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とにかく怖い話。コミュの遊び場

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葬祭場。
そこは私達の仕事場だった。

葬儀式典の一部を担当する。

式典のほんの一部だが、
一番、旅立つ故人様と御遺族の気持ちを汲む部分でもあり、
旅立ちのお支度を整える、納棺までの一連のお手伝いで、
お別れの重要な一部として一任されていた。

つまり、平たく言えば、いわゆるおくりびとである。


ある日の葬儀。
その葬儀の前に行われる納棺の儀の為に、
その斎場の地下にある専用の部屋で準備の作業を終えて、
時間になったら集まって来られるご遺族の方々を待っていた。

安らかな故人様を前に、スタッフ三人、正座をして静かに座っている。
上階には既にご遺族の方々が集まられているらしい。
久々に顔を合わせたお身内の方々が談笑されているらしいご様子が何となく感じ取れる。

パタパタと駆け回る音。
全く子供は無邪気なものだ。
葬式だというのにあんなに駆け回ってはしゃいで、ケラケラ笑っている声が響きわたっている。
暫く、静かにそんなことを感じながら座っていた。

完全に動作を止めて待機する沈黙の室内に、洩れ伝わる外の様子。
和やかであり、また、子供をあまりしつけない家風なのかなとか、ぼんやり考えていた。


男性スタッフが、おもむろに口を開いた。
「今、子供の声が聞こえているだろう?」

男性スタッフは一人。司会進行を行う。
斎場担当者と入念に打ち合わせを進めながら渉外の一切を行い、上階と行き来しながら準備を進めるので、
御遺族の方々の御様子も拝見して来たのだろうと思いながら、
「聞こえますね」
と、何気なく受け答えた。

男性スタッフは、こちらを伺い見ながら言葉を重ねた。
「でもね。上には子供は居ないんだよ」

「え…?」

居ないというのは俄かには信じがたいような明瞭な足音、笑い声…。
我々は、更に沈黙しつつ、
再びそれらの音を聞くしかなかった。
押し黙るお互いの様子に、
その驚きやら戸惑いやらを推し量りつつ、
一気に我々自身の緊張で張り詰めた室内に、相変わらずその無邪気な声は響きわたっていた。



※※※※

そこは、東京都下(都内と呼ばれる中心部分ではない辺縁地区のこと)の、元は荒れ地で何にもなかったうら寂しい一角が宅地造成された時に建てられた葬祭式場だ。
まだ荒れ地だった頃に通った時は、荒れ地だからか、もうあんまり来たくない気持ちになる、良い気分のしない所だと感じたものだ。
そこが宅地造成されて幾分賑やかになったけど、
どうしても以前の感じを覚えているもんだから、
何だかなぁ、ここに住んでる人達はどうなんだろうかと訝しく感じてはいた。

当の葬祭式場は、新築でとても綺麗だった。
御遺族に寄り添う葬儀で評判を呼び、伸びてきた葬儀社である。建物自体の雰囲気はとても良い。

それもあるのか、全く悪影響は無い訳なのだが、
その、地下駐車場へ向かう通路に設置された監視カメラには、
時々子供達が遊んでいる姿が写り、
行ってみると誰も居ないそうである。

そして、その会場で仕事をする時にはいつも子供の笑い声が聞こえて来る。
まさか現実の子供が居ないのに聞こえて来ていた声だとは想像してはいなかった。

その子達には、その辺りはまだ、昔のままの荒れ地で、
遊び場であるに違いない。

コメント(6)

怖いっすげっそり上に子供はいないんだよ。

IJ(いらんじょうほうや〜)
>>[001]

ありがとうございます目

私の体験でも、少しは怖い感じのものがあったと認めて頂いたようで、光栄ですほっとした顔
>>[003]

恐縮です。
情景描写は、もう体験自体が相当慣れ親しんだ主観的な視点からのものだったので、
書いては消し書いては消し。
ゼロからでも想像できる描写に構成するまでに相当かかりました。

全体を書き上げたら、一旦全文コピーしてから投稿。
一度、龍神さんとのエピソードを書き上げたら一括消滅した衝撃は忘れない(T^T)

あいや、じゃなくて、
情景が浮かぶと言って頂けたらそれはもう、報われた気持ちで嬉しいです。
ありがとうございました。
>>[005]

意外にも龍さん繋がり目

龍さんとのエピソードは様々ありますが、
シェアする程のものは数えるしかなく、
ある日、雨具を持たずに野外コンサートに行って土砂降りになり、
以前書いた、能力系の友人が天気を変えるのを苦々しく思っていた方の私が、
もうどうしようもなく、担当精霊たる龍さん達に頼んだ時の話でした。

その土砂降りが、通過中の台風だったとは知らず、
ただ、上がって行くまでの感動的な語らいを話した友人に、
「まさか昨日の台風が進路を変えたのがそのせいだと言う訳じゃないよね」
と言われたのは、

あ。落ちを先に言ったらもう書けないかな。
しかし、かなり満足行く力作だったから、もう書き直して投稿って無理だと思うから、良いや。

龍さん達と仲良しな方々は、意識の真っ直ぐな人達ですよね。
曲がれない真っ直ぐさで、
お互いを認識すると、心底安堵に包まれる。

いつもありがとうございます。

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