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シナリオライター・脚本家コミュのシナリオ・レビュー VOL.001

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「ドアをノックするのは誰?」 監督マーティン・スコセッシ

1968年ごろの白黒の作品でスコセッシが大学から機材を借りながら、週末を利用して撮影したかなりインディペンデントな映画でスケールの面、クリエイティブの面でも多くのインディーズ映画監督にエネルギーと共感を与えるだろう作品だ。

物語は主人公JR(ハーヴィー・カイテル)の目線で描かれている。 ニューヨークのイタリア街の典型的なイタリア系の青年JRと彼の仲間たちとのくだらないほど平凡な日常を見るのだが、フラッシュバックで過去の彼の恋の物語が挿入される。 ある少女の出会い。恋。そして別れ。それらの恋愛物語がフラッシュバックとして時折挿入されている。

現在進行形の物語が過去のフラッシュバックとおりまざる。現在とは彼の平凡な生活。過去のフラッシュバックとは彼が変化できるチャンスをなんとなく匂わせている。

最後のフラッシュバックでは、結果として彼の自尊心が彼女への愛を上回り、彼女は去ってゆく。そして物語は現在にもどり、視聴者はかれが平凡な日常に取り残されてしまったことに気づく。

フラッシュバックは出来るだけ避けたい手法だ。特にアマチュアが安易に使う手法としてプロの業界でも知られている。フラッシュバックには「情報」「説明」の要素が多い場合がほとんどで、現在の主人公の「葛藤」と直結しにくい為視聴者の「共感」を得にくい場合が多い。手品師がいかにもこれから「あなたをだましますよ」といってだます場合に似ている。その場合手品師は3流でああるといえる。しかしうまい手品師は観客にわざと自分の失敗などを見せ油断させたりする。

にもかかわらずこの手法を用い(しかもふんだんに)、それでいて現在進行形の様などきどき感を持続させる事に成功したこの作品はシナリオ構成、シーンの構成、見るに値する作品である。

演技は非常にエネルギッシュで、感情豊、カメラワークもドキュメンタリーのように近い距離間だ。
そこに唐突にフラッシュバックがくることで過去を強調していない。

また過去と現在の主人公の感情にも注目したい。主人公JRは自分自身に対する怒り、不確かさ、を持ち続けていることだ。これが過去をメランコリックにしないともいえるのかもしれない。

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