美の巨人たちコミュの4/14 空前絶後のデジタル江戸絵画屏風「鳥獣花木図屏風」(伊藤若冲　作)

86,000枚のマス目には、どれ一つとして同じマス目はない。

ミラクルワールドの世界が、六曲一双の屏風に展開する・・・なんとも桁外れの

観察眼。

そして、不気味なほどリアルでありながら、そこに描かれているのは、実在の動

物のみならず、空想上の動物たちも、所狭しと描かれている。

さらには、幾何学的な模様の数々は、イスラムのモザイクやタイルを模したよう

な図柄が、絵画全体をより一層、観る者を異質な世界へと導いているかのよ

う・・・

江戸時代に、なぜかくも大胆かつ独自の発想と想像性を駆使して、このような世

界を創出でき得たのか。そして、ひとつひとつの動物たちに、まさに「生命の輝

き」を吹き込んでいるかのように、活き活きとしてまったく時の流れを感じさせ

ない。

斬新かつ新鮮な描写と構図には、ため息しか出ないありさまである。

写実と想像を巧みに融合させた「奇想の画家」として、曽我蕭白らと並び称され

る若冲であるが、こうした絵画を描こうと着想したこと自体、当時としては驚き

であり、いま21世紀に入って、むしろその大胆な着想が、新鮮さを増すのである

から不思議である・・・

日本絵画も、奥が深い、また恐るべしである。

足下を掘れではないが、我々は日々本当にリアルな世界を見ているのであろう

か。

観察することは、半端なコトではない、真剣勝負であることを痛感した、今回の

絵である。