川島雄三監督の最高傑作と名高い『幕末太陽傳 ('57)』を観ました。
評論を聞いて20代の頃に初めて観たのですが、その時はどこを愉しんだら良いのかさっぱり分からず、当時から好きだった幕末史上の人物の名前があちこちに出てくるところくらいしか興味を持てず、ましてラストシーンの意味も分からず、それきりになっていました。
その本作を、50代になった今、久々にアマプラで配信されていたのを観たところ…
面白すぎました!確かに傑作と呼ばれるのも分ります。110分の上映時間中、退屈する事がありませんでしたし、観終えてすぐにまた最初から観たくなるような作品です。
20代の頃の私は、とにかく必死になって物語…どころか単なる筋立てばかりを必死になって追うばかりでしたので、それがダメだったのだと今なら分ります。そんな事よりも品川遊郭と言うまるで人の世の箱庭のような世界に、欲と得と人情としがらみでがんじがらめになって蝟集して生きる処世の人々と、そんな中で軽妙洒脱に軽やかに世渡りしていくフランキー堺が演じる佐平次の姿を観ているだけでも痛快そのもの。
しかも、その佐平次がその実、笑い顔の裏では死の影に怯えている描写がまたたまらない。
有名なラストシーンについても今ならば感じるところが多々あり、このラストシーンの為にまた観たくなります。
いや、本当に面白かったです!
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