とにかく怖い話。コミュの僕の知らない女

２月に僕は高校を卒業した。

もう…あの道を通らなくていいと思うと『ほっ』とする。

・・・。

僕は往復で40Kmある学校へ自転車で通っていた。
道のりは、まず街を出て、山を２つ越えたあと、民家が密集してる所を通って学校に行くのだ。
なので、通学するのにとても時間が掛かった。
冬なんてスグに暗くなってしまうから明るいうちに帰れたことはなかった。

その日は部活の大会前ということでかなり遅くまで学校に残ってた。
学校を出る頃には辺りは真っ暗で、ボクは急いで帰ることにした。
そして帰り道、一つ目の山道にさしかかった。
この山道は、周りは木に囲まれていて街灯は一つもなく、
緩やかな長い坂道のあと少し平らな道があり、次に急な長い坂道となっている。

ボクは部活で疲れきっていたので、緩やかな坂でも相当キツかった。
次に急な坂が待っている。
その坂に差し掛かると
ナンバープレートの外れたかなり古い車が放置されていた。
自転車で横切るときに中を覗こうとした。

・・・。

覗けなかった。
車の窓全部に布が貼ってあって中が全くわからない状態だった。

その時、
『ガチャ』…なんと山道の途中で自転車のチェーンが外れてしまったのだ。

ボクはその場で自転車のチェーンを直そうとした。
でも、冬場だったので手が震えてうまく直せなかった。
諦めて、山を越えて明るい所に出てからもう一度直そうと思って、自転車を押し始めた。

その時、スグ後ろから『ギィィィ』何かが軋むような音がした。
そして、自転車が急に重くなった。

振り返ると女の人がいた。
ただ、その人は普通の人とは違い肌は真っ白で目も白目を向いていた。
そして窓を布で隠してあった車のドアが開いている…。
車から降りてきたのかもしれない。

ボクは怖くなってその場から逃げようとした。
でも、スグ後ろからかなり強い力で首を絞められた。

息ができない。苦しい。

だんだん体に力が入らなくなってきた。

その時、坂の向こうからライトが光ってるのが見えた。
車のヘッドライトだった。
その車がボクを通り過ぎる頃にはその女はいなくなっていた。
いつ、消えたのかもわからない。
・・・。

それから
やっとの思いで家に着いた。
すると親が『首、どうしたん？』とすごい慌てていた。
ボクもスグに鏡でみた。
すると首に締め付けられた後のアザが出来ていた。

次の日。
親に頼んで車で送ってもらうことにした。
あの坂に差し掛かると思うと、だんだん気分が悪くなった。

そして、
なんと、
昨日の怪しい車が停まっていた。ただ、それと同時に多くの警察の人もいた。

あとで聞いたのだがその車の中で女性がガスを充満させて窒息死したらしい。

自殺だ。

ボクはまた怖くなった。
アイツがボクの首を絞めてきたのは、ボクも窒息死させて道連れにしようとしたのではないかと…。