ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

San Angeles / 天使の棲む街コミュの San Angeles 天使の棲む街 3(ノベライズ)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
残暑が残る騒々しい港湾の建築工事現場。
警備員作業着姿の哲也、大量のパイロンを両手にぐったりと来る。
資材の上などに腰を降ろし、ケータイを取り出す。
そして緩慢にメール作成。件名欄に『ごめん』と打ち込んだ。
哲也「…(手が止まり、何気なく上空を見上げ、溜息)」

見晴らしの良い高い塔の上のアンジー、
下界を見下ろしながら、ミュージックモードで陽気に音楽を楽しんでいる―
お気楽な天使である。
アンジー「今度のカップル候補は、何処へ、何処へ―(ふと、探す視線が止まり、笑顔も止む)和美…?」

アンジーの回想・運河沿いの公園にて。
アンジーが、和美の持つケータイに軽くキッス―
アンジー声「あたしが仕込んだエンジェルケータイで、
確かに和美は意中の人と結ばれたはずなのに―」

オレンジに色の木漏れ日が差し込む大樹の下で、切なげな和美、ケータイのメモリーに残っている、哲也との2ショット画像を見ている。
2人で撮った大切な記録―
和美「(深く暗い溜息)…」
と、哲也からのメールが届き、表情が輝いた。刹那…

 Sub『ごめん』本文『今日も逢えそうにない』

和美「…あたしたちって、ほんとに付き合ってんのかなぁ?」
和美には見えないアンジー傍にいて、その落胆を感じる。
アンジー「最初っからこれじゃねぇ」
ふと悪戯っぽく微笑み、和美のケータイに、小さく投げキッスを
ヒュッと突き刺した―!
アンジー「アフターケアのサービスよ」
今度は、上空に向けて投げキッス。

昼間の喧騒が嘘のような港湾の建築工事現場。
一日の作業の終わり。
慣れない体力仕事に肉体の節々が悲鳴を上げている哲也、足を引きずるように、昼間設置したパイロンを後片付けに行くが、限界の為、座り込んでしまう。
ついポケットからケータイを取り出し、和美のことを想う哲也。
と、手の中のケータイに、アンジーの投げキッスが突き刺さる。
アンジーの声「どうぞご利用くださいませ」
哲也、ふと立ち上がり、上空を振り向き仰ぐ―
哲也「うわぁ…」


帰途に向かう住宅街の坂道。
和美が伏目がちにトボトボと歩いて来る。
幸せの反動で、寂しく切ない気持ちで、一杯なのだ。
と、鞄の中のケータイに、哲也からのTV?が着信した―
和美「―!(受信)はい!…?」
画面には、空いっぱいの茜雲―
哲也の声「これって、凄くねえ?」

皆が引き上げてしまった港湾内で、ぽつんとTV?中の哲也、茜雲だけを映していた画面に、自分も入り込み―
哲也「あんまり凄いから、どうしても和美に見せたくてさ」
和美「…(思わず笑み)ほんと凄い!ありがとう、テツ君」
哲也「あの…その…ごめんな、中々時間作れなくて…
明日はなんとか―」
ケータイを握り締める哲也、そのもう片方の手に握られているのは、和美へ送るためのリボンの掛かった小箱―

同じ空の下、夕焼けに染まる街の坂道。
心を覆っていた寂しさはどこかへ消え去り、幸せそうな和美、TV?の画面の中の哲也に向かい―
和美「忙しいのに無理しないで。こんなデートも、悪くないよ」
幸せに満ちた笑顔百面相を、TV?で送って、照れ隠し―

屋根裏部屋のアンジー、真っ白なケータイを手に、幸福なカップル二人の気配を感じている。
アンジー「(笑んで)恋は成就してからが、
本当の始まりってね。
さてと、次の御仕事は―」
真っ白なケータイで、プッシュトークを発信する―


つづく

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

San Angeles / 天使の棲む街 更新情報

San Angeles / 天使の棲む街のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。