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コメント(36)
やれやれ、何時になれば傷心の森から抜けられるのだろう
という心を読める
けふもまた夜のとばりがつれ来寄る詮無き思ひ巡れる時を
さて、前回トピックに書き込んだのは数日前に読んだ歌なのだが、
これは本日の最初の歌だ。今の心情にかなりフィットしてるのだが、
ここから和歌っぽくなるよう推敲してみる。とりあえず夜の枕詞「ぬばたま」を使ってみよう。
ぬばたまの夜のとばりがつれ来よる切なき思ひ巡れる時を
「詮無き」の方が「切なき」より今の気持ちに近いが「失恋」ぽさを優先させて見た。
しかしながら、心情を直に語ると散文ぽくなる気がする。そこで、和歌で良く使われる
あの鳥を採用してみよう。
ぬばたまのとばりが今日もつれ来寄る鶉の声に眠れぬ夜を
ぬばたまは枕詞の役割を放棄か（ｗ）。
鶉（うづら）は写真でしか見たこと無いが、ちっかっけーと鳴くとか鳴かないとか。
古典和歌では「憂し、つらし」という心情を表すのに重宝する鳥である。
自分的には (´；ω；｀)ｳｯ ﾂﾗｰ て感じがして逆に和むのだが。
百人一首を選定した藤原定家の父、藤原俊成も名高い歌人だったが、
彼が自らマイベストと宣言した歌にも鶉が登場する。
夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里
宣言は、鴨長明の「無名抄」に俊恵法師が俊成から直に聞いたとある。
俊恵は後にこの歌をボロクソ（は言い過ぎか）に評価していて笑える。
論評はとても分かり易く面白いのだが、ここでは割愛。ぐぐれば出てくるし。
素人の俺的には俊成よりも俊恵の父、源俊頼や祖父の源経信のファンなので
愉快な気分で納得したのだが、疑義が無いわけじゃない。
俊恵は幽玄という観点からこの歌を評価しているが、この一首のみを
取り出して言えばなるほどと思えても、その背景を無視しすぎてるように思うのだ。
「鶉」「深草」と聞いたら
歌人であれば誰でも思い起こすであろう一首がある。
野とならば鶉となりてなき居らむ狩にだにやは君はこざらむ
ご存知「伊勢物語」深草の女の歌だ。
もうね、この歌を聞いて心動かない男はいないだろうって位の胸きゅん歌だ。
この歌に限っては「鶉はつらいとか憂しという心情を表す意味を持つ」などと
読み解く必要は全くない。
ひとつには深草には鶉が多かったそうだからだが、この歌には
物知り顔の解釈を地平の彼方までふっとばす程の力があるからだ。
破壊（？）的な吸引力は、その健気さにあるのだが、その裏には
男のことを理解しているという余裕、これは男にも安心感を与える余裕だが、
そんな余裕さえも感じられる。
この印象は一方の男の歌を読むと（これも割愛するが）更に強くなる。
結局、この女の前では男はどれほど気張ってもチョロＱなんだろうなと。
先にあげた俊成の歌が、この歌をリスペクトしてないわけが無い。
深草の女の歌を背景に、垣間見えてくるような気がする老いた俊成の心情は
欠くべからざる鑑賞ポイントではないだろうか。
ちなみに、俊恵が鴨長明に宣言したベスト自選歌は、
なんか天気予報のような歌だった。
すまんがこれも割愛。
という心を読める
けふもまた夜のとばりがつれ来寄る詮無き思ひ巡れる時を
さて、前回トピックに書き込んだのは数日前に読んだ歌なのだが、
これは本日の最初の歌だ。今の心情にかなりフィットしてるのだが、
ここから和歌っぽくなるよう推敲してみる。とりあえず夜の枕詞「ぬばたま」を使ってみよう。
ぬばたまの夜のとばりがつれ来よる切なき思ひ巡れる時を
「詮無き」の方が「切なき」より今の気持ちに近いが「失恋」ぽさを優先させて見た。
しかしながら、心情を直に語ると散文ぽくなる気がする。そこで、和歌で良く使われる
あの鳥を採用してみよう。
ぬばたまのとばりが今日もつれ来寄る鶉の声に眠れぬ夜を
ぬばたまは枕詞の役割を放棄か（ｗ）。
鶉（うづら）は写真でしか見たこと無いが、ちっかっけーと鳴くとか鳴かないとか。
古典和歌では「憂し、つらし」という心情を表すのに重宝する鳥である。
自分的には (´；ω；｀)ｳｯ ﾂﾗｰ て感じがして逆に和むのだが。
百人一首を選定した藤原定家の父、藤原俊成も名高い歌人だったが、
彼が自らマイベストと宣言した歌にも鶉が登場する。
夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里
宣言は、鴨長明の「無名抄」に俊恵法師が俊成から直に聞いたとある。
俊恵は後にこの歌をボロクソ（は言い過ぎか）に評価していて笑える。
論評はとても分かり易く面白いのだが、ここでは割愛。ぐぐれば出てくるし。
素人の俺的には俊成よりも俊恵の父、源俊頼や祖父の源経信のファンなので
愉快な気分で納得したのだが、疑義が無いわけじゃない。
俊恵は幽玄という観点からこの歌を評価しているが、この一首のみを
取り出して言えばなるほどと思えても、その背景を無視しすぎてるように思うのだ。
「鶉」「深草」と聞いたら
歌人であれば誰でも思い起こすであろう一首がある。
野とならば鶉となりてなき居らむ狩にだにやは君はこざらむ
ご存知「伊勢物語」深草の女の歌だ。
もうね、この歌を聞いて心動かない男はいないだろうって位の胸きゅん歌だ。
この歌に限っては「鶉はつらいとか憂しという心情を表す意味を持つ」などと
読み解く必要は全くない。
ひとつには深草には鶉が多かったそうだからだが、この歌には
物知り顔の解釈を地平の彼方までふっとばす程の力があるからだ。
破壊（？）的な吸引力は、その健気さにあるのだが、その裏には
男のことを理解しているという余裕、これは男にも安心感を与える余裕だが、
そんな余裕さえも感じられる。
この印象は一方の男の歌を読むと（これも割愛するが）更に強くなる。
結局、この女の前では男はどれほど気張ってもチョロＱなんだろうなと。
先にあげた俊成の歌が、この歌をリスペクトしてないわけが無い。
深草の女の歌を背景に、垣間見えてくるような気がする老いた俊成の心情は
欠くべからざる鑑賞ポイントではないだろうか。
ちなみに、俊恵が鴨長明に宣言したベスト自選歌は、
なんか天気予報のような歌だった。
すまんがこれも割愛。
己がさまを詠める
進むべき確たる路はえやはみる言の葉のみが散り乱れたり
「確たる」は文語表現だが古語には無いようだ。古語表現だと「確かなる」のようだが
語感を優先してみた。
「えやはみる」は「見ることは出来ない」の意。「やは〜」和歌で良く見る反語表現。
「えやは〜」は百人一首の藤原実方の歌が有名。
「えやはみる」の用例は一個ヒットした。
しがらきの外山の松は.時雨るともつれなき色はえやは見るべき 藤原為家
【俺訳（間違ってたらゴメス）】
信楽の人里近くの山の松は、冬の冷たい雨が降っても、冷たい風情は決して見せないだろう
(逐語訳するならば「見ることは出来ないだろう」か)
【備忘的解説】
為家千首（為家卿千首） に収録された歌。歌集の作成年が１２２３年とあるから、
小倉百人一首の成立の１０年以上前と言うことになる。
藤原為家は定家の息子で、百人一首最後の歌「ももしきや〜」の順徳院を
裏切ったことでも有名（ｂｙｗｉｋｉ先生）だが、「ももしきや〜」の歌は、為家が
選者をつとめた勅撰和歌集「続後撰集」に採用されている。
進むべき確たる路はえやはみる言の葉のみが散り乱れたり
「確たる」は文語表現だが古語には無いようだ。古語表現だと「確かなる」のようだが
語感を優先してみた。
「えやはみる」は「見ることは出来ない」の意。「やは〜」和歌で良く見る反語表現。
「えやは〜」は百人一首の藤原実方の歌が有名。
「えやはみる」の用例は一個ヒットした。
しがらきの外山の松は.時雨るともつれなき色はえやは見るべき 藤原為家
【俺訳（間違ってたらゴメス）】
信楽の人里近くの山の松は、冬の冷たい雨が降っても、冷たい風情は決して見せないだろう
(逐語訳するならば「見ることは出来ないだろう」か)
【備忘的解説】
為家千首（為家卿千首） に収録された歌。歌集の作成年が１２２３年とあるから、
小倉百人一首の成立の１０年以上前と言うことになる。
藤原為家は定家の息子で、百人一首最後の歌「ももしきや〜」の順徳院を
裏切ったことでも有名（ｂｙｗｉｋｉ先生）だが、「ももしきや〜」の歌は、為家が
選者をつとめた勅撰和歌集「続後撰集」に採用されている。
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