隣は何してくれる人ぞ

大型商業施設には広大な駐車場があるのが当たり前とされていますが、
そういった広い駐車場で、周囲はガラガラに空いているのに、
わざわざ隣に駐車してくるドライバーの方がいらっしゃいますよね。


最近では、こうした人を【トナラー】と呼び、
駐車場だけでなく、トイレや電車、新幹線の座席、パチンコ店、飲食店など
場所を問わずトナラーが存在するようですね。


ネット上には幾つものトナラーの目撃談、体験談が投稿されてましてね。
多くはトナラーをされた人の書き込みが見受けられ、
『ガラガラなのに、なぜ横にくる？』とか『トナラー、マジでウザイんですけど』などと
憤りを見せる投稿が多数ある一方で『トナラーの何が悪いのか判らない』とか
『車の隣に駐めたぐらいでどうこういうのは、心が狭いとしか思わない』といった
擁護する意見もあるようですね。


そもそもトナラーはなぜ隣に車を停めるのか、その理由が知りたくなりますよね。
通常人は、自分と他人との間に、ある程度の距離を保ちたいと思っていて、
個人差はありますが、一般的に両手を広げた範囲が、
その人が他人との間で保ちたい距離とされているんですね。


そこに踏み込まれると、人間は不快な気持ちになると言われており、
例えば満員電車や混み合ったエレベーター内など、
物理的に他人との距離感を保つ事ができない場合がこれにあたりますね。


こうした場合、周囲の人を
人ではなく物とみなす【没人格化】という作用が脳の中で行われ、
人は不快感から逃れる事ができる仕組みになっているんですね。


ところがトナラーは、距離感に関係なく
他人を【没人格化】してしまう人が多い傾向にあるそうでして、
こういう方は、人と人との距離感をイメージしづらく、
脳の切り替えが少し苦手なのだと言われてましてね。


その結果、他人に迷惑をかけているかもしれない意識もないまま、
駐車場がガラガラでも、駐車している車のすぐ横に自分の車を停めてしまう
トナラー行為をしてしまうと考えられるそうですね。


「俺よく電車に乗るんだけど、空いてる席がたくさんある電車で、
隣に座られるとストレスが半端ないんだよね。
何でわざわざ隣に座ってくるんだろうね？」
「座ってくる相手が女なら、多分お前に気があるんだろうな」
「なるほど」
「そして座ってくる相手が男なら、絶対お前に気がある」


確かに駐車場で隣に停めてくる人の場合は、単なるトナラーなんでしょうが、
『空いている男子トイレの小便器の隣にくる人』とか
『空いているトレーニングジムの隣のマシンにくる人』『空いているサウナの隣にくる人』
『空いているお風呂の隣の洗い場にくる人』・・・このあたりの意味合いは、
ちょっと違ってくる感じがしますよね。


「この間、ガラガラに空いている広い喫茶店で、わざわざ俺の隣の席に座ってくる客がいたんだよ」
「あ〜トナラーって奴だね」
「ところが暫くしたら、そいつからメチャメチャ臭いにおいが漂ってきたんだよ」
・・・それは【トナラー】ではなくて【オナラー】というやつでしょうね。


微笑亭さん太