ド素人の映画と音楽のお勧め。コミュのそれでもボクはやってない

裁判員制度の、開始前には見ておいたほうがいいかも・・・。



「シコふんじゃった。」「Shall We ダンス？」の周防正行監督が、ある“痴漢冤罪事件”を報じる記事に関心を持ち取材を進める過程で、現在の刑事裁判のあり方そのものに疑問を抱き、その問題点に真正面から向き合った異色の社会派ドラマです。
ある青年が身に覚えのない痴漢容疑で逮捕され、その後１年にわたる裁判を経験する姿を通して、刑事裁判の実情を克明に描き出していきます。凶悪犯罪が連日のように報じられ社会不安が高まる中で、刑事手続きにおける“推定無罪”の原則が揺らぎ始めている現代社会に、一石を投じるような力作に仕上がっていました。
主演は加瀬亮、共演は瀬戸朝香や山本耕史、もたいまさこに尾美としのりに役所広司などです。


　フリーターの金子徹平（加瀬亮）は、会社の面接に向かうため通勤ラッシュの電車に乗っていた。そして、乗換えの駅でホームに降り立った彼は女子中学生から痴漢行為を問いただされる。そのまま駅員によって駅事務所へ連れて行かれた徹平は、やがて警察へと引き渡される。警察署、そして検察庁での取り調べでも徹平は一貫して“何もやっていない”と訴え続けるが、そんな主張をまともに聞いてくれる者はいなかった。そして、徹平は具体的な証拠もないまま、ついに起訴され、法廷で全面的に争うことになるのだが…。


初めに出てきた、、「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜（むこ）を罰するなかれ」が、この映画の真に伝えたいテーマなのでしょうね。
痴漢に間違えられた青年が身の潔白を証明しようと、裁判で冤罪を勝ち取ろうと闘う姿を描いた作品でした、かなり話題になった事件だったので僕も早く見たいと思っていた作品でした、ある意味で日本の司法制度を問う映画でもありましたね。
確か実際はあの女性の目撃証言が決め手になって、別の犯人の存在が明らかになった事件でしたね、痴漢事件の冤罪事件として話題にもなりました。
周防監督は『満員電車で痴漢行為をしたらこうなる』といった事を、映画を通して分かり易く映像にしてくれましたが、日本でも裁判制度が導入されると我々一人一人が検察側と弁護側の用意した証拠を許に、こうした被告人たちを裁かなければいけないのですから大変です。
痴漢行為をしたとされる青年加瀬亮演じる金子徹平が『僕はやってない』と冤罪を主張しますが、警察はろくな確証もなしに“やった”と有罪を決め付けて、彼を拘留してどうにか彼から“やった”という自白が欲しかったのでしょう。
中にはキチンと手に付着している繊維を採取して証拠としていたりするのに、被害者の“多分この人”という証言だけを鵜呑みにして、その彼を犯人と決め付けて徹底的にいたぶり違法な捜査や情報操作までやったりするというのは驚きました。
『ＣＳＩ科学捜査班』や『２４』を見慣れている僕らには、日本の警察や検事たちがいかにいい加減でだらしないかが分かります、良くこんなんで『日本は安全な国』なんて言えたものだと思ってしまいます。
実際はもっとしっかりしている人もいるのでしょうが、組織自体の存在意義を疑いたくなったりもします、警察官や組織としての不祥事の発覚も相変わらず多いですしね。
役所広司や瀬戸朝香チャン演じる弁護士が、必死になって容疑者にされた主人公金子徹平の弁護をします、時には被害者の友達など沢山の仲間を動員して現場の状況を再現してビデオに撮って、証拠として提出したりしますが果たして容疑者金子徹平の運命はどうなるのでしょうか？
役所広司演じる主任弁護人が、「裁判官はね、被告人にだけは騙されまいと思ってる。恥だからね。頭の良さに自信のある人間ほど、目の前にいる人の言葉が、万が一嘘だったらどうしよう、それに乗せられたら恥だ、という心理が働くもんなんだ。」と、加瀬亮演じる金子徹平に言います。「裁判官に悪意があるとは思わない。毎日毎日嘘つきに会い、人の物を盗んではいけません、人を傷つけてはいけません、時には人気歌手の歌を引用して説教もする。その繰り返しだ。怖いのは、９９．９％の有罪率が、裁判の結果ではなく、前提になってしまうことなんです」とも、これは映画だから誇張されているトコロもあると思いますが、これが現在の日本の裁判の問題点であり、考えなくてはいけないことなのでしょう。
判決が裁判官の感情や思惑だけで下されてしまうことがあったり、幾ら弁護士や容疑者にされた主人公が頑張ったりしても、正義がなされずに間違った判決が下されてしまうこともあるんだなぁと思わされました。
主人公の青年加瀬亮の演技も凄く自然で良かったです、噂に違わぬ面白さでした、お勧めします。