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刑事コロンボ研究コミュの二つの顔

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レビンソンとリンクは「たまには違った方向に旅立ちたかった」らしい。その考えは間違っていない。犯人も手口もすべて最初に解き明かしてしまうという倒叙法は、視聴率を取らねば成り立たないテレビ・ミステリーにはうってつけの手法だったが、確かに人気が定着すれば違った方向性を模索することは必要である。私も何がしかの作品というものを送り出している側の人間であるので、この気持ちはよくわかる。ただし、「犯人は誰だ」という一般的なミステリーを何度も持ち込むことは水戸黄門的なコロンボファン(推定65%)を裏切ることになるので、安易には出来ない。そこで彼らが考えたのが、倒叙法を踏襲しつつ「双子のどっちがやったのか」というミステリーの王道も踏ませることである。このアイデアを考え付いた時、きっと四人(リンク・レビンソン・ハーグローヴ・ギリス)は手を打ったに違いない。さらに、その先には視聴者を煙に巻くもう一つの仕掛けを用意していた…。ここまでは成功作の予感で四人は有頂天になっていただろう。
ところが、いざ脚本(スティーブ・ボチコ)を書かせてみると、アイデアが生かされていない中途半端な作品に変化してしまった。なぜなのだろう。
おそらく倒叙法であれば、この作品は星七つくらいのものに仕上がったろう。それは、まず殺し方がユニーク(入浴中のバスタブにミキサーを投げ込む)な点、次に犯人の職業(料理研究家)を活かせそうな点、第三にマーティン・ランドーの演技力とキャラこそは「コロンボと丁々発止の駆け引きをしたあげく」に「追い詰められる犯人」にぴったりだからである。まず、第一の点だが、テレビである限りショッキングな殺人シーンを出せないのがコロンボシリーズの弱点と言われるが、とんでもない。出せないからこそ、視聴者はそのシーンを想像し、視聴意欲を掻き立てられるのだ。しかし、それに至るまでの犯人と被害者のやり取りがあっての話である。脚本家はここで被害者の取った遺産相続の措置について語らせればいいので楽であろう。続いてテレビ番組を持つほどの料理研究家というのは秀逸である。しかも手口が料理で使うミキサーで感電死させるというのだからたまらない。ところが、コロンボを出演させたりして、ギャグ面ではこの職業を活かせたものの、その後の「駆け引き」には一切、活かせていない。例えば、料理番組のリハと本番を組み合わせてアリバイを築いた犯人に対し、コロンボが料理の完成品と犯人の言い分が合っていないことを科学的に解明するなどの手法が取れなかったのだろうか。
「スタッフが来る前、おれはここで仕込みをしていたのだ。このシチューは仕込みに時間がかかる。このシチューが何よりの証拠だ! 」
「それは違いますね。あなたは家で作ってきたシチューをすりかえた。ほら、御覧なさい。沈殿していますね。あなた、私に教えてくれましたね。具に汁が染み込むと…」
とかね…。
さらに、付け加えれば、コロンボは最後に犯人を見破っていない。状況証拠を突きつけて自白させただけである。『断たれた音』と同様、犯人をしぼるプロセス上の話であれば許されるが、最後の決め手とはならない。それだけでもこの作品はいただけない。

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