これはルールが極めてシンプルでありながらも、戦略性の高さが伺える奥の深い傑作です。どう考えて見ても、2018年度のドイツ年間ゲーム大賞はこれで決まりでしょう
たとえ受賞しなかったとしても、ブロックスや宝石の煌きの様に末永く愛され続ける事は間違いありませんね。適正人数は2人というガチガチのアブストラクト・ゲームではありますが、3人でも充分に面白いですし、テーマが希薄なメカニカルなシステムであろうとも、この美麗なコンポーネントを前にしてしまうと眺めているだけでも楽しくなって来ますね。それにジレンマが半端なくて考え出したら切りがない…これは素晴らし過ぎます。コンポーネントは得点表も兼ねたプレイヤーボードが4枚、小さな得点マーカーが4個、円形の工房展示ボードが9枚、装飾タイルが100枚(5種各20枚)、装飾タイルを入れる布袋が1枚、先手プレイヤーマーカー(タイル)が1枚となっています。中でもこのプラ製のタイルがキャラメルみたいな可愛らしさで手触りも良くて、ときめいてしまいます。
タイル枚数、100枚
プレイ人数、2〜4人
プレイ時間、30〜45分
対象年齢、8歳以上
5月14日、ドイツ年間ゲーム大賞の選考委員会は、3部門についてノミネート作品と推薦リストを発表しました。ドイツ年間ゲーム大賞のノミネート作品は、以下の3作品です。
・アズール
・ルクソール
・ザ・マインド
7月23日、大方の予想通りではありましたが、ドイツ年間ゲーム大賞にはアズールが選ばれました。小野卓也氏のサイト、Table Games in the World によると、「審査委員会は『アブストラクトゲームでありながら、おそらく相反するものを統合している。ゲームボードのほとんど無味乾燥な機能性が、対応するモザイクのすばらしい美術性と見事な対照をなしている。タイルの手触りが価値のある印象を強める。用具だけでも鑑賞に堪えるだけでなく、デザイナーのミヒャエル・キースリング氏がシンプルな選択のメカニズムで奥深さを与えるという匠の技を発揮し、尽きることなく繰り返し遊びたくなる魅力を生み出している』とコメントしている」とありました。
9月17日、何とドイツゲーム賞をも受賞しました。小野卓也氏のサイト、Table Games in the World によると、「ボードゲームメッセ『シュピール』を主催するフリードヘルム・メルツ社(ドイツ)は17日、29回目となるドイツゲーム賞(Deutscher Spiele Preis)を発表した。一般愛好者の投票により、『アズール(Azul)』が1位に選ばれた。『アズール』は今年のドイツ年間ゲーム大賞も獲得しており、『ドミニオン』以来9年ぶり7タイトル目のダブル受賞となった」とありました。
【Azul: Stained Glass of Sintra】 ミヒャエル・キースリング 【アズール:シントラのステンドグラス】
アズールの拡張なのですが、これだけでも遊べます。特色はアズールよりも少しゲーマー向けに仕上げた所で、要素や選択肢が増えた分、読み切れなさが生じてしまったのは少々残念に思います。元のアズールが持っていたメカニカルなシステムの美しさも若干削がれてしまった様で、Board Game Geek でのランキングが微妙な位置にあるのも頷ける気がします。コンポーネントは宮殿ボードが4枚、図案票が32枚(8枚各4人分)、ガラス職人コマが4個、得点ボードが1枚、マーカーが8個、工房展示ボードが9枚、ガラス片が100枚(5色各20枚)、グラスタワーが1個、布袋が1枚、先手プレイヤータイルが1枚となっています。このプラ製のガラス片がアズールのそれよりも魅力に乏しいのも残念なのですが、何よりもガラス職人コマの存在が見通しを悪くさせている所に元凶がありそうです。適正人数は3人。つまりはアブストラクトゲームの中でも多人数での戦略的な揺らぎがあってこそ楽しめるタイプですね。まあアズールと比較しなければ普通に面白いです。
タイル枚数、100枚
プレイ人数、2〜4人
プレイ時間、30〜45分
対象年齢、8歳以上
【Azul: Summer Pavilion】 ミヒャエル・キースリング 【アズール:サマーパビリオン】
アズールの拡張と言うか、シントラのステンドグラスに引き続いて、アズール・シリーズの第3弾と言うべき作品です。アズールがずば抜けた傑作であるのに対して、シントラのステンドグラスが微妙な出来だったので余り期待していなかったのですが、これはアズールの持つメカニカルなシステムの美しさを正当に継承しつつ、より親しみ易くした傑作ですね。コンポーネントはプレイヤーボードが4枚、得点ボードが1枚、得点カウンターが4枚、得点マーカーが4個、ラウンドカウンターが1個、工房展示ボードが9枚、菱形タイルが132枚(6色各22枚)、タワーが1個、布袋が1枚、先手プレイヤートークンが1枚となっています。アズールと趣が異なるのは、ワイルド色の存在と、タイルを配置する自由度が増した事と、タイルの配置によりサプライスペースから追加のタイルを獲得できる所と、4枚までのタイルを持ち越せる所です。これにより失点を押し付け合う事なく爽快に得点を伸ばせて、他のプレイヤーの動向を適度に見守りつつパズル作業に没頭できます。
タイル枚数、132枚
プレイ人数、2〜4人
プレイ時間、30〜45分
対象年齢、8歳以上
因みに、この3つの Board Game Geek でのランキングは以下の通りになっています。
049位 アズール
307位 アズール:シントラのステンドグラス
160位 アズール:サマーパビリオン
【Azul: Crystal Mosaic】 ミヒャエル・キースリング 【アズール:クリスタルモザイク拡張セット】
・これ単体では遊べません。アズール本体が必要です。
[コンポーネント]
・アクリル製のプレイヤーボードカバー
こんなペラペラのカバーなんて必要ないです。
・両面印刷の新たなプレイヤーボード
パズルチックな上級者向けですが、アズールの表面と裏面だけでも充分に思えます。
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