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2017年09月06日21:10

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内面化される戦争

 今月3日、北朝鮮が6度目の核実験を実施した。諸説あるけれども、少なくとも近い将来、金正恩がその気になれば東京とその近郊を一瞬にして焼土にしてしまえるようになるのは間違いない。

 もっとも、やればできるというだけの話で、実際にそうするかといえば、基本的にはやらないと思う。理由は、やったところで別に得はないから。
 もちろん、やれば世界中がかなりびっくりするし、Youtubeなどを見る限り、人をびっくりさせるためだけにかなり無茶なことをする人間がいるのも事実ではある。さらに、北朝鮮はラングーン爆破テロ事件とか、大韓航空機爆破とか、金正男殺害とか、あまり世間一般の良識に頓着しない国でもある。

 しかし、やれば国そのものが消滅しかねないほどの報復が想定されるのも事実で、とにかく生き残る知恵には長けたあの国がそのリスクを冒すかといえば、あまりそんな気はしないのである。


 思うに、核兵器というのは実際に戦闘で用いるというよりは、その存在をちらつかせることで、交渉において有利な条件を引き出すためのツールだと考えた方がわかりやすい。というか、核兵器を使って得をする方法が他に思い浮かばない。使ってしまえば元も子もないのだから。

 そして、その働きかけの対象は無論、相手国の首脳・政府だけではなく、マスコミや一般の国民もそこに含まれる。核の脅威に対して世論が過敏に反応して政府を突き上げれば、その国の外交上の選択肢が狭まり、交渉を優位に運べる可能性が高まる。

 結局、そういう意味ではもう戦争は始まっていて、われわれは否応なくすでに巻きこまれているといえるのかもしれない。
 兵器の破壊力が限界を超えて増大しすぎた結果、それが行使される限定された空間としての戦場などというものはもはや存在せず、結果として前線と後方の区別もなく、戦争はそれぞれの中で内面化されてしまっている。

 そこでの戦いとは、かかる圧力の下にあって度を失わず平静を保ち、それまでの日常生活を穏やかに続けることだと思う。うろたえてこれまでと違うことを始めると、だいたい相手の思うつぼである。

 そういう意味でいえば、ネットにはすぐにでも戦闘が始まるかのような発言がちょくちょくあって、文面としては限りなく勇ましいけれど、ああいうのはプレッシャーにやられてもう負けているのだと思うし、戦前はこんな手合いが多かったんだろうなという気もしている。

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