とにかく怖い話。コミュのやめとかんな(遭遇編)

不思議な事があったので記しておく。

一昨年の夏、友達と三人で九州地方のとある所に二泊三日の旅行に出かけた。
今回の旅は和洋どちらも堪能しようという事になり、ネットで調べて初日はホテル、二日目は露天風呂付きの旅館に泊まる日程を組んだ。
初日のホテルは大浴場も豪華で、夜はフレンチ食べてみんなではしゃいで、併設されたお洒落なバーで夜更かししてそれなりに楽しんだ。
で次の日はそこから30分くらいの山の中にある旅館に泊まる予定になってたんだけど、向かってる最中から雨模様になってきた。
山道を車でどんどん登ってナビの通りに進むと旅館が見えてきた。
その旅館が築年数は結構いってて、ネットで調べた時は貫録のある老舗の旅館って感じだったんだけど、実際目の前に立つと、どこかどんよりとしていて雰囲気が暗かったのを覚えている。
ロビーに入ると年配のおじさんが迎えてくれて、その方が支配人さんだったんだけど、すごく感じの良い人で最初に感じた雰囲気の暗さもすっかり忘れていた。

3階の部屋に通され、一息つきながら友達と「古民家みたいな感じで味があるねぇ」とか話しながら各自お茶飲んだり荷物出したりとまったりした。
そうこうしながら、冷蔵庫の中を見てみたり押入れの中を開けてみたりと部屋を物色していたら、押入れの襖の上にもう一つ小さな収納が付いてて、何気なしにそこを開けると、なんと中には仏壇と刀が入ってた。
「わ！仏壇と刀があるよ！なんかこの部屋やばくない？」
とか変な旅館だねーとみんなで話しながらも到着したら露天風呂に行きたいって言ってたので結局収納の中の事は後まわしにして、みんなで露天風呂に向かった。
その途中、風呂の近くでさっきの支配人さんに会ったので会釈したら「うちの露天風呂は効能も眺めも最高ですからごゆっくりくつろがれてくださいね」と話しかけられて僕だけ少し立ち話になった。
でさっきの仏壇の事が気になったので、「さっき部屋の収納を開けたら中に仏壇と刀が入ってたんですけど…」って言ったら、支配人さんの顔つきが一瞬変わった気がした。
で「申し訳ございませんでした。後で片付けておきますのでごゆっくりくつろがれてください」と言われてその場は終わった。

遅れて風呂に入り、長湯したのもあって、みんなに遅れて風呂から帰ってくると、部屋で窓の外見ながら友達がぶつぶつ話し込んでる。
どうしたの？と聞くと、窓の外を指差す。
僕らの部屋の窓から旅館の中庭？が見えるんだけど、さっきの支配人さんが何か燃やしているのが見えた。
それは形からしてさっきの仏壇っぽかった。
刀もあるのかどうかは見えないけど、支配人さんが中庭で仏壇を燃やしてるぽかった。

でその夜変な事が起きた。
夜寝付けないでいると、部屋の外から何かを引き摺る音がする。
気になってドアの覗き窓から覗くとなにか白いものが廊下を通り過ぎるのが見えた。
それは白い布を上から被ったような出で立ちで、よく子供が風呂上がりにバスタオルを頭から被っている様な格好をしていた。
非常に長い布を被っているのか足元まで布は垂れ下がっていた。
覗き窓からは身長が余程高いのか顔までは見えない。
その物体がエレベーターのある右側からやってきて左隣の部屋のほうに行く。

そしてまた右側に戻っていくのが見えた。

大きなカーテンでも移動させてるのかな？
と思ってその日は気にせずに寝た。

次の日、朝起きると廊下が騒がしい。
ドアを開けて外に出てみると救急隊員の方が僕らの隣の部屋に入っていくのが見えた。

廊下には他にも従業員のおばちゃんやスタッフの男の人とかも来てて何か話している。
「やめとかんながでた」
そんな事を従業員同士で話していた様に聞こえた。
やめとかんな？

昼過ぎに旅館をチェックアウトする時に支配人さんが居たので、今朝なんかあったんですか？と尋ねたら、隣の部屋に宿泊されていた方が発作が何かでお亡くなりになってと聞いた。
それで夜中の事を思い出して、夜見たものの話をした。
すると支配人さんから「それの顔を見ましたか？」と聞かれた。
僕はそれはカーテンか何かだと思っていたので、「顔？？見てないですけど」と返答した。

なんだか後味の悪い気持ちを抱えたまま二泊三日の旅行は終了し、友達と帰路に着いた。

でこの話には続きがあるのでまた書きます。