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「塔」を語ろう!コミュの東京支部大会

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 3月20日は、東京支部大会でした。

http://homepage1.nifty.com/~morijiri/sakusaku/1_1.htm

                ☆

 会場は上智大学四谷キャンパスの7号館14階特別会議室。

 支部大会の出席者は、永田主宰、池本先生、三井修先生、花山先生、小林幸子先生、吉川先生といった選者の先生方と私たちで、総勢80名ほどでした。

                ☆

 はじめに、永田主宰による講演『オノマトペの面白さ』。

《要旨》

 オノマトペは歌作りの重要な方法の一つである。飯塚書店刊行の『オノマトペ』というタイトルの作歌指針に関する本には 《よく耳を澄ませて観察せよ》と書いてあるが、これはちがうだろう。オノマトペとは、リズム感、音感のようなものだと思う。オノマトペを使って、意味の呪縛からいかに意識を解き放つことができるか飛び立たせることができるかということが大事だと思う。面白いオノマトペを使うと、不思議なことに、それまで平板だった歌が急に立ち上がってくることがある。オノマトペというのは、一瞬の勝負である。自分で見つけた面白いオノマトペを使って選者に挑戦してみるというのも面白いこころみだと思う。ぜひオノマトペを使って歌を作ってみよう。

《講演の資料》〜オノマトペを使った歌の数々〜

ごろすけほう心ほほけてごろすけほうしんじついとしいごろすけほう 岡野弘彦『飛天』

鶏ねむる村の東西南北にぼあーんぼあーんと桃の花見ゆ 小中英之『翼鏡』

べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊 永井陽子『樟の木の歌』

あんたホホしようむないことしようかいな格子は春の銀色しづく 池田はるみ『妣が国 大阪』

しゅわしゅわと馬が尾を振る馬として在る寂しさに耐ふる如くに 杜沢光一郎『黙唱』

きりはたりはたりちやうちやう血の色の棺衣(かけひ)織るとよ悲しき機(はた)よ 北原白秋『桐の花』

ちりひりひ、ちりちりちりちり、ひひひひひ、ふと一葉笑ひ出したり神の山 河野裕子『体力』

雨垂れはいつまで続くしたひたてん、したしたしたしたしたひた、てん 河野裕子『歳月』

母亡くて石臼ひくくうたひをり とうほろろ、ほほう、とうほろ、ほいや 高野公彦『水行』

月夜よし二つ瓢(ふすべ)の青瓢(あをふすべ)あらへうふらへうと見つつおもしろ 北原白秋『桐の花』

うむっうむっと孟宗竹の子が伸びる欝から皮のむけてゆくなり 渡辺松男『寒気氾濫』

がぶらがぶら氷枕の温まるを夜半のよどみに裏返しをり 永田統一郎 NHK歌壇投稿歌

ぴちゃぴちゃともの食うな楊枝を使うなと娘うるさくなりにけるかな 永田和宏『荒神』

おーんおーんと山は膨らむこの山のどこかにあるはずの空気穴 永田和宏「麦と火の見櫓」(角川『短歌』掲載)

ビル街を行くときここは風の道しゃらくせえしゃらくせいとぞ風吹きすぎる 永田和宏「麦と火の見櫓」(角川『短歌』掲載)

                ☆

 ついで歌会になりました。今回の提出歌78首(!)を、13首ずつの6セクションに分けて、「短歌人」方式で検討が行われました。

司会団:村上和子氏、辻井昌彦氏

批評団:西之原一貴氏(1首目〜13首目担当)、速水零一氏(14首目〜26首目担当)、秋場葉子氏(27首目〜39首目担当)、大橋智恵子氏(40首目〜52首目担当)、松村正直氏(53首目〜65首目担当)、森尻理恵氏(66首目〜78首目担当)

選者団:小林幸子先生、花山多佳子先生、吉川宏志先生、三井修先生、永田和宏先生、池本一郎先生

 セクションごとに批評団の担当報告者が、受け持ちセクションから気になった5首について意見を発表。その後、会場からも意見を募集。それら全てを受けて、選者団が活発な意見交換を行うというもの。

 私の印象に残った作品をいくつか挙げてみます。(作者は伏せたままにしておきます)
                ☆

3.ゆつくりと自転車漕ぎて帰りゆく大きな教頭小さな校長 

池本先生:下句が目立ちすぎる。教頭、校長の役職に対して「大」「小」は使わないほうがよいと思う。

吉川先生、三井先生:そのままで戯画化が効いているので面白いと思う。

永田先生:「大」「小」の対比がまずいのではないか。夏目漱石の『坊っちゃん』の世界としてもうすこし練ってみたらいいのではないか。

                ☆

10.蒲生野を走る電車の影長く冬田に二両がゴトゴト映る

池本先生:注目した一首。

小林先生、吉川先生:注目した。「長く」「二両がゴトゴト」とあるので、この歌は外から見て詠われているのだろう。

三井先生:「ゴトゴト」は普通、擬態語ではなくて擬音語として使われることば。従って、「映る」に掛かるのはいかがなものか。

永田先生:「ゴトゴト」は冬の田に電車の影が映る様子を言っているのだろう。面白い一首。

                ☆

27.君がはじめて洗ひくれたるわがシャツをくはへよ春の洗濯ばさみ

吉川先生:「くはへよ」の命令形はいかがなものか。普通に「くはえる」でよいのではないか。

                ☆

70.うつむきて落とせし顔の神田川の柳橋の下を流るる

永田先生:リルケの『マルテの手記』の中に「少女の手の中に顔が残っていた」というような表現が出てくるが、それを踏まえたものか。

花山先生:森岡貞香の一首「今日はとて神田川の・・・」の歌に似ているような気がする。

(柳橋は、東京湾に近いところ、神田川が隅田川に流れ込むところに架かっている橋。)

                ☆

最後に、私の歌が俎上でどうなったか。。。

墓地脇に駐(と)めたる車内で見る夢はとおい昼間のごときTOKYO

三井先生から、この歌は初句の《墓地脇》の必然性が疑問で、また下句が意味不明、という評を頂戴しました。ほかの先生方も、三井先生同様おわかりにならなかったみたいです。


 運営に当たって下さった皆様、有難うございました。ご参加の皆様、お疲れ様でした。

コメント(4)

はじめまして。
昨日の支部大会に参加していた、いのうえともうします。
午前中の永田先生のお話を聞き逃してしまったので、河村さんが要旨を上げてくださったのは、非常にありがたいです。
おはようございます。

河村さん、とても詳しく書いてくださってありがとうございました。ほんとうに充実した会のようでしたね。

オノマトペの話も歌会の方式も大変興味深いものがあります。
また塔の誌上で報告がされると思いますが、数ヶ月先のことですので、こんなふうにホットなうちに様子が伺えてとても嬉しいです。

参加された方は、またご自分の持たれた感想など書いていただけると嬉しいです♪
>いのうえさん
はじめまして。そう言って頂けるとうれしいです(^^)

>藤田さん
こちらこそ恐縮です。有難うございます。支部大会、ほんとに充実した会でした。とくにオノマトペに目を開かれました。勉強になりました。
>河村さん
とても詳しく書いて下さって、ありがとうございました。
オノマトペのお話、本当に面白かったですよね。
私としては、もっと聞いていたいくらいでした。

歌会も、あれだけの歌の数があった割には、充実していたと思います。
結局、「全く一言ももらえない歌」はほとんどなかったように思いますしね。

河村さんが上げて下さった歌以外で、私が印象に残ったのは、以下のような歌です。
(すいません、コメントは省略。誰がなんと言ったか、ちゃんとメモしきれなかったのです…。)

20:黒猫の歩みはしずかぬおぬおと浮き沈みする双肩の肩

39:渋滞の国道とつぜん渡り始む数人ワラワラと亡命者にみゆ

53:少年よ鉄人28号をあやつるやうに株をあつめて

56:半身を洗濯そうに曲げ入れて私も洗うかどうか考える

73:亡き母が麻の日傘に描きたるひまはり日差しに透かしつつ歩む

私の歌は、というと…

16:君の顔見つめていられる 覚め際に無声映画の海で泳げば

最初の評者の速水さんには、「冷たい孤独感を感じる」「夢の世界を歌った歌ではないか」と、割と好意的に取って頂いたのですが、永田先生には、開口一番
「う〜ん、わからんなぁ!」
池本先生が、少しフォローして下さったのですけど、やはり、イメージ先行の歌は、距離感・バランスの取り方がむずかしいな、と痛感したのでした…。

懇親会も、普段はなかなか話せないような方ともいろいろお話しできて、楽しかったです。
それにしても、お料理多かった…(笑)

大阪から参加して、本当に良かった!というのが結論なのでした。
準備・運営にあたって下さった東京支部の方、本当にお世話になり、ありがとうございました。

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