筆子・その愛　−天使のピアノ−コミュの７月３日(土）なかのZERO１４時〜

【上映会報告】
なかのZEROの視聴覚ホール、９割方席が埋まっていて
個人的にも、とても、嬉しかったです。
良い作品なので、本当に、一人でも多くの方に観て頂きたいので。
でも、こういう内容に、元々理解の深い観客層ともお見受け出来、
もっと、もっと多様な方々に観て頂きたいな〜とも。

今回は、山田監督のトークの前に、
滝乃川学園に乗り込むヤクザの手下を演じた本間さんのトークもあり、
この映画の製作に当たって、
そして、こうした小さな上映会を継続してこれたことに対して、
製作協力やチケットを購入して下さった方へのお礼と共に、
製作秘話の一部を、お話して下さいました。
実際、知的障害のある子役の出演者募集をした時に、
そんなに多くは集まらないだろうと想定していたところ、
日本全国から３００名くらい応募があったそうです。

そのオーディション会場で、ずっと「アンパンマン、アンパンマン」と
叫んでる子がいて、明治時代にアンパンマンはありえないから
（撮影中に連呼されても困るので…）、この子は選ばれないだろうなぁ〜
と思っていたところ、何故か（笑）出演決定。
「一郎」役を演じたお子さんだそうですが、
アメリカから来たという設定の男の子を、皆で「アメリカに帰れ！」と
なじるシーンで、自分は、いじめはいやなので、やらないと拒否したとか。
ずっと出ているのに、いきなりその場面にいないのも変なので
（と大人は考える）
これは、お芝居だからと、説得を試みたけれど、お芝居でもいじめは駄目！！
自分は出来ないと断固拒否。最終的には、その子の意思を尊重して
（というか、大人の負け！）
一郎くんは、その場面には出演せず、監督の脇で「ヨーイ！スタート！！」
とか、一緒に言っていたそうです（笑）

また、昔は知的障害者に対しての偏見が強く、
座敷牢に閉じ込められ一生を終える
などというケースがあったとの回想シーンでは、
実際に障害を抱えている監督の娘さんが、
その「閉じ込められている」状況を演じていたのだけれど
撮影中、目の前にお母様がいるので、
どうしてもニコニコ笑顔になってしまうので、
（場面としては、ちょっと悲しげな表情が欲しいところ）
何か鳥だったか、昆虫だったかが飛び立つ姿に
目を奪われているところ（笑顔でない一瞬）を捉えたのだそう。

それらを目の当たりにして、本間さんは、「健常者も障害者もない。
逆に、嬉しくもないのに、作り笑いをしたりしてしまう
自分たちの方が、異常（←ちょっと使われた文言は違うかもしれません）で、
心のままを率直に表す彼らの方が、健常なのかもしれません。」という
主旨の発言をされていました。
それらのエピソードを伺って、本日は、上映前から涙腺決壊。。。
前回、上映開始数分後でコンタクト流れ、
探すに探せず、ずっと片目で見ていたので
（上映終了後、干からびたレンズが服に張り付いていたのを同行者が発見。
保存液にしばらく浸して置いたら復活した…）
今回は、気をつけようと思っていたのですが、そういう作為的（？）な
心構えは、すっとどこかへ消えてしまうほど、映画の内容はもちろんのこと
出演者の本間さん、そして、監督のお話は惹きこまれるものがありました。

山田監督の舞台挨拶の中で印象に残ったのは、
津田梅子と石井筆子は同時代に生き、共に、様々な活動をしたのに、
健常者のための学校を設立した津田梅子の名前は、
知らない人がいないほど後世に大きく残ったのに比べて
障害者のために尽くした石井筆子の事は
あまり知られていないのが理不尽である、
自分が彼女の名前（活動）を世に出そうという気持ちもあった、というお話。
そして、前回同様、次回作の「大地の詩」についての意気込みや、
製作協力へのお願いもありました。

ちょうど、昨日、主演が村上弘明さんであることが、
スポーツ紙などで公表されました。（主演女優は、工藤夕貴さん）
まだ、製作サイド、メディアでの公式発表がないので、その他、
監督のトークの中にあった、「サプライズ」（！？）については後日！