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2007年03月23日08:26

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真・トレイン・ブレイク 2

「むっ!?」
私はある異変に気付いた。
その異変は確実に地獄へと続く扉だった。

それまで私の前にはくたびれたオッサンがいたのに、ふと気付くと若い女性がいた。
「おおっグレート!」と思ったが、そんな浮かれた思いはアッという間に吹き飛んだ。
密着度120%。
これは嬉しいと言うより悲劇だ。
頭の中では痴漢と間違われないだろうか?と言う思いでいっぱいだ。
少しでも触れないようにと体をずらすと逆に体が接触してしまう。
バッグを持った手が丁度、彼女のお尻にあるので動いたらまさしく痴漢だ!
だが、アホ列車は容赦無く急カーブし遠心力が我ら子羊を襲う。
女性がこちらの苦労も知らず、ドスーンと寄り掛かる。
私は心の中で叫んでいた。
「くそっ!私は痴漢じゃない!私は痴漢じゃない!」
さらに逆急カーブ。
女性はヒューンと離れて行きホッとするのも束の間、後ろのオッサンがドスーンと倒れこんでくる。
「貴様あ、男だったら少しは耐えろ!!」
満員電車は人に寄り掛かると楽になるという伝説の魔法を職場の人間から聞いた事がある。
「まさかこのオッサンはハリーポッター!?」
ちょっと憧れの目でオッサンを見つめてしまった。
カーブを過ぎると女性はまた舞い戻ってくる。
すり減らす神経と体力・・・。
女性専用車両があるんだから、そっちへ行ってくれんかといい加減思い始めた。
カーブとブレーキに差し掛かる度、周りでドタドタッと音がして「すいません」という謝りの声が聞こえる。
「闘ってるのは俺だけじゃないんだな・・・俺も頑張ろう」
そう思うと一つの疑惑が生まれてきた。
俺をここまで苦しめる敵は一体何だ?
目の前の女性?後ろのくたびれたオッサン?この電車?
いや、ひょっとしてまさか・・・まさかあの・・・!!
戦慄を覚えながら巨大なる悪の存在を感じつつ列車は終着駅に近付きつつあった・・・。

               トレインブレイク 未完
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