■山行概要
◆【八ヶ岳】
北横岳(2480m)
◆2022/3/19(土)〜2022/3/21(月)、晴れ⇒ガス、湿度快適
気温4〜6℃、風速5m/s(どちらも標高2237mの坪庭で計測)
登山客の人口密度/高尾山レベルに高い
◆日程は前後泊含む2泊3日だが、山自体は日帰り、全備重量17.3kg
所要時間4:30(コースタイム1:45)、累積標高差294m、歩行距離3.5km
◆9:20/ロープウェイ山頂駅(標高2237m)着、アイゼン装着等の準備と高度順応
を兼ねてしばらく滞在⇒9:40/坪庭を出発、探勝路へ⇒9:45/第一休憩所(ここ
で9:50まで小休止)⇒9:55/第二休憩所(ここで10:00まで小休止)⇒10:25/三ツ
岳分岐⇒10:30/北横岳ヒュッテ(ここで11:10まで中休憩)⇒11:25/北横岳南峰
(標高2472m)登頂⇒11:35/北横岳北峰(標高2480m)登頂⇒12:00/コルに移動して
12:30までお昼休憩⇒12:35/北横岳南峰⇒12:45/北横岳ヒュッテ⇒13:05/坪庭
(ここで13:15まで小休止)⇒13:25/坪庭北横岳分岐⇒14:05/滑落停止訓練終了
⇒14:10/ロープウェイ山頂駅(標高2237m)へ帰還
◆写真はYAMAPへ↓
北横岳
https://yamap.com/activities/16225224
「雪上自主トレーニング」ってことで雪山入門の超定番！北八ヶ岳の北横岳に行ってきました。今回、山行自体は日帰りですが、装備関連の記載が非常に多いので日記は3分割となります(ホントは最初、2分割の予定だったのですが、【本編】が1日記1万文字の制限にひっかかってしまい、途中から「スタック脱出編」と「山行編」に分けることにしました)。
それではいつも通り、無駄に長い前説からどうぞ。
【前説】
前の日記にも書きましたが、今年の冬はとても寒かったですの。豪雪地帯では雪も沢山降りました。ちょっと過去を振り返りますよー！
2018年は暖冬でした。雪も全然降らず、雪融けも早かった。この年は初めての「残雪の北穂チャレンジ」に参加したのですが、雪が少なすぎて梓川の雪渓も消えており、本谷橋から涸沢までは夏道を歩くことに。結局この年は涸沢までも行けず、時間切れで途中撤退したのでした。
2019年は寒いと言うより、降雪量が多かった。特に3月に季節外れの大雪が降って結果、GWもたんまり雪が残っておりました。上高地から横尾の区間も夏道は雪で埋まっていて川沿いの冬道を歩いたし、本谷橋から涸沢の区間は完全に雪渓になっていて、夏道を歩かずに済みました。
で、今年。寒いし雪降ったし、これはGWもかなりの残雪量なんじゃね？と予測。2020年はコロナで山行どころでは無かったし、昨年2021年は天候不良で企画するも中止。自分は2019年、2回目のチャレンジで無事登頂することが出来たので、別に北穂への拘りはさほど無いんですが、まだ登頂出来ていないONZKさんとHGさんはやる気満々！昨年、冬山ギアを一式揃えるも、全く使わず塩漬けになっている弟氏もやる気満々！したら今年はイベントが立ち上がらなくてもこの4人パーティーで挑戦してみますかね？なんて話をしておりまして。
ただ弟氏、雪山経験ゼロです。登山とかではなく、スキーやスノボなどのスノースポーツを全くやらないのでスノーフィールドを身体が理解していない、と言った感じ。その状況で昨年は残雪の蝶ヶ岳に登ろうとしてたんですが、あれは結果的に中止になって良かったんだよ、と今更ながら思うのです。今年、初めての雪山がいきなりの北穂高岳はいくらなんでも無謀過ぎる。まずは基礎練習やった方がええやろ、時期的に3月後半なら残雪期だし、北横岳なら初心者でも経験者の同行があればOKじゃね？と思い誘ったところ、二つ返事でOKが。
でも2人だと交通費とか、色々コスパ悪いなあ。
「HGさん、3月の三連休で北横岳行こうと思うのですが、行きます？」
「あー、行く！だって自分も昨年、冬靴と12本爪アイゼン買ったのに一度も使ってないから。北穂の前に慣らしをしておきたいよ！」
「ONZKさんはどうします？ONZKさんの場合、特に得られるモノは無いと思うんですが・・・」
「は？何をおっしゃいます！2019年の時、私は涸沢までだったんですよ。途中まで登って撤退したHGさんと違ってピッケル買ったのに一度も使ってないのよ。北穂の前にピッケルの慣らしをしたいです！」
ってことで4人パーティーで確定です。ロープウェイで上からスタートすれば、北横岳のピストンは往復で所要3時間もかからない。なので当初は北横岳と縞枯山の両方を歩くことも考えたんですが、半分は登山、もう半分は雪上トレーニングをする案を提示したところ、全員から同意をいただく。
・自分⇒12本爪アイゼンを装着しての雪上歩行慣熟
・HGさん⇒冬靴と12本爪アイゼンを装着しての雪上歩行慣熟
・ONZKさん⇒ピッケルワークの慣熟
・弟氏⇒雪上活動における基本動作全てを実体験してみる
ってことで、各人トレーニングのテーマが決まりました。
次に現地までのアクセスです。下界ではもう春の匂いがしますが、山はまだまだ冬ですよ。車で行く場合、スタッドレス履いてる車がうちの実家号しかない。自分もHGさんもONZKさんもみんな、ノーマルタイヤなんですよ。あと雪道対応しているのはO野さんのパジェロだけですが、今回はメンバーじゃないし。まあ、FFのスタッドレスならロープウェイ乗り場までは行けるんでね？と判断。ただ、車が1台なので定員はこの4人で締め切ることに。
実家号は商用車ベースのライトエースですが、2列シートだし車中泊仕様に中が大改装してあるのです。大人4人と雪山装備の荷物を4人分載せたらもう満杯でござるよ。なので後から話を聞きつけたHりさんが参加表明をするも、車の関係でお断りをしたのです。仕方ない仕方ない・・・。
今回は相当なゆとりプランです。初日はお昼ぐらいに移動を開始して茅野まで。いつもの定宿に前泊して夜は行きつけの中華屋で夜ご飯＆飲み。翌朝早朝にチェックアウト、ピラタススキー場の駐車場へ移動。ロープウェイで上まで上がり、北横岳往復の登山は午前中に片付ける。お昼を食べたら午後は滑落停止訓練など、雪上自主トレーニングを実施。夕方下山したら石和へ移動して2日目は石和健康ランドに泊。3日目の最終日は早朝にチェックアウトしてお昼前には各人帰宅の予定。これなら最終日の午後はまるまる自由に使えるので、片付けとか家の用事とかも十分こなせるので色々と負担が少ないって算段っすわ。
その�△紡海�・・・。
■装備関連
��Grivel/Air Tech New Classic EVO CE
アイゼンです！12本爪のアイゼン！最近ではアイゼン(ドイツ語)ではなく「クランポン」と言うのが一般的みたいですね。クランポンはフランス語ですが、英語圏でもみんな「クランポン」って言ってますね。それはさておき、1年間塩漬けだった12本爪アイゼンをようやく使用する機会を得ました。話はかなり遡りますが、2019年5月。衝撃の雪山デビューはいきなりの北穂高岳でした。この時の日記の最後にも色々と書いておりますが、まあ、それは
コレ↓
◆山登りはじめました＃226「北穂高岳に行ってきた2nd」その��
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1971499196&owner_id=5956264
をご参照下さい。
とにかくこの時はピッケル以外は無謀にも普通の夏山装備で登ったのですよ。アイゼンは何と！実はアイゼンではなくただの「スノースパイク」です。10本爪ですが前爪は無し。歯は全体的に全て短く、足の裏から生えてる感じ。つまり靴を上から見ると爪が全く見えないのです。そして何よりも固定方法が良くない。強いテンションをかけると若干の伸びが発生してしまうオール樹脂バンド。しかもラチェット締め！斜度のキツイ場所で爪先側の爪が雪面を噛むと、自重で後ろ側にアイゼンが引っ張られて直ぐに固定が緩んでしまうのです。今更ながらですが、よくこんな装備で残雪の3000m峰に登れたなあ、と。
さて、話は戻ります。2020年はコロナのせいで山小屋が営業しておらず、この年の北穂チャレンジは中止に。翌2021年はGWに同様の企画をするも、涸沢カールで雪崩が発生したのでやはり北穂チャレンジは中止。代替案として弟氏と二人で蝶ヶ岳に登ることにしたのです。で、やはりアイゼンはちゃんとしたやつでないと危険だろうと。特に前爪が無いと、雪が固くなってキックステップが出来なくなった時点でチェックメイトになってしまう。前爪付きのアイゼンが欲しい。どうせ買うなら10本爪ではなく12本爪が欲しい。ってことで、遂に購入したのがこのグリベルのエアーテックなのです。
ではなぜこれなのか？ピッケルの時と同様、掘り下げてみますよ。
まずグリベルを選択した理由はやはり、「アンチスノープレート」の評判が良いからです。アイゼンといえば事実上、グリベルかペツルの二択、まれにここにブラックダイヤモンドが参戦する感じでしょうか？でも雪山でグリベルのアイゼンを装着している率、圧倒的ですよね？重量で比較するとペツルの方に分があるのですが、元々デザイン的にもグリベルが好みだったのでブランドはグリベルで確定。あとはラインナップから何を選択するか。
グリベルの12本爪だと選択肢は「ニュークラッシック(長いので以降はNCと表記)」とそれの「エアーテック(長いので以降はATと表記」の2種類です。あらゆる条件で使用するなら、爪の長いNCが良いみたいですが、自分のターゲットは残雪期の山です。北穂に登頂した時もそうでしたが、山頂直下で雪岩ミックスの場所が出てくる。ATはそういったシチュエーションに向いているそうで、爪の形が岩の上も歩きやすいとのこと。半面、爪が短めなので雪の保持力はNCより若干劣るみたい。でも爪の長さの違いで重量はATの方がNCよりも少しだけ軽い。そうそう、爪が短いと言っても、10本爪のスノースパイクよりは遥かに長いのです。ちゃんと前爪も靴の爪先から前に飛び出してます！
なお、固定方式は前後ストラップ式です。自分のLOWA(Ticam��GT)はフルレザーの登山靴ですが基本、3シーズン用。残雪期も一応大丈夫ですが、トウベイルやコバは付いてません。なのでセミワンタッチやワンタッチ式のアイゼンは当然不可。前後ストラップ式しかダメです。でもいいんです。ずっと雪山はやらないと、言ってたのに「残雪期だけなら」と雪山に行くようになり、このまま結局、厳冬期にも手を出すかも知れないので。勿論、厳冬期やるならちゃんと装備は揃えますよ？
・残雪期⇒3シーズンの靴にアイゼンは前後ストラップのAT、ピッケルはストレートシャフトのBカテゴリ。
・残雪期⇒保温材入りの冬靴はコバ付き、アイゼンはセミワンタッチのNC、ピッケルはベントシャフトのTカテゴリ。
なお弟氏も同時期にアイゼンをゲットしてます。特に示し合わせたわけではないですが、弟氏も同じグリベルのエアーテック、但しセミワンタッチ式です。想定状況をショップに相談した結果、とのことなので、自分の判断も間違っていなかったんだ、と確信しました。
最後にこの時の蝶ヶ岳ですが、天候不良(吹雪)のため結局中止になりました。買ったまま1年間塩漬けだった理由がこれですね。
��mont-bell/アルパインテックグローブ
さて、次はグローブです。グローブに関しても過去のいきさつは
コレ↓
◆山登りはじめました＃226「北穂高岳に行ってきた2nd」その��
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1971499196&owner_id=5956264
をご参照下さい。
当初はですね、お古のスキー用グローブを今年の北穂チャレンジで使い捨てにする予定だったのです。が、2月のスキー旅行の時に右手の人差し指の先に穴が開いてしまった！まあ、購入から10年以上使っているので、限界が来たか。
今回の北横岳は正直、レイングローブとインナーグローブの組み合わせで事足ります。でも北穂は別。特に北穂沢の下りは雪の中に手を突っ込みまくるので穴の開いたスキーグローブでは話にならない、絶対にダメ！グローブの新調が必要なのは間違いないが、ならせっかくだし早目に購入して北横岳でテストしてから実戦投入するのが安心と判断。
新調するグローブのマスト条件は二つあって、一つはスキーでも使えること。もう一つはインナーグローブ分離型であること、です。特にインナーグローブが分離出来るタイプでないと、一体型は一度中が濡れてしまうと中々乾かない＆すぐ臭くなるって問題がありまして。スキーの時もこれは毎回悩みのタネでしてね。ちなみに2019年の北穂の時は、かみさんの捨てる予定の古いスキーグローブを使いまして、案の定中はびちゃびちゃになってしまったんですが、そのまま捨てたので問題はありませんでした。
とにかくインナーが外せるタイプは予備のインナーを持っていればドライ環境を維持出来るって点が圧倒的に優位です。ってことで、色々調べて店舗に足を運び、グローブ選びを開始。最初の選択肢はブラックダイヤモンド(長いので以降はBDと表記)です。自分、ヘルメットもピッケルもカラビナもハーネスも、クライミングギアはアイゼン以外全部BDなので。ところがねえ、自分のニーズにマッチするのが全然ないのですわ。どういうことかと言うと、BDのグローブは使用温度帯で細かくラインナップが分かれてるんですね。で、インナー分離型の大半はミトンタイプなの。スリーフィンガータイプのミトンもあるけどスキーでの使用を考えるとこれらは対象外。
5本指タイプでインナー分離型は使用温度域が極端に低く、アウターの生地が厚すぎてスキーでは使え無さそう。固さがスノボ用みたいなんだもん。それ以前にアメリカ製のせいか、サイズが全く合わないのだ。これは無理にBDに拘るとダメな結果になりそうな予感が。決して安い買い物ではないからね。
で、次に候補に挙がったのはやはりmont-bellです。インナー分離型の5本指タイプではラインナップが3種類。実際に店舗に行って店員さんに利用用途を伝え、相談をしてみた。以下の二択に絞って検討。
・アルパイングローブ⇒防寒性能は一番高い。ただ、アウターの生地が厚いので操作性は一番劣る
・アルパインテックグローブ⇒防寒性能は一番低い。ただ、アウターの生地が薄いので操作性は一番高い。
とのこと。まずは防寒性。自分が想定しているのは残雪期の山。厳冬期はゲレンデスキーしかしません。過去に自分がスキー場で経験した最低気温は3月の北海道、ニセコでのマイナス17℃。風の事を考えると日本一標高の高いスキー場である「横手山(2307m)」の山頂で2月の厳冬期に吹雪を経験している。逆に言えばこの2つの条件をクリア出来ていれば、それ以上の防寒性能は不要なのです。って話を店員さんにしたら、テックの方が良いだろうと。
両方試着して色々と操作性を試してみると、やはりアルパイングローブの方は指先が思うように曲がらない。ピッケルを持つのが限度かも知れんねえ。スキーのストック操作を考えると断然、テックの方が操作性が良い。そもそも、スノーフィールドでの使用回数は圧倒的にスキーの方が多いわけだから、今回は「スキー用のグローブ」でかつ、「雪山登山にも使える」って優先順位で考えないとダメだね。
というわけでグローブはアルパインテックグローブに決定。税込みで2万以上もしちゃったYO！まあ、破けない限り10年以上は使うだろうし、インナーを複数持っていれば気温に応じて使い分けも可能なので、あっと言う間に減価償却出来るだろうぜ！
��Snow Claw/Snow Claw
【メーカー説明文引用】
バックカントリー向けの携帯用簡易スノーショベル。厚さ1mmのポリカーボネイトを使用しているため、軽量、しかもコンパクト。雪の硬軟に合わせて掘る面を選べます。山岳スキー競技対応ショベル。
その他の用途に
・スノーショベル
・非常時の副木
・スノーアンカー
ってことなんですが、文字だけでわかります？形はちょうど「チップスター」のポテチみたいな感じ。両側に取っ手となる穴が開いていて、両手で持ってドジョウ掬いの要領で使うスノースコップです。重さは140gしかなく、スコップ以外にも色々用途が！取っ手の他にも穴が複数あり、スリングを通せばスノーアンカーに(デッドマンの要領で使う)、ベルトで湾曲させて縛れば副木に、更に雪上で座る時には座布団にもなるという、超優れモノ！
一言で言えばポリカーボネートの板なので、固い氷とかは対応不可ですが、雪であれば雪洞を掘ったりする時に十分使えると思います。そんな万が一の備えとしてより、座る時の座布団として使えるのが一番の利点かなあ？どちらにしても薄くて軽くて邪魔にはならないので、スノーフィールドに出る時の必携品として購入しました。何せただのポリカーボネートの板ですから、値段も2000円代とリーズナブル！ネットではずっと品切れの再入荷待ちだったのですが、某登山専門店に立ち寄った際、「展示品のみ」の条件で値下げ販売をしてたのです。面に少し傷が入ってましたが、スノースコップとして使うのなら、一回使用すれば傷だらけになるので、迷わず即買いしました！
それ以降、再入荷はされていない様でここ一年、店頭では全く見かけておりません。いやー、買える時に買っておいてホントに良かったです！今回の山行でも大活躍してくれました。流石にゲレンデスキーの時は携帯しませんが、雪山に行く時は必ず携帯したいと思ってますYO！
なお、メーカーの会社名も製品名もどちらも「Snow Claw」って言うみたいですね。
■写真解説
�…敖蹐�ら南アルプスの稜線が見えます。早朝は視界がクリアだったんですが、昼頃からガスが出てきましてねえ。
��買ったまま1年近く塩漬けだった12本爪アイゼン(グリベルのエアーテックです！)をやっと初使用です！前爪があるよ、前爪〜！
��積雪の樹林帯を登って行きます。早朝は寒かったけど、日が昇ったらもう、暑い暑い！新調したアルパイン用のグローブも暑くて填めていられませんでしたもん。
ログインしてコメントを確認・投稿する