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2007年12月19日15:57

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愚行

なんという事だ・・・
今、私は死の淵を歩いている。
深淵の闇が目の前に広がっている。
誰か助けてくれ・・・
震える手を差し伸ばすとそこには消え去る前の私の輝きが微笑んで私を迎え入れた。

と、意味深な冒頭で始まったが何の事はない。
俺様は腹痛で倒れているだけなのだ。
この2日間、友人がくれたあんぱん一つしか口にしていない状態で昨日、忘年会に行った。
目の前に広がる命の源。
ここぞとばかりに食物を貪り喰った。
「森ちゃん、食ってばかりいないで会話しようよ」という友人の一言を無視して最後の晩餐とばかりにひたすら喰い続けた。
貴様らには単なる宴会かもしれない。
だが、私は違う。
生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ。
楽しむなどという余裕などありはしない。
生き延びるために喰う。
それだけだ。
忘年会という名の命の生命線。
ここで第四胃袋まで食物を補充しておかなければ、今度はいつまともな飯にありつけるか分からない。
前回、悪友に焼肉を奢ってもらった時は喜びのあまり日本酒に手を出してしまった。
それによって家に帰ると第四胃袋まで満たした焼肉達は噴水のように全て口から放出されてしまった。
今回はそんな過ちを決して犯してはならない。
酒はコップ二杯しか飲まなかった。
戦いは終わった。
今回は完全勝利だ。
何も不手際など見つからない。
安心して帰路につく。
しかし・・・予想外の事が起こった。
帰りの電車内でそれはいきなり襲ってきた。
グルルル・・・
こ、この声は・・・

「ゲ、ゲイリー・・・!!」

この下腹部の激痛は紛れもないゲイリーに他ならない。

「なんてこった!!」

私の繊細なる胃袋はこの数日の満たされない食事にすっかり衰えきっていたのだ。
この忘年会という食のバトルロイヤルに耐えられるだけの力は既に残っていなかった。
最終段階の尻痙攣が私を襲う。

「・・・む、無念!!」

私は途中下車して第四胃袋まで全て満たした貴重なる食物を残らず肛門様から放出した。
一生懸命たいらげた食物が美しい弧を描いて私の体内から去って行く・・・。

「・・・さらばだ。」

私は気付くと涙を流していた。
目と尻を拭くとパンツを上げて私はよろよろと立ち上がった。
戦士はやるだけはやった。
ただ体が己の意思についてこれなかっただけだ。
なんの戦果も得られないままボロボロの体を引きずり我が城へ帰る。

そうして私は仕事を休みこうして戦記を記している。
ゲイリーという戦場で出会った相棒と共に・・・。
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