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会社法判例百選コミュの16

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16

16 名義書き換え失念と当事者間における新株引受権の帰属
大和銀行事件
最判s35.9.15
条文:130
■ 株式の名義書き換えを失念した場合に、当該株式の譲渡人(元所有者)と譲受人のどちらが新株の発行を受けられるのか。失念株と譲渡当事者間による権利の帰属:名義上の株主(元所有者・譲渡人)が取得する。


事案  日東紡績株式会社Aは(一)昭和二三年七月八日の株主総会の決議に基く九〇〇〇万円の資本増加に際し、このうち一六八万株(これを第二新株という)につき右総会の決議により同年九月一五日午後四時現在の株主に一株宛一、四株の割合で、(二)昭和二四年一月二六日の株主総会の決議に基く一五〇〇〇万円の資本増加に際しそのうち二四〇万株につき右総会の決議により同年二月二五日午後四時現在の株主に一株宛〇、八株の割合で、(三)同年七月三一日附で認可された企業再建整備計画に基く三〇〇〇〇万円の資本増加に際し全新株につき同年八月三一日午後四時現在の株主に一株宛一株の割合で、それぞれ新株の引受権を与えたこと。
上告人ら先代松葉喜助Xは昭和二三年二月二八日山二証券株式会社に委託して日東紡績株式会社株式一〇〇株を買取り名義人たる被上告人西沢喜太郎Y1の白紙委任状附株式の判示株券の交付を受け、更に同年八月三日小柳証券株式会社に委託して右日東紡績株式会社株式一〇〇株を買取り同月六日名義人たる被上告人大和銀行Y2の白地裏書のある判示株券の交付を受けたのであるが、喜助は前示第二新株につき定められた前示昭和二三年九月一五日午後四時までに右各株式につき自己名義に名義書替手続をすることを失念したこと、然るに前示株式の名義人であつた被上告人等は右第二新株一四〇株宛をそれぞれ引受け払込を了してこれを取得した。
そこで、XはY1らに対して払い込み金額と引き換えに増資新株の引渡しを求め、予備的に市場価格との差額を請求した。

第一審  請求棄却

第二審  控訴棄却

最高裁  上告棄却。原告敗訴
【理由】
前示第二新株は株主総会の決議に基いて発行されたもので、この新株引受権をどんな方法で株主に与えるかは一にその決議の内容によつて定まつたのであるが、前示のとおり、右総会の決議は昭和二三年九月一五日午後四時現在の株主に対し株式一株につき一、四株の割合で新株引受権を与えるというのであり、ここに昭和二三年九月一五日午後四時現在の株主というは、その日時において実質上株主であるか否かを問わず会社が法的な立場において株主として所遇することのできる者、すなわち株主名簿に登録されていて会社に対抗できる株主という意味であることは疑を容れないところであるから、前示のように上告人先代において前示譲受株式について会社に右日時までに名義書替手続をすることを失念し遂にこれをしていなかつたという以上は同人において右株式につき新株引受権を取得するに至らなかつたものであること言をまたないところであり、そして一方前示のとおり右日時に株主名簿に登録されていて右新株を引受け払込を了したという被上告人らはそれぞれ自己の権利として本件株式を取得したものと認めざるを得ない。
しかして右のような新株引受権はいわゆる株主の固有権に属するものではなく、前示商法の規定に基き株主総会の決議によつて発生する具体的権利に外ならずかかる具体的権利をどのような方法で株主に与えるやは前示商法の規定がある以上株主総会の任意に決定できるところであるから、その権利の帰属者を前示のように一定日時において株主名簿に登録されている株主と限定することは毫も差支なく会社の処置として固より適法であり、かかる適法な処置があつた以上は上告人ら先代の被上告人らとの間に本件株式について前示のような譲渡行為があつて、被上告人らから上告人先代に対しいわゆる株主権が移転されたからといつて、前示新株引受権もこれに随伴して移転したものと解すべきではない。
所論の点に関する原判示は右と同趣旨に帰するものであつて、正当であり、その事実認定及び理論構成において所論違法のかどあるを認められない(なお、実質上株主権を取得した者と親株の名義人とが新株の市場価額の上昇又は低落により互に自己に有利な請求をすることを許すときは、信義則を紊り、取引の安全を害するに至ることのあることは、原判決の是認した第一審判決の判示するとおりである)。そしてしかく結論付けたからといつて、妄りに私権を侵害した悪徳者を保護したものとは云えないから所論違憲の主張は前提を欠くものであり、また所論引用の諸判例は事案を異にし本件に適切のものとは認められない。

* 判例は、当事者間においても株主名簿上の株主が権利者であって、実質株主である株式譲受人は、名義株主に対してなんらの権利も主張できないとする。しかし、多数説は、これに反対し、当事者間ではなんらかの請求ができるとする。その構成としては、準事務管理構成と、不当利得構成がある。

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