９月１４日　水谷修先生講演概要　その２

（話変わって）
水谷先生が会場に来ている中学生高校生に向かって問い掛ける。
「この中で、夜の世界に憧れた事が少しでもある子、手を
挙げて。渋谷とか新宿とか六本木とか、大阪のアメリカ村とか
夜はネオンが光輝いて、綺麗だよな」
（多くの子供たちが手を挙げる）
「そんな光輝いている街に、土日の朝６時くらいに行って
見てください。いたるところにゴミが散乱しています。
クサイ臭いが漂ってくる。ドブネズミがあっちこっちで
走り回っている。あんなに光輝いていたネオンも
近くで見てみると、継ぎはぎだらけ。君たち、
こんな世界で生きたいか？」
　今、上野から鶯谷あたりで、出会い系サイトを利用して
素人の若い女の子が援助交際をしてお金を稼いでいる。
暴力団にとっては、そんな子達がいては困る。何故なら、今、
暴力団の資金源である風俗が、そんな素人の女の子に
市場をもっていかれ、経営が成り立たなくなっている。
暴力団は、そんな素人の女の子を襲っている。これを
「援交狩り」と呼んでいる。昨年１年間で、２万人近い
女の子が被害に遭っている。水谷は、その光景を目の当たりに
して、警察に通報して、暴力団の下部組織をいくつか潰し
ました。
　今、昼の世界のイライラが夜の世界に雪崩れ込んでいる。
今の子供達は温かい言葉や、優しい言葉をかけられずに
イライラの対象になっている。
　イライラの対象になった子供達がとる行動は、
１、イジメ　２、不登校　３、自殺　４、非行・犯罪
この４つの行動を取らざるを得なくなる。
　子供達に、水谷は大人を代表してゴメンと謝りたい。
こんなイライラして攻撃的な社会を作ってしまったのは
大人の責任だから。お父さんは会社で上司に怒鳴られる。
イライラして帰宅したお父さんは、お母さんに
イライラをぶつけ、イライラをぶつけられたお母さんは
そのイライラを子供にぶつける。児童虐待がどんどん
エスカレートしてくる。お父さんはいい、飲み屋で
会社のストレスを発散できて、お母さんもいい、
亭主に安いお小遣いもたせて、自分は高級ホテルで
ランチが食べられてストレスを発散できるから。
でも、子供達は夜の家庭と昼の学校しかない。
家庭では、お父さん、お母さんに叱られ、ほとんど
温かい言葉をかけられていない。学校でも、先生に
叱られ、評価されていない。人間は認められる事に
よって自信をつけていくものなのに。
　かつて、古人は言いました「子供は１０誉めて
１叱れ」と。今はどうだ。１０叱って１も
誉めていないんじゃないか。
　青年会議所の人から「今度はモンゴルでも講演を
やりませんか？」と言われた。私は断った。今、
日本で、自分達が住んでいる地域で苦しんでいる
子供がいるのだから、その子達を助けるのが先だと。
　子供が自殺する件数が多い曜日は何曜日か？知って
ますか？金曜日と日曜日。月曜から学校で、イジメ等の
地獄の日々が始ってその地獄の重さに耐え切れずに
金曜日に自殺する。日曜日に自殺が多いのは、
その地獄が翌日からまた繰り返されるから。
　子供が自殺する件数が多い月は、１年のうち
どの月だと思いますか？４月、５月はほとんどない。
８月から９月にかけてが一番多い。一学期に、
クラスの中で良好な人間関係が築けなかった子が
自ら命を絶っている。夏祭りだのプールだの海だの
他の子が楽しんでいるのに、自分だけ一人ぼっち。
この孤独感が子供達を自殺に追い込むのです。
核家族化の中で、お父さん、お母さんは仕事に
忙しく子供の心を察知できない。
　そこで、この会場にお越しのおじいちゃん、
おばあちゃん、金曜日、日曜日、特に８月、９月、
お孫さんに、温かい声をかけてあげてください。
孫が遠くにいるという方は電話でも良い。
その温かい言葉が、お孫さんの命を救うかもしれない
のです。
　ここにおいでの学校の先生方。月曜日に
臨時の職員会議を開いてください。その会議の
テーマは、クラス中どの子にも１０個誉めるという事。
　筑紫哲也さんが言ってました。「幕末、日本に
来た海外列強はみんな新聞の特派員を連れてきた。
どの国の特派員も本国に『世界で日本ほど子供を
大切にしている国はない。』と報告している。
近所、地域全体で大人達が子供達を暖かく
見守っている。他の国から来た我々にも、
子供を抱っこさせてくれる」
　今は、どうでしょう。不審者が居たら
逃げなさいと、子供に人を信じさせない教育を
している。もし、１人の不審者がいたら、
１００人の大人で守れば良い。１００人の
大人が通学路に立って子供に声をかければ良い。

（続く）
（これで前回分とあわせて３分の１程度が終わりました）