水運史から世界の水へ

買ったはいいけど１年半以上積読状態にしていた今上陛下が皇太子時代に学生時代から研究され、海外を含め各地で講演されたお話をまとめた著書をようやく読み終えました。
書かれている文体から陛下の温厚なお人柄が伺えます。

元々、学習院大では史学を専攻されていたそうで、水運に興味をお持ちになられて留学先のオックスフォード大では英国の様々な文献を紐解き、国内と併せて９０以上もの文献をお読みになられたそうで、それだけでも大変な時間と労力を要した事と思います。

水運のみならず、水害、地震、歴史等幅広い時代に渡って調べた成果が詰まっている一冊です。

国内の古い文献においては漢文で書かれ、和歌に書かれている記述等、和歌に通じている皇族ならではの読み解く力が発揮されています。

秀吉が天下に君臨していた時代に起こった天正大地震では丹後地方〜越前にかけての沿岸部を津波が襲い、余震が１２日間も続いたと僧侶が書き残した日記に記されています。
外国人宣教師も日記に天正地震の記録を書き記していて、大河ドラマ等ではさらっと描かれている程度ですが、文字通り天下を揺るがす大惨事だったことが伺えます。

まだ書店に並んでいるかは分りませんが、是非読んでみて欲しい一冊です。

ＮＨＫ出版から２０１９年４月に初版が刊行されています。