mixiユーザー(id:34658408)

2017年05月24日20:05

146 view

海戦を観て ー第三次ソロモン海戦ー 吉田嘉七 ガダルカナル戦詩集より

海戦を観て ー第三次ソロモン海戦ー 吉田嘉七


こは絵にてあるか、
夢なるか、はた冥府の幻なるか。    ゆめなるか、はたよみのまぼろしなるか
闇ふかき沖の彼方ゆ、
たまゆらに火の燃え駆けり、
たちまちに火の嵐哮り狂いぬ。
轟きて海叫び、
雲はあやしく紅に映え、
そがうちを走り飛ぶ無数の火。
ほとばしり、且つほとばしり、
青あり、赤あり、菫あり、白あり。
目くるめくがに光の乱れ、
あや錦、闇につづりて、
とどろなる破調の交響。
さかんなるかな、
この海の戦いの
鋭き閃めきに生命つくして
たとえがたかる美しさよ。

武運あれ、海の戦友。
夢ならず、これぞうつつの、
うつせみの修羅のふるまい。
かの雲をどよもすものは
ひたすらの真心ならむ。
波裂きて震えしむるは
君らが深き怒りなるべし。
われも亦陸に死ぬもの      われもまたくがにしぬもの
もろともに討たんかな。
うち撃ちて撃ちまくり、
敵艦をなべて沈めよ。
かく祈り、海辺にあれば
しかすがに海戦はいや美しく、
絵のごとく、
又ますらおのいのちの如し。




6 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する