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とにかく怖い話。コミュの【思い出系】おばあちゃんのまり

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あるアパートに加奈子さんという女性が引っ越してきました。彼女にはまだ小学1年生の息子、K太君がいて、その子の父親、つまり加奈子さんのご主人はかなり女癖が悪く浮気相手の家に入り浸り、遂には家に寄り付かなくなってしまいました。
夫の実家に住んでいた彼女は姑との折り合いも悪くなり、夜逃げ同然で家を飛び出し安いアパートに引っ越したのです。
もちろん実家に戻ることも考えたのですが仕事もやっと軌道に乗ってきたばかりなので、すぐにという訳にもいかない。

勤めに出ながら小さい子どもを育てる、それは想像以上に大変なことでした。残業をしないように毎日毎日、上司に頭を下げ、文字通り爪に火を灯すような生活を続けていたのです。
しかし彼女の心の中にはいつもある言葉が響いていていました。



「人間な、そりゃ落ち込むこともあるかもしれね。悔しい悔しいって思うこともあるかもしれね。でもな加奈、それでも歯食いしばって生きてゆかねばなんねぇんだ。そしたら一生の内にいいことが、ひとつやふたつあるんだよ。人間っていうのはそういう、ちっちゃなことだけでも生きられるもんなんだ」



それは大好きだったおばあちゃんの言葉。いじめられっ子だった加奈子さんが小さい頃、学校から泣きながら帰ってきた時、おばあちゃんはそう言うと、優しく諭すようにいつも頭を撫でてくれたそうです。中学に上がるとすぐに亡くなってしまった、おばあちゃん。忙しい合間にちょっと心落ち着く時があると、その言葉を思い出して
『おばあちゃんに会いたいな・・・会って話をたくさんしたい・・・』そう思いながら毎日を過ごしていました。



引越しの荷物も整理できない程あわただしい日々。そんなある日加奈子さんが会社を終え夕飯の後片付けをしているとK太君が懐かしい手まり歌を歌います。

『♫いちばんはじめは一宮〜   二で日光東照宮   三は佐倉の宗五郎〜  
四また濃の善光寺♫』

「どうしたの?それ手まり歌じゃない〜」

「これね、おばあさんから教えてもらったんだよ〜、今日知らないおばあさんがお家に遊びに来たの」

「えっ!おばあさんがお家に?」

「うん」

「ママがいない時は玄関を開けちゃダメって言ってるでしょ!!」

「僕、開けてないよ、ゲームしてたらね、うしろでポーン、ポーンって音がして振り返ったら、おばあさんが座って赤いまりをついてたの」

「赤いまり?」

「そう」

「・・・おばあさんはどんな顔してた・・・」

「鼻の横に、こんなにおっきなホクロがあって、それでねすごく優しかった。まりつき上手だねって誉められたんだよ」

「・・・」

「どうしたの?ママ」

「・・・おばあちゃん・・・」
意識もしないのに加奈子さんの瞳から大きな涙の粒がこぼれ落ちました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

学校でいじめられて帰ってきた日の遊び相手はいつもおばあちゃん。たれ目でいつも笑っていて、特に印象的なのが鼻の横にある大きなホクロで。

「今日ね○○ちゃんに筆箱を隠されてね・・・」

「そうかい、そうかい」

「それでね・・・」

「ふーん、そうかい」

泣きじゃくって帰るといつもおばあちゃんは小さな体を丸くかがめて、加奈子さんを慰めてくれました。

そして話が終わると
「加奈、そんなことなんて忘れて遊ぼう、ほらあのまり持ってきな」

それは古ぼけた真っ赤なまり。

どんなに下手くそでもおばあちゃんは「加奈はまりつきが上手だねぇ、ふふふふふ」と言って愛しそうに頭を撫でてくれました。

その時いつも言っていた言葉が

「人間な、そりゃ落ち込むこともあるかもしれね。悔しい悔しいって思うこともあるかもしれね。でもな加奈、それでも歯食いしばって生きてゆかねばなんねぇんだ。そしたら一生の内にいいことが、ひとつやふたつあるんだよ。人間っていうのはそういう、ちっちゃなことだけでも生きられるもんなんだ」

「うん」

「加奈にはまだわかんねぇか、ふふふふふ」

と言うとこぼれそうな笑顔をいっぱいに浮かべて、また頭を撫でてくれるのです。

おばあちゃんの言うことはいつも同じ。ちいさかった頃はどういう意味なのかいまいち理解できなかったそうなのですが、大人になった今はわかるような気がします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ママ・・・なんで泣いてるの?」

「ううん、何でもないよ、たぶんおばあちゃんがK太に会いに来たんだね、おばあちゃん、優しかったでしょ」

「うん」

加奈さんはK太君を抱きしめました。

「ママね、がんばるから」

(おばあちゃん、会いたいよ)



数日が過ぎ・・・

K太君はゴムボールをつきながら楽しそうに歌っていました。

『♪五つ出雲の大社(おおやしろ)〜   六つ村々鎮守さま   七つ成田の不動さま
八つ八幡の八幡宮〜   九つ高野の弘法さま   十で東京本願寺〜♬』

「またね、おばあちゃんが来て、この前の続きを教えてもらったんだ〜」

「えぇ!またおばあちゃん来たの」
 
「うん!!  ♪いちばんはじめは一宮  二で日光東照宮〜♫」

その後、何回かおばあちゃんはやって来たということでした。どうやら、たまにK太君の遊び相手をしてくれてるようです。

「おばあちゃん、一度でいいから私にも会いに来て・・・」

しかし、加奈子さんの前にはどうしても現れてはくれませんでした。
       



また数日が過ぎ・・・

加奈子さんが帰宅するとK太くんがどこにもいません。

するとテーブルの上に置手紙がしてあって

≪K太は家で預かります。その方がK太の為にもなると思いますので。    △△XX(←姑の名前)≫

憎たらしい姑の字で、そう書いてありました。
住所も電話番号も教えてないはずなのに、興信所でも使って調べたのでしょうか。

加奈子さんは夫の実家に電話をかけ
「K太を返して!!」
しかし舅も姑も、それは出来ないの一点張り。

すぐに実家に向かったのですが、鍵をかけられて中に入れてもらえません。
失意のうちに加奈子さんはアパートまで帰り、日ごろの疲れやストレス、そして、K太君が連れ去られたショックでそのまま寝込んでしましました。



すると、真夜中に加奈子さんの体が固まったように動かなくなり

・・・ポーン・・・ポーン・・・

まりをつくような音が聞こえます。

しかし、どうしても体は動かない。

『♫いちばんはじめは一宮   二で日光東照宮〜   三は佐倉の宗五郎〜♪』   ポーン・・・ポーン

(???おばあちゃん???)

『♫四また信濃の善光寺   五つ出雲の大社   六つ村々鎮守さま〜♫』  ポーン・・・ポーン

(会いにきてくれたんだ・・・)

(そうだよ、会いにきたよ、お前があまりにも悲しそうだから)

少しづつ体の力が抜けていき、目から止めどない涙の粒が流れ伝っていきます。

(おばあちゃん、私ね・・・)

(何も言わなくてもいい、寝てなさい、おばあちゃんには全部わかっているよ)

おばあちゃんの声は耳元のすぐ近くで聞こえました。

(ねぇ・・・おばあちゃん・・・毬つきしよう)

(あぁ、いいよ)優しいおばあちゃんの声。



加奈さんがゆっくり目を開けると、彼女の顔の近くで、にっこり微笑んでいました。










知らない老婆が・・・。









「・・・あなた・・・だ・・・れ・・・」

『♪七つ成田の不動さま   八つ八幡の八幡宮〜♫』

「誰なのよ!!」

『♫九つ高野の弘法さま〜♪』

「・・・」

「会いたいって言ってたから会いにきたよ」

老婆は加奈子さんの枕元に正座をしていて、その小さな体をさらに屈めると、加奈子さんの鼻先数センチの所までしわくちゃの顔を持ってきて、うれしそ〜に笑い

「私ねぇ、この場所で殺されたの・・・ふふふふふ・・・」と言うのです。

確かに鼻の横にほくろはある。しかし、そいつは加奈子さんのおばあちゃんとは似ても似つかない顔をしていたそうです。

『十で東京本願寺〜♪』   ポーン・・ポーン

「助けて・・・」

『♫これほど心願かけたのに〜   加奈子の病は治らない♪』   ポーン・・ポーン

「もう、やめて・・・」

『♬わたしをおいて〜 なぜ死んだ〜♪』   ポーン・・ポーン

「・・・」

『♬泣いて血を吐く ほととぎす〜♪』   ポーン・・ポーン


一通り歌い終えると老婆は

「あの子、かわいい・・・私の孫そっくりだ・・・♫九つとえ 九つお鶴の手を引いて十郎兵衛館の門のうち連れこもかいな
十とえ 徳島阿波の十郎兵衛は我が子と知らずに手をかけて殺そうかいな♪)
と、つぶやくと別な手まり歌を歌いました。

「お願い!!どこかに消えて!!!」声にならない声を加奈子さんが発すると同時に

トゥルルルルルル・・・トゥルルルルルル・・・

突然電話が鳴り、そこで加奈子さんの金縛りが完璧に解けました。ガバっと起き上がると周りを見たのですが老婆の姿はどこにもありません。
そして不思議なことに夜が明けていたのです。

心臓が大きな音を立てています。

(・・・夢・・・?)

トゥルルルルルル・・・トゥルルルルルル・・・なおも鳴り続く電話のベル。

「はい・・・もしもし・・・」

「あっ、ママ!!」
それはK太君の声でした。

「K太!!!今どこにいるの?」

「お父さんの実家だよ」

「何か変わったことない??」

「うん・・・あのね、さっきねえ、まりつきのおばあちゃんから電話があってね、今、迎えに行ってあげるからそこで待っててって言われたよ」

「K太!!XX(←姑の名前)おばあちゃんはいる!?」

「お買い物に行ったよ(♫いちばんはじめは一宮   二で日光東照宮〜♪)」

(!!)電話口から手まり歌が聞こえる。

「そこから逃げなさい!!」

「なんで?(♪三は佐倉の宗五郎  四また信濃の善光寺〜♫)」

「いいから早くしなさい!!」

「うん、分かった・・・(♪五つ出雲の大社〜   六つ村々鎮守さま〜♫)」

「K太!!早く!!」

「あっ、おばあちゃん!!(♪七つ成田の不動さま〜   八つ八幡の八幡宮♪)」   

「やめてー!!!」

「♫九つ高野の弘法さま   十で東京本願寺〜♪」


「K太君、迎えにきたよ・・・」


ブツッ・・・

コメント(124)


もう救いようのない話に愕然exclamation ×2

○| ̄|_
つうこんのいちげき!!


…参りました。m(_ _;)m
負けましたm(_ _)m
鼻の横にほくろのあるおばさんを見るたびに思い出してしまいそうあせあせ(飛び散る汗)
これ、本当に怖かったあせあせ(飛び散る汗)
一人でいるのが怖くなってしまいましたげっそり
ひどい…泣き顔

そして怖いです(((゜□゜;)))))ガクガク
すごいー!
ゾワゾワゾワー。っと鳥肌が。
久しぶりの名作!
ほんまもんの婆ちゃ登場して偽物婆ちゃんお仕置きしてほしいちっ(怒った顔)パンチ
なんで加奈子さんに姿見せないのかと思っていたら((゚Д゚ll))
いい話系か〜と思い気を抜いてたら‥

リアルに想像できて怖すぎますあせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)
この ババァ!!許さねー!!


滅殺!!!


うんうん、完璧に気を抜いて見てました…
まさかの大どんでん返し泣き顔

怖すぎる…
温かい話と読んでたらげっそり見知らぬおばあちゃんってげっそり息子君は〜げっそり
凄い!!秀逸!!ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)

感動して、目頭あつくなりつつ、『あぁ、やっとおばあちゃん会いに来てくれたんだ‥』と思ったのに‥‥orz

おばぁばとの感動の再会と思いきや。。
ツケコムなんて嫌なお婆さんですね!
読んでて『うわー』ってなりました涙
本当に感動で涙出そうだったのに一気に鳥肌に変わりました泣き顔恐いです〜泣き顔
「そこまでだ」
聞いたことのある声。
寺生まれで霊感の強いTさんだ。Tさんは老婆の方に両手を突き出し、
「破ぁーーー!!」と叫んだ。
Tさんの両手から青白い光がほとばしる。
老婆は瞬く間に吹き飛ばされ、消えた。
「……おじさん、誰?」
「通りすがりの正義の味方さ。もう大丈夫だ。K太くん、お母さんを大切にな」
そう呟いて颯爽と去っていくTさん。
寺生まれってやっぱりすごい・・・その時改めてそう思った。





かなり無理矢理だけど、こういうオチを希望したい冷や汗
>>[116]


とにかく面白い話コミュに、怖い話のコヒペにTさんを登場させようってトピがあり、余りに面白かったのでつい書いてしまいましたwww

この話しの理不尽さを吹き飛ばしてしまう寺生まれってやっぱすげえぴかぴか(新しい)
>>[117]


Tさんにかかれば、どんな怖い話しでもハッピーエンドにwww

寺生まれ、ハンパないですwww
自分の死んだバァちゃん思い出して泣きながら読んでたら…まさかの展開(°□°;)
これ東海地方の人間が読んだら大須ういろのラジオCMが思い出されるよね
>>[122]
私も大須ういろを思い浮かべました

「わ〜い大須ういろの時間だ♪」

知らない老婆がってとこで
一気に背筋がさぁーってした。

まじ感動系かと思った。
面白い!

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