とにかく怖い話。コミュの夏休みの思い出

今から20年以上前の話になります。

小学校生活最後の夏休みを仲間4～5人で愉しく過ごしていました。
それでも行動は大体決まっていて、午前は近所のダムで泳いで
昼からはメンバーのだれかの家で過ごし夕方に帰る。
時々は夜に行動することもありましたがなんせ田舎なもので
子供が移動できる範囲には愉しげな施設もなくお金もない！
まぁ、一般的な田舎の小学生でした。

夏休みも中盤に差し掛かろうとしたときにあの事件は起きてしまいました。
私たちがいつも泳いでいたダムでの出来事です。
その場所は小さい入り江になっていて急に深くなっているところではなく
5ｍくらいの間で段々胸くらいまで深くなっていく場所、浮輪とかも
持参していたし何よりもメンバー全員泳ぎが達者だったので溺れる心配は
微塵も感じたことはありませんでした。

その場所には飛びこめる高台のようなところもあり水深も問題なく日ごろから
当たり前のように飛び込んで遊んでいました。

その日もいつものメンバーで集まり各々がいつものようにはしゃいでいると
メンバーの一人が（今日はインスタントカメラを持ってきたので写そうぜ！）
と、提案。デジタル時代の今の状況とは違い写せる枚数も限られていたので
派手な写真を！ということになりメンバー達が飛び込んでいる様子を写そう！
ということになりました。
飛び込み用の高台と水面が写るちょうどいい撮影場所を決めメンバーたちが
それぞれ考えたパフォーマンスで飛び込んで行きました。
メンバー5人のうち3人目までは順調に撮影が終わり4人目の時・・・・・

彼は助走をつけて高台からジャンプ！空中でカメラにピースサインを
していました。カメラマン役のメンバーの横で私が見た彼の元気な最後の
姿・・・・・

異常はすぐに解りました。飛び込んだ彼が落ちた水面が真っ赤に・・・・・
意味が解らずあわてて水面に飛び込む奴や呆然と見ている奴、
飛び込んで助けようにも水面に交じった血が恐ろしくなかなか近づけません。
メンバーのうちの誰かが人を呼びに行きその間、友人の居場所を確かめよう
と水面にもぐって探しましたが血で見えにくく・・・・・
しばらくして大人が来て大騒ぎになりましたがこの後のことはよく覚えてません
次の日に私の親と同伴で警察で取り調べを受けました。
昨日のことを話し他のメンバーたちとの話とのつじつまを確認してから
警官が昨日の彼の状況を説明してくれました。
　
彼が飛び込んだ所には1本の木があったそうです。
ダムは自然を利用して作るので水が貯まる前に生えていた木が水中に
残っていたらしいのです。
腹部を貫通してほとんど即死だっただろうと聞かされました。

そのあとその時のメンバーと話しましたがみんなが(あんなところに木なんか
あったっけ？）、（あそこらはさんざん泳いでたから気付かないはずがない）
と、それぞれが不思議に思っていたことも話しましたが友達の死を真直で見て
しまった仲間たちも口をつぐんで残りの夏休みも集まることもなく終わってしまいました。

3学期の中ごろ、メンバーの一人が私の家に暗い顔をして訪ねてきました。
（どした？）と私が尋ねると彼は黙って封筒を私に手渡します。
封筒は写真を現像に出したときに入ってくる封筒だったので黙って受け取り
中を覗き込むと数十枚の写真が確認できました。
(何の写真？)と聞くと彼はこう答えました。

あいつが死んだときに俺が写真を撮ってただろ？
あれからバタバタしててインスタントカメラのことなんてすっかり忘れててな！
この間、偶然見つけて何のカメラか解らず現像に出したらあの時のカメラ
だったのよ・・・・どうしたらいいかな？

その話を聞いて中の写真を私は確認し始めました。
雑談している仲間たちや死んだあいつも笑顔で友達とはしゃいでいる姿
思い出さないようにしていたのでそのタガが外れたように涙が流れていきます。

と・・・・・・・・数枚目の写真で手が止まりました。

私が見ている写真を確認して彼は再度聞きます　（どうしたらいいかな？）

その写真に映っていたのは
高台から飛び込みこちらに笑顔でピースサインをする友人の姿でした

ただ・・・・・あり得ないものが写り込んでいました。

黒く淀んだ水面から出ている数十本の手