笑
深夜も営業を行う雀荘という所は、危なっかしい事や不思議な事が沢山起きてしまう場所です。
私自身、雀荘のメンバーを学生時代にしていたのですが、その時に店長から伝え聞いたお話をさせて頂きます。
とある場末の雀荘に一人の若者が勤めていました。
若者の麻雀の腕は底々だったのですが、博打で得たお金というものは必然、博打に消えてしまうもので、彼は慢性的に金欠病でした。
そんな彼にも、彼女ができます。ネイルアーティストを志すアルバイトの娘です。専門学校に通うための学費をコツコツと貯めている堅実な娘でした。
付き合って数ヶ月も経つと、案の定と言いますか、彼は彼女にお金を借りるようになっていました。
少しくらいなら…と貸し始めてたのですが、借りた金で博打をしても上手く立ち行くはずがありません。
若者は既にギャンブル依存性となっていたのです。
彼は遂に彼女が貯めていた虎の子の学費に手を出してしまいます。
申し訳ない気持ちよりも、博打に勝って返せばいいだけだろう…という典型的な阿呆の発想です。
彼はたった数時間で、彼女が何年間も頑張って貯めた学費を溶かしてしまったのでした。
これを知った彼女は、怒りを通り越して絶望していまいます。夢と希望を絶たれた彼女は、自らの命までも絶ってしまったのでした。
多少の罪悪感を感じながらも、若者は彼女がいる前の生活に戻ります。冴えない雀荘の冴えないメンバーです。漫然とした日々が過ぎてゆく中で、いつしか若者は、彼女の事も罪悪感も消し去ってしまっていました。
そんなある日の夜、彼は雀荘の深夜番を一人でしていました。
コメントに続く
私自身、雀荘のメンバーを学生時代にしていたのですが、その時に店長から伝え聞いたお話をさせて頂きます。
とある場末の雀荘に一人の若者が勤めていました。
若者の麻雀の腕は底々だったのですが、博打で得たお金というものは必然、博打に消えてしまうもので、彼は慢性的に金欠病でした。
そんな彼にも、彼女ができます。ネイルアーティストを志すアルバイトの娘です。専門学校に通うための学費をコツコツと貯めている堅実な娘でした。
付き合って数ヶ月も経つと、案の定と言いますか、彼は彼女にお金を借りるようになっていました。
少しくらいなら…と貸し始めてたのですが、借りた金で博打をしても上手く立ち行くはずがありません。
若者は既にギャンブル依存性となっていたのです。
彼は遂に彼女が貯めていた虎の子の学費に手を出してしまいます。
申し訳ない気持ちよりも、博打に勝って返せばいいだけだろう…という典型的な阿呆の発想です。
彼はたった数時間で、彼女が何年間も頑張って貯めた学費を溶かしてしまったのでした。
これを知った彼女は、怒りを通り越して絶望していまいます。夢と希望を絶たれた彼女は、自らの命までも絶ってしまったのでした。
多少の罪悪感を感じながらも、若者は彼女がいる前の生活に戻ります。冴えない雀荘の冴えないメンバーです。漫然とした日々が過ぎてゆく中で、いつしか若者は、彼女の事も罪悪感も消し去ってしまっていました。
そんなある日の夜、彼は雀荘の深夜番を一人でしていました。
コメントに続く
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コメント(11)
夜も更けてきた頃、若者はウトウトしながら店番をしていました。
終電も終わる頃、
カランコロン 店のドアが開き、三人の客が入ってきました。
「こんばんは。三人しかいないのですが…打てますか？」
見ると、雀荘には珍しく、三人の若い娘が立っているのです。
これは珍しい…と思いながら、「はい、勿論です。フリーになりますが、宜しいですよ。」
と言いながら、若者を含めた四人で、麻雀を打ち始めたのでした。
三人の女の子はそれぞれ中々に可愛い感じで、手つきも覚束無い様子で、彼は
「ラッキー♪女の子と打てる上に、小遣い稼ぎにもなりそうだ。」
と揚々としていました。
しかしながら、気になるのは、彼女達の服装です。
三人が三人とも喪服のような黒づくめで、言葉数も極端に少ないのです。
無言のまま、淡々と麻雀が進んでいきます。
折角の女の子達との麻雀なのだから、少しは楽しい雰囲気で打ちたいもの…と、彼は
「今日は何かの帰りですか？」
と口火を切りました。
すると一人の娘が、
「大切な友人の葬儀だったのよ。」
と言います。
「そうですか、それは御愁傷様です。若かったでしょうに、残念ですね。」
「彼女、自殺だったんです。酷い男に捕まって、可哀想にお金と夢を奪われたんです。」
彼は自分の事を言われているようで、耳が痛い思いで聞いていました。
続く
終電も終わる頃、
カランコロン 店のドアが開き、三人の客が入ってきました。
「こんばんは。三人しかいないのですが…打てますか？」
見ると、雀荘には珍しく、三人の若い娘が立っているのです。
これは珍しい…と思いながら、「はい、勿論です。フリーになりますが、宜しいですよ。」
と言いながら、若者を含めた四人で、麻雀を打ち始めたのでした。
三人の女の子はそれぞれ中々に可愛い感じで、手つきも覚束無い様子で、彼は
「ラッキー♪女の子と打てる上に、小遣い稼ぎにもなりそうだ。」
と揚々としていました。
しかしながら、気になるのは、彼女達の服装です。
三人が三人とも喪服のような黒づくめで、言葉数も極端に少ないのです。
無言のまま、淡々と麻雀が進んでいきます。
折角の女の子達との麻雀なのだから、少しは楽しい雰囲気で打ちたいもの…と、彼は
「今日は何かの帰りですか？」
と口火を切りました。
すると一人の娘が、
「大切な友人の葬儀だったのよ。」
と言います。
「そうですか、それは御愁傷様です。若かったでしょうに、残念ですね。」
「彼女、自殺だったんです。酷い男に捕まって、可哀想にお金と夢を奪われたんです。」
彼は自分の事を言われているようで、耳が痛い思いで聞いていました。
続く
暫く沈黙の中、局を進めていたところ、彼にこんな手が入ります。
２２３３４４５５
三四
ﾀﾝﾔｵ平和三色ｲｰﾍﾟｰｺｰ
の大物手です。
彼は、貰ったとばかりにリーチを掛けます。
その時、女の子達がこう呟き出したのです。
「どの地獄に堕ちるかしら。」
「私のところよ。」
「いえ、私のところよ。」「きっと私のところよ。」
そう言いながら、女の子達は、
「オープンリーチ」
「オープンリーチ」
「オープンリーチ」
と三人が三人とも追っかけリーチを掛けてきました。三人の手を見て、彼は驚愕します。
なんと三人がマンズ、ピンズ、ソーズ それぞれの色で、九龍宝搭ではありませんか。しかも純正で、三人とも九面待ちです。
麻雀をご存知の方は、この有り得ない状況をおわかりになるかと思いますが、九龍宝搭とは、アガると死んでしまうという幻の役満です。それだけ、出現頻度が少ないのです。これが三人ともというのは、起こり得ない確率の話です。
「は？何の冗談ですか？」と顔を上げた若者は、
ひいぃっっ！！
と悲鳴をあげます。
三人の娘の顔が三人とも、亡くなった彼女の顔に変わっていたのです。
「さぁ、どの地獄に堕ちるかしら…」
「私のいるところでしょ」
「私のいるところでしょ」
あまりの恐怖に彼はツモることを放棄して、逃げ出そうとします。
しかし、その瞬間、
ガシッ… 何かに足を掴まれます。
恐る恐る下を確かめると、
「逃がさない。」
と卓の下にも彼女がいて、彼の足にしがみついているではありませんか。
ひひいぃぃっ！！！
「逃げれない」
「逃がさない」
「逃げないで」
「早くツモりなさいよ」
「早く早く早く早く」
恐る恐る泣く泣く
ツモった彼の牌は……
残念ながら、自分のアガり牌でも字牌でもなく……
彼はどこかに堕ちていってしまいましたとさ。
めでたしめでたし
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三四
ﾀﾝﾔｵ平和三色ｲｰﾍﾟｰｺｰ
の大物手です。
彼は、貰ったとばかりにリーチを掛けます。
その時、女の子達がこう呟き出したのです。
「どの地獄に堕ちるかしら。」
「私のところよ。」
「いえ、私のところよ。」「きっと私のところよ。」
そう言いながら、女の子達は、
「オープンリーチ」
「オープンリーチ」
「オープンリーチ」
と三人が三人とも追っかけリーチを掛けてきました。三人の手を見て、彼は驚愕します。
なんと三人がマンズ、ピンズ、ソーズ それぞれの色で、九龍宝搭ではありませんか。しかも純正で、三人とも九面待ちです。
麻雀をご存知の方は、この有り得ない状況をおわかりになるかと思いますが、九龍宝搭とは、アガると死んでしまうという幻の役満です。それだけ、出現頻度が少ないのです。これが三人ともというのは、起こり得ない確率の話です。
「は？何の冗談ですか？」と顔を上げた若者は、
ひいぃっっ！！
と悲鳴をあげます。
三人の娘の顔が三人とも、亡くなった彼女の顔に変わっていたのです。
「さぁ、どの地獄に堕ちるかしら…」
「私のいるところでしょ」
「私のいるところでしょ」
あまりの恐怖に彼はツモることを放棄して、逃げ出そうとします。
しかし、その瞬間、
ガシッ… 何かに足を掴まれます。
恐る恐る下を確かめると、
「逃がさない。」
と卓の下にも彼女がいて、彼の足にしがみついているではありませんか。
ひひいぃぃっ！！！
「逃げれない」
「逃がさない」
「逃げないで」
「早くツモりなさいよ」
「早く早く早く早く」
恐る恐る泣く泣く
ツモった彼の牌は……
残念ながら、自分のアガり牌でも字牌でもなく……
彼はどこかに堕ちていってしまいましたとさ。
めでたしめでたし
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