日本国の運命を変えたと言っても過言でないない1600年の関が原の戦いでは、各国の武将たちの様々なドラマがありました。その戦、命のやり取りの中、決定的な勝敗に決着をつけてしまったシーンといえば、西軍に陣をはっていた小早川秀秋の裏切りでしょう。
小早川秀秋は、西軍の石田三成、大谷吉継らを焦らせ、また一方では東軍の大将、徳川家康も焦らせました。松尾山に位置づけられた小早川秀秋は、天下の戦局を握るキャスティングボード的な存在だったのです。
小早川秀秋はたいした事はない人物ですが、この瞬間では、徳川家康、石田三成などの大物および、東西両軍の武将を手玉にとっていたのです。人間には、しばしばこのような運命的なシチュエーションが訪れて、その人を実力以上にさせる瞬間があります。
あらゆる時の中で、運命はいかにも奇妙な気まぐれから、行き当たりばったり、いかにも平凡な人間に身をまかせる事が往々にしてあるのです。そしてこれは世界歴史のもっとも驚くべき瞬間でありますが、重大な運命を左右する糸が、一瞬だけまったくつまらない人間の手に握られる事があるのです。
小早川秀秋がその機会をつかんでしまい、同時に自分自身をも高めてしまったのです。偉大さが、つまらない者に身を委ねるのはほんの束の間だけであり、それを取り逃がすと、そんな機会には二度とめぐまれないでしょう。
これは、現在の米国の大統領にも少なからずあるように思えます。一瞬間だけそういうことになったのだが、しかし、それがまた何という大変な一瞬だったのだろうか? この言葉は、松尾山上の小早川秀秋に通じる言葉でしょう。
関ヶ原に、「世界歴史」を「日本歴史」に置きかえてよいでしょう。事実、小早川秀秋はこの一瞬だけの存在によって「日本歴史」の中に入り込んだのです。皆様も重大な運命を左右する糸を、一瞬だけまったくつまらない人間の手に握られる事がありますか(笑)
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