プロパラを振り返る(140）

　今日は、神戸での世界大会で開催された創作コンクールのうち、フランス主催のChampagne Tourneyの受賞作を紹介しよう。テーマはlong travelで、JudgeはあのCaillaud！ちなみに、受賞者は全員日本人だったようだ。

(269)橋本　哲(Kobe 2012 Champagne Tourney, 1st Prize)

Proof Game in 21.5 moves(15+14)

1.c4 e6 2.Qa4 Qf6 3.Qc6 Qf3 4.exf3 b6 5.Bd3 Ba6 6.Bg6 Bb5
7.d3 Ba4 8.Bd2 Bd1 9.Bb4 Be2 10.Sd2 Bf1 11.Rc1 Bxg2 12.Rc3
Bf1 13.Ra3 Be2 14.Sf1 Bd1 15.Se2 Ba4 16.Rg1 Bb5 17.Rg4 Ba6
18.Seg3 Bc8 19.Ra6 b5 20.Rb6 Sa6 21.Rb8 h6 22.Rxc8+

　黒Bc8がc8-a6-b5-a4-d1-e2-f1-g2と実に7手もかけて敵陣に侵入し、白Pg2を取った後全く同じルートを戻る。初形位置に辿り着いた黒Bがその場で取られてのフィニッシュは、演出としても最高。流石は世界のHashimotoだ！

(270)屋並仁史(Kobe 2012 Champagne Tourney, 2nd Prize)

Proof Game in 23.0 moves(13+15)

1.d4 Sf6 2.Bh6 gxh6 3.g4 Bg7 4.Bg2 0-0 5.Bd5 Kh8 6.Bb3 Sg8
7.d5 Bc3+ 8.bxc3 Kg7 9.Qd3 Kf6 10.Qb5 Ke5 11.c4 Kd4
12.Sd2 Kc3 13.Se4+ Kb2 14.Kd2 Kxa1 15.Kc3 Kb1 16.Kb4 Kc1
17.Ka5 Kd1 18.c3+ Ke1 19.Bd1 Kf1 20.Sh3+ Kg2 21.Sf4+ Kxh1
22.Sg3+ Kg1 23.Sh1 Kf1

　こちらは黒Kによるlong travel。まず0-0とキャスリングしてからh8からa1まで一気に対角線上を突っ走り、Q側の白Rを取ってしまう。それだけでなく、更にここから敵陣中を単独横断し、今度はK側の白Rまでも！黒Kの孤軍奮闘ぶりが何ともユーモラスだ。