とにかく怖い話。コミュの心霊写真

これは、私が高校の卒業旅行に行った時の出来事です。

正確には、卒業旅行直後の話なのですが――


高校時代、私にはよくつるんでいた友人がいました。
仮に彼らをＡ、Ｂ、Ｄ一、Ｅ人とします。

その中の１人であるＡが、卒業間近にして交通事故で死んだのです。

Ａは無免許でバイクを運転していました。スピードの出しすぎでカーブを曲がれきれずに対向車線のトラックに突っ込みきれずにガードレールに突っ込みきれずに崖からダイブしたのが原因でした。

私たちはお葬式には行かず、彼を弔うためにお葬式の日にドライブに行くことにしました。
卒業間近だったため、もともと卒業旅行を計画していた――というのもありますが、彼の死を受け入れたくなかったんだと思います。

私たちは茨城県の袋田の滝にドライブに行くことにしました。
死んだＡが大好きだった…そして事故現場となった久慈川沿いの道へ。

那珂インターを下りて久慈川沿いの国道118号線を進むと、しばらくしてよくバーベキューをした河原が見えてきました。
当然その日はバーベキューの準備はありませんでしたが、何の気なしに立ち寄り、写真を何枚か撮ってその場を後にしました。

その後は彼の大好きだった袋田の滝へ。

「本当だったらＡも一緒に…」と言いながらボックステッシュを小脇に抱えて涙をこらえて鉄柵の錆を見ながら号泣するＢの横顔は、心なしか泣いているようでした。

Ａが好きだったルートだったこともあって、まるでＡと行動を共にしているような錯覚に陥りました。
その日は結局夕暮れまでドライブを続け、ファミマの駐車場で友人たちと別れました。


その後は就職間近ということもあってバタバタとした日が続き、結局４人で会う時間もないままに仕事が始まりました。


……４人じゃない、３人でしたね。


私は就職してすぐに海外工場での現場研修があって、２週間ほど日本を離れました。


帰国すると、出張帰りということもあって連休をもらえることになりました。
久しぶりの休日に街にくり出してブラブラさせていると、偶然にもＢに会いました。

Ｂは慣れない仕事で失敗が続いているようで、ひどくおちんこでていました。
お互い積もる話もあったのでそのまま飲みに行くことに。

積もる話と言ってもほとんどが愚痴でしたがｗｗｗ
やれ上司が理不尽だの事務員の態度がおかしいだのそんな話で盛り上がっていました。

お酒もだいぶ進んだころ、だいぶ饒舌になったＢが「ああ、そうだ」といって鞄から何かを取り出しました。
卒業旅行でドライブに行った時の写真でした。

つい一ヶ月前のこととはいえ、だいぶ昔のことのように感じられました。
私は懐かしがりながら写真を手に取り１枚１枚めくっていきましたが、河原の写真で手が止まりました。


明らかに何かがおかしいのです。


その正体はすぐに何かわかりました。川の水面に、何か黒い影のようなものがあるのです。

藻か何かかな…？と思いましたが、その淡い予想はすぐに打ち砕かれました。
次の写真を見ると、その黒い影は明らかに水面より上にあるのです。

しかも写真をめくっていくと、少しずつこちらに近付いてきているようでした。

「おいこれ…」

Ｂに問いかけると、「ああ、黒い影だろ？」と予想外の薄い反応。
Ｂの反応に不満を持ちながらも写真をめくり続けると、黒い影はだんだんと人のカタチになってきているようでした。

しかもだんだんとこちらに近付いてきていて――

河原で撮った最後の写真では、ほとんど私たちのすぐそばまで来ていました。

「おい、これヤバイだろ…」

そう言っても、「いやヤバくないよ、大丈夫だよ」と言ってＢは気にも留めずにサラダを食べています。

※Ｂはベジタリアン（肉も好き）

袋田の滝で撮った写真では、黒い影はＤ一とＥ人に覆いかぶさるように写っています。
黒い影はもはや完全に人のカタチになっていました。しかも心なしかＡに似ているように思えてなりません。

言いたくはありませんでしたが、私は思い切って口にしました。

「これ…心霊写真だろ？　お祓いとか行ったのか？」

「いや行ってないよ、大丈夫だよ」

「大丈夫じゃないだろ！　これ明らかにヤバいだろ！！」

私はついに声を荒げてしまいました。

何故なら最後の写真――ファミマの駐車場で撮った――には、明らかにＡとわかる黒い影が大きく映っていて、ファミマの店員と一緒に物凄い形相でＤ一とＥ人をにらんでいたからです。
Ａの目は黄色く光っていて、まるでこの世の者ではないかのようでした。


生前、Ｄ一とＥ人によほど酷いことをされたのでしょう。


心霊写真には良い心霊写真と悪い心霊写真があると聞きますが、今回のは明らかに後者です。私は二人が心配でなりませんでした。


「絶対にお祓いに行かないとまずい！」そう訴える私に、Ｂは尚もサラダをムシャムシャしながらこう答えたのです。



「大丈夫だって。だって二人とも先週事故で死んでるもん」



「あ、そうなの？」



私もそれならもう大丈夫だと思いました。