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ペドロ・パラモ/ルルフォコミュの遺構のアシエンダ

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ーーーマゲイがいっぱい茂ってるな
となりのおとこはガラス窓を指差す
おとこのズタ袋には山刀がはみ出てる

そこには間延びした車内が映り
向こうのぼくは、こちらのぼくを覗き込む
蛍光灯がひっきりなしに現れては引っ込む

ーーーおやじはマゲイの汁を採ってたんだ
おとこはぼくの耳元にむかって呟く
それでなくてもだれにも聞こえないというのに

壁の向こうにあるのはマゲイの平原ではない
異教の遺構が恨めしげに眠っている
おとこはマゲイのある平原まで帰るべきだ

ーーープルケを呑んだことがあるかい
おとこは朝からメトロでぐるぐる回って話しかける
居合わせる客たちがぼくの顔を覗き込む

酔っ払ってたらメトロのポリスに停められる
山刀を握ってたらメトロには乗れない
マゲイの平原ではぼくは生きていけない

ーーーおやじのおやじもマゲイの汁を採ってたんだ
そのまえのおやじもそうだってさ
ほら、あそこでおれたちに手を振ってるだろう

コメント(1)

 読み解き:
 ルルフォの世界は、ポストメキシコ革命社会を通してのコスミックヴィジョンの提示。このコスミックヴィジョンとはローカルな場での生と死の往還(古風なことばだな)という意味でもあるわけですが。

 ポストメキシコ革命社会を描いたものは、革命戦争を含め、リアリズムから始まった。でもリアリズムだけでは捕らえきれないものがある。
 そこでルルフォのいわゆる神話的リアリズムが始まったというわけ(だと思います)。

 もちろん、このローカルな神話的リアリズムというのは、現在でももちろん有効なわけですが、それと同時に限界もあるらしい。
 いまのメキシコのモンダイは農村ではなく、都市にある。もっと正確に叙するならば、農村から都会へのひとの流れにあるわけ。
 農村を離れなければならなくなったひとの眼に映る都市、しそして故郷への思い入れ、などというものが、この自作の作品には込められているわけです。
 いわば、ルルフォへのオマージュの一種だと思ってます(ほんとはメイワクしてるかもしれないけど)。
 

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