デビッド・ボウイもグラム・ロックの代表的ロックアーティスト。ボウイは時代にがっちりとリンクし、変遷する音楽スタイルが独特のスタンスを確立していますが、この時代はジギー・スターダストという架空のキャラクターを設定し、その栄光と没落を描いた作品を発表していました。物語性というのはグラム・ロックを語る上でのキーワードのひとつに挙げられます。ボウイがジギーならばマーク・ボランは「20th Century Boy」と自らを形容した曲を発表しています。架空のキャラクターが演じ、歌い、紡ぎ上げる不思議なファンタジックワールド。そこに酔いしれるリスナー達。ポップミュージックとしてのロックのあり様がそこにはあったと思います。
ボウイが巧みにメッセージ性を忍ばせていたのに対し、マーク・ボランはあくまでポップ・スターとしての自分の存在に忠実であったと思います。頂点を極めたグラム・ロックの熱狂が醒めつつあった70年代中期にボウイがサウンド面での方向転換を図ったのに対し、T・レックスはそれまでの延長線上に新たな音を作り出そうと試みていました。この時期のT・レックスの作品はセールス的には下降しましたが、マーク・ボランの新しいサウンドへの意気込みとメッセージが伝わってくるもので、グラム・ロック以降に繋がる息吹が感じられます。