\に雉子の啼たつ      起情 其場 物心 親句       雉子 処々 
家普請を春のてすきにとり付て   起情 時節 心付 疎句       家普請てすき
 上のたよりにあがる米の直    起情 時宜 心付 疎句       米価 上の便
宵の内はら/\とせし月の雲    起情 天相 余情 疎句       小雨 はら々
 薮越はなすあきのさびしき    起情 其場 心付 疎句       寂び 薮越話
御頭へ菊もらはるゝめいわくさ   起情 其場 心付 疎句 お隣->使い 菊  迷惑さ
 娘を堅う人にあはせぬ      起情 其人 心付 疎句       秘蔵娘会せぬ
奈良がよひおなじつらなる細基手  起情 其場 心付 疎句       行商人細基手
 ことしは雨のふらぬ六月     遁句 時節 心付 疎句       空梅雨今年は
預けたるみそとりにやる向河岸   起情 時節 心付 疎句       味噌 預けた
 ひたといひ出すお袋の事     起情 其場 心付 疎句       身上話ひたと
終宵尼の持病を押へける      起情 其人 心付 疎句       尼持病持病押
 こんにやくばかりのこる名月   起情 其人 心付 疎句 尼->女房  宴遅参蒟蒻
はつ雁に乗懸下地敷て見る     起情 其場 心付 疎句 宴会->旅立 旅立 乗懸下
 露を相手に居合ひとぬき     起情 其人 心付 疎句       露  居合
町衆のづらりと酔て花の陰     起情 其場 心付 疎句 旅人->酔客 花見衆づらり
 門で押るゝ壬生の念仏      起情 其場 心付 疎句 花見->壬生念壬生念門で押
東風々に糞のいきれを吹まはし   起情 時節 心付 疎句       東風 糞熱れ
 たゞ居るまゝに肱わづらふ    起情 其人 心付 疎句       肱の病ただ居
江戸の左右むかひの亭主登られて  起情 其人 心付 疎句 農夫->奉公 上京話左右
 こちにもいれどから臼をかす   起情 其人 心付 疎句       から臼こちに
方/\に十夜の内のかねの音    起情 其場 心付 疎句       十夜鐘方々に
 桐の木高く月さゆる也      起情 天相 余情 疎句       冴ゆ月桐の木
門しめてだまつてねたる面白さ   起情 其人 心付 疎句       早寝 黙て寝
 ひらふた金で表がへする     会釈 其人 心付 疎句 隠者->俗人 猫ばば拾た金
はつ午に女房のおやこ振舞て    起情 其人 心付 疎句 拾金->貰金 振舞 初午に
 又このはるも済ぬ牢人      起情 其人 心付 疎句       牢人 又此春
法印の湯治を送る花ざかり     起情 其人 心付 疎句 無職夫->居候留守居僧湯治
 なは手を下りて青麦の出来    起情 其人 心付 疎句 ->花が見送り青麦 なは手
どの家も東の方に窓をあけ     遁句 其場 心付 疎句       東向家どの家
 魚に喰あくはまの雑水      起情 其場 心付 疎句 農村->漁村 魚雑炊喰あく
千どり啼一夜/\に寒うなり    起情 時分 物心 疎句 漁師->旅人 千鳥 一夜々
 未進の高のはてぬ算用      起情 時節 心付 疎句       年貢 算用
隣へも知らせず嫁をつれて来て   起情 其人 心付 疎句 徴収->納税 嫁  隣不知
 屏風の陰にみゆるくはし盆    会釈 其場 心付 疎句       菓子盆屏風陰
コメント:
この巻は芭蕉が晩年に提唱したという軽みの代表作というが、歌仙のほとんどが庶民、わずかに僧尼、隠者の生活ぶりが俗談平話で詠み込まれている。これを軽みと呼んだのか。

二句間で疎句付けの度合いが強く、前句との関係で一見なんのこっちゃと理解に苦しむ付句が多い。不断より想像力を働かせないと二句一連(短歌)での意味解釈が難しい。しかも想像の余地が広すぎるので、十人十色の解釈が成り立つだろう。しかもそのどれが正しいと断ずることは不可能である。

芭蕉晩年の炭俵ではなく、蕉風開眼といわれる冬の日に傾倒する向きがあるのも頷ける。

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