mixiユーザー(id:9724239)

2016年01月09日12:01

1516 view

【Neue Spiele im alten Rom】 ライナー・クニツィア 【古代ローマの新しいゲーム】

クニツィア流の玉手箱。この中には14種もの手軽に遊べるゲームが詰まっています。共通して使われるのは65枚のカードで、1から12まで(11はなし)のランクと旗印(バナー)カードが2枚、これらが5スーツ(赤・青・黄・緑・紫)という構成になっており、各ゲームによって使い分けられます。他に木製のポーン、カウンター、チップ、それと8つのゲーム盤(リバーシブル仕様の4枚の板紙)が必要に応じて使い分けられるのですが、中には純然たるカードゲームもあって、そのどれもが遊び応えのある小傑作ばかりとなっています。これは1994年に発売された初期の作品集であって、後の傑作群に結実する事になる、様々なアイデアがとても簡潔に表現されている所も見逃せませんね。恐らくはそのコストパフォーマンスの高さでも抜きん出た存在ではないでしょうか。

カード枚数、65枚
プレイ人数、?人
プレイ時間、?分
対象年齢、10歳以上


【Das Rad der Geschichte(歴史の糸車)】

シンプルであるが故に、多人数アブストラクト・ゲームの脆さが露呈してしまっている様に思います。或いはそうした綾を楽しんでこそのゲームなのかも知れませんが、もしそれを狙っているとするならば、クニツィアも人が悪いですね。この小品だけを取り出しても余り意味はなくて、この作品集の冒頭を飾るゲームであるからこその小傑作なのだと思います。それとこれを2人で遊ぶ位ならば、ローマの七丘か、ウヴェ・ローゼンベルクのパッチワークを遊んだ方が面白いです。

カード枚数、25枚
プレイ人数、2〜5人
プレイ時間、10分


【Die Sieben Hügel Roms(ローマの七丘)】

プレイ人数は2人。バトルライン(その前身であるショッテントッテン)の元になったゲームと言われていますが、それよりもかなりシンプルな作りであるのに、これだけのジレンマを感じさせる所は凄いです。寧ろそのシンプルさが、逆にシステムの鋭さを浮き彫りにしている様にも見えます。使用されるのはカードのみで、その構成は1から9のランクが2スーツと1から7のランクが1スートの計25枚となっています。要するにバトルラインのフラッグ(駒)と同じ様に1から7の札が場に並べられて、1から9の手札によってその争奪戦が行われる訳ですね。これはバトルラインとは又違った面白さの味わえる小傑作であり、そのバリアントルールも良く出来ています。それにしても、この小品はここに埋もれさせて置くのは非常に惜しいゲームであって、デヴィッド・パーレットのナインティ・ナインの様に、寧ろトランプ・ゲームとして紹介された方が良かったのではないかと思ってしまいます。クニツィアがトランプの本を書き下ろしたならば、間違いなく買いなのですが。

カード枚数、25枚
プレイ人数、2人
プレイ時間、10分


【Konsul(執政官)】

戦略的な神経衰弱といった感じなのですが、そもそも私は神経衰弱自体を苦手としているので、どうしてもこの手のゲームの評価は厳しくなってしまいます。良いゲームだとは思うのですが…。

カード枚数、50枚
プレイ人数、2〜4人
プレイ時間、20分


【Senator(元老院議員)】

そのシステマチックなルールに最初は興味を覚えつつも、実際にはそれ程の融通が利かない事に気付かされて、何だかなという気分にさせられる、よくあるパズルチックなゲームのお手本か。

カード枚数、21枚
プレイ人数、2(又は3)人
プレイ時間、10分


【Hannibal Gegen Rom(ハンニバル対ローマ)】

戦略的な要素よりも心理的な駆け引きに多くを負っている様にも思えるのですが、たった一つの判断ミスが連鎖的に波及して行く様は、シビアと言うか致し方ないと言うか、余りにもシンプルであるが故に、幾ら対戦を積み重ねて見ても軽い印象しか残りませんね。このプレイ感は何処となくガイスターに似ている様にも思うのですが、面白いんだけれどもだから何?みたいな、結局は突き詰めてしまえば冗長なじゃんけんに過ぎないのではないかという気がするのですが如何?

カード枚数、10枚
プレイ人数、2人
プレイ時間、10分


【Prokonsul(総督)】

この作品集の中では最大級のゲームという事ですが、プレイ時間は比較的長く掛かるものの、ルールはそれほど複雑な訳ではありません。とは言え敢えてこれを遊ぶ理由が見付からない。

カード枚数、10×(3〜5)枚
プレイ人数、3〜5人
プレイ時間、45分


【Kaesar(カエサル)】

これはやはり5人限定のゲームだと思われます。プレイ人数の設定はある程度は広く取られているのでしょうが、適正人数から外れると途端にキレが悪くなってしまうゲームは結構ありますね。

カード枚数、10×(2〜5)枚
プレイ人数、2〜5人
プレイ時間、20分


【Spartacus(スパルタクス)】

これは広義のトリックテイキング・ゲームに含めても良いと思われるのですが、要は狭義の一巡のトリックとは違って、直前に出された札よりも強い札が出せる限りはトリックが続いて行くタイプのゲームですね。しかも共通の手札を使用しているので、勝敗は技術のみによって決まります。使用されるのはカードのみで、その構成は1スートの1から10のランク及び旗印カード1枚が人数分となっています。つまりは4人までであればトランプが使えるので、私としてはローマの七丘と同じくトランプのデッキで遊びたいゲームではあります。まあ本当の所は、大手のU.S.プレイングカード社は6スーツのトランプを市販すべきだと思っているのですが、これはまた別の話…。このゲームの面白い所は、カード運は全く関与しないし、極めてシンプルな作りであるにも関わらず、多人数の思惑が交錯する事により最適解が見出し難い事が上げられます。バリアントルールも良く出来ていて、これぞクニツィア・ジレンマとも言うべき悩ましさを秘めた小傑作だと思います。

カード枚数、11×(3〜5)枚
プレイ人数、3〜5人
プレイ時間、10分


【Tribunal(法廷)】

これについては、残念ながら4人以上で遊ぶ機会が滅多にないので未プレイとなっています。

カード枚数、30枚
プレイ人数、4〜7人
プレイ時間、60分


【Die Verschwörung des Catilina(カテリーナの陰謀)】

これは興味の対象からは外れてしまっているので、プレイする機会はないのかも知れません。

カード枚数、30枚
プレイ人数、3〜5人
プレイ時間、45分


【Imperium(帝国)】

物の10分でエリアマジョリティ(陣取り)の本質が味わえる10分帝国。その要である得点配分は良く考えられていて、ジレンマの演出の仕方が巧みですね。但しシンプルであるが故に、キレはあってもコクが少々足りない所は残念ではあります。この帝国を基に改良を加えて傑作に仕上げたのが、ミヒャエル・シャハトの王と枢機卿だと勝手に想像しているのですが違いますかね?尚、この作品集の全般に言える事ですが、テーマが古代ローマである必然性は全くありません。

カード枚数、11×(2〜5)枚
プレイ人数、2〜5人
プレイ時間、10分


【Die Prätorianer(近衛兵)】

ノミのサーカスの元になったゲームと言われていますが、同じバースト系でも、捲る程にリスクが低くなって行く設定には見るべき物があります。しかし結局は単なる運試しに過ぎないという…。

カード枚数、54枚
プレイ人数、2〜4人
プレイ時間、10分


【Mercator(商人)】

メディチの原型であり、これを煮詰める事によってあの傑作が生み出された訳ですね。それを思えば感慨も一入ですが、メディチを遊んだ今となっては、これはプロトタイプでしかないのかも。

カード枚数、50枚
プレイ人数、3〜7人
プレイ時間、20分


【Circus Maximus(大競技場)】

多人数アブストラクト・ゲームにおける、レースゲームの傑作として名高い作品ではありますが、残念ながら私の嗜好には合わなかったみたいです。若しかすると3人プレイしか経験していない所為かも知れないのですが、戦略性が巧く反映されずにどうしようもない展開になる事が多く、熱狂や興奮といった要素にも乏しくて、シンプルな割にはプレイ時間が長過ぎる様に思います。バントゥやビラボングば面白かったのに、これであればアベカエサルの方が優れているのかも。

カード枚数、5×(2〜5)枚
プレイ人数、2〜5人
プレイ時間、45分


因みに…【Flinke Pinke(フリンケピンケ)】もこのコンポーネントで遊べますね。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946975104&owner_id=9724239
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年01月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31