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2021年09月03日21:19
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9/3(金）独立30周年ウクライナの歴史（2）ポーランド・リトアニアの支配下での出来事(前編）最新ニュースとコロナ関連 自民党総裁選の行方
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9/3(金）
前日の9月2日(木）、首都圏は一日を通して雨が降り続いた。最高気温は20度、最高湿度は85％となった。真夏の暑さから開放され、幾分涼しさを感じるようになった。本日3日、午前11時時点で気温は20度、湿度は80％台である。昨日の夜と比べると、雨は小康状態となった。前線の停滞により、日本列島はしばらく雨雲に覆われる見通しである。
最新ニュースによると、9月17日に公示され、29日に投開票を迎える予定の自民党総裁選挙に、現職の菅義偉氏が、出馬しない意向を示した。任期満了を持って自民党総裁と共に内閣総理大臣の職を辞することになる。ワクチン接種担当大臣の河野太郎氏、野田聖子氏も立候補する意向を示した。既に岸田元外務大臣は、出馬を表明している。自民党内の総裁選挙を巡り、各派閥で駆け引きが続く。
目次
・9月3日にアフニスタンへ飛び立った自衛隊2機のうち1機が帰国
・9月2日（木）新型ウィルス関連情報
・独立30周年ウクライナの歴史（2）ポーランドとリトアニアの支配下での出来事（前編）
��9月3日にアフガニスタンへ飛びたった自衛隊2機のうち1機が帰国。
9月3日、午前9時頃、自衛隊の埼玉県入間基地に、アフガニスタンへと飛び立った2機のうち1機が、無事に着陸した。8月23日（月）に、自衛隊Ｃ２とＣ１３０輸送機２機が、アフガニスタンに残る日本人を救出するため出発したことから始まる。8月25日から27日に、パキスタンの首都イスラマバートとアフガンの首都カブールの空港を複数回往復して、安全を確保しながら、日本人と現地人の救出に努めた。26日に国際空港にて自爆テロが起こったことにより、隊員の安全を確保しながら任務に当たることが難しくなった。日本人１人とアフガン人14人を退避させた段階で、岸信夫防衛大臣の命令により、引き上げた。現地には、救出予定だった日本大使館の職員と家族を含め500人が取り残されたままだった。8月30日に米軍の完全撤退に伴い、自衛隊の任務にも明らかに支障が出ていた。残るC130機は、パキスタンのイスラマバートの空港から日本に戻る準備を進めている。アフガン情勢は、タリバン復権と共にISが加わり、ますます混迷を極めている。20年間駐留したアメリカ軍が不在になった今、先行きが読みずらくなった。
�◆�9月2日（木）と3日（金）新型ウィルス情報
新型ウィルスの方は、感染第5波のピークを過ぎつつある。9月2日に日本全国で確認された新規陽性者数は1万8228人、感染による死亡者は65人と発表された。厚生労働省によると、重症患者数は前日66人増となる2158人となった。この日で国内の累計感染者数は150万人を突破した。
日本全国では、首都圏を始め新規陽性者数は一時期よりは下がっているとはいえ、大阪府に関しては8月末にきてピークを迎えている。大阪の「第5波」の特徴は、若者の感染者の増加だ。8月31日までの7日間では、18歳以下の感染者が3585人、その前の7日間（18〜24日）の2560人と比べると大幅に増加していることが分かる。全体の陽性者に占める18歳以下の人の割合も16%から20・6%まで上がった。府立学校の休校数も、7月の延べ37校から8月は143校に急増した。
写真 掲載元 9月2日の関西地方の新型コロナの感染者数を示したグラフ Yahoo https:/
最新9月3日、日本全国で確認された新型ウィルスの新規陽性者数は1万6783人、感染による死者は63人、重症患者数は前日68人増となる2221人と明らかになった。
参考 NHK NEWS WEB https:/
日本政府は、病床の逼迫により、自宅療養者が急増している事態から、9月12日の期限をもって、緊急事態宣言の解除は難しいとみている。感染者数が高止まりしている中で、出口戦略を立てることさえできない。ワクチン接種を勧めると共に、治療薬の開発も急がれている。新たな治療薬として、2020年11月9日に米国FDAにより緊急使用許可が出た「抗体カクテル療法」が注目されている。東京都では、都立・公社病院でコロナ患者102人に抗体カクテル療法を実施した。82人が退院、もしくは熱が下がるなどして症状が回復したという。投与された患者は重症化リスクの高い糖尿病を含め基礎疾患がある人が多くを占めていた。重症化や死亡した例は確認されなかった。
東京都では、8月31日に日本国内で変異したとされる新たなデルタ株が見つかっている。専門家でも感染力については分からないという。収束が見えない中、新たに病床を確保する必要に迫られている。コロナとの戦いは、日に日に厳しさを増している。
独立30周年ウクライナの歴史（2）ポーランドとリトアニアの支配下での出来事（前編）
今回、独立30周年を迎えたウクライナの歴史の2回目である。2回にわたって、ウクライナを統治した14世紀のポーランドとリトアニアを紹介する。
前回の関連日記 独立30周年ウクライナの歴史(1)キエフ・ルーシについて 緊急事態宣言下でパラリンピックが開幕 https:/
ウクライナは、先日8月24日に、首都キエフにて、節目の独立30周年を迎えるパレードが無事に行われた。コロナ禍にも関わらず、マスク未着用の群衆の前で、兵隊達が一列となって、行進をしていた。国家元首のウォロディミル・ゼレンスキー大統領もマスクをつけず、演説を行ったのである。同国では、2021年8月29日の段階で、一日当たり平均1683人の新規陽性者が出ていた。累計感染者数は228万8371人、死者数5万3833人である。参考ページ https:/
写真＝独立30周年式典に参加するゼレンスキー大統領 掲載元 https:/
ウクライナは、感染対策と共に、現在隣接する旧宗主国のロシアとのクリミア問題を抱えている。2014年にロシアのクリミア併合以来、両国の外交関係は完全に途絶えた。将来的にＥＵ入りを目指すウクライナのゼレンスキー大統領は、現地時間9月1日に始めてアメリカのバイデン大統領と会談を行った。アメリカは、ロシアを睨み、ウクライナに日本円換算で66億規模の軍事支援を行う意向を明らかにした。ロシアのクリミア併合を認めず、ウクライナと今後も軍事的に協力関係を築くと約束した。
ウクライナの国民の多くはＥＵと共にNATO（北大西洋条約機構）の加盟を望んでいる。巨大な穀倉地帯を抱える同国は、常に大国の干渉を受け続けた過去を持つ。今なおロシアと軋轢を抱えている。
目次
・第1章 東ヨーロッパで勢力を伸ばすリトアニア
・第2章 リトアニアとポーランドが共和国として統一する。
・第3章 選挙王政が始まり、四半世紀に及ぶリヴォニア戦争が終結する
・第4章 ウクライナの豊かな穀倉地帯の秘密
必 今回第1章のみ掲載
第1章 東ヨーロッパで勢力を伸ばすリトアニア
ウクライナ共和国は、2020年時点で人口4140万人、首都キエフは2017年時点で288万人である。東ヨーロッパ最古の首都であり、スラブ圏の東方教会発祥の地として知られる。
写真＝キエフの町並み 掲載元 今すぐどっかへhttps:/
9世紀から13世紀に10から15の公国のゆるやかな連合となる「キエフ・ルーシ国」が、東ヨーロッパにおいて交易の中心地として栄えた。13世紀にバトゥが率いるモンゴル軍の侵攻にあい、それぞれの公国の主は、正教を保護されながら、服従を強いられた。1349年に、現在のウクライナ共和国の9割の人口が集中する土地を抱えるハーリチ・ヴォルイニ連合公国が消滅する。ハーリチ公国はポーランドに、ヴォルイニ公国はリトアニア領となった。
ウクライナは、ポーランドとリトアニアの支配下において、民族運動も制圧された。モンゴル侵攻以前、現在のロシア、ウクライナ、ベラルーシは、一つの国家だった。14世紀から17世紀の間、3つの民族に分かれ、それぞれ独自の言語を持つようになる。
中でもリトアニアの急拡張は、キエフ・ルーシを支配したモンゴルさえ脅かした。14世紀リトアニア大公ゲディミナス（在位1316年から1341年）が、東南進出を果たしたことに始まる。先代のミンダウガス公（在位1240年?から1263）の時代に始めて統一されたリトアニア大公国は、カトリックを信仰するドイツ騎士団との戦闘を続けていた。ミンダウガス公の時代は領土拡張を阻まれたものの、後のゲディミナスの時代はウクライナの北部とベラルーシの全域を治める。首都をヴィリニュスに置き、自らルーシーの王と名乗った。ロシア帝国やポーランドの貴族は、ゲディミナス家から派生している。
写真=14世紀のドイツ騎士団の紋章 ウィキペディアより
ミンダウガスは、年代記においても出生について詳しく書かれていない。西暦1253年に唯一のリトアニア王として戴冠している。西暦1250年ないし1251年にカトリック教会の洗礼を受けたことにより、リヴォニア騎士団と同盟関係を結んだ。彼が国王として勤めた1253年から亡くなる1263年9月までの10年間、親類やその他の公との争いは起こっていた。
写真＝現ラトビア西部からエストニア南部にあたるリヴォニア騎士団領の位置
掲載元 バルト3国の歴史（ラトビアの歴史）よりhttp://
写真＝ラトビアの都市を示した地図 旅行のとも Zen Tech ツェーシスの地図
https:/
リトアニアの西部地方ジェマイティアは、ミンダウガス＝リヴォニア騎士団の統治により、市民からの激しい抵抗を受けている。ドイツ騎士団領と接する土地に当たり、戦闘に巻き込まれた経緯がある。ヨーロッパでも布教活動が最も遅れていた。1345年から1382年までの37年間に渡り、プロイセンから70回、リヴォニアから30回も攻撃を受けている。1410年のタンネンベルクの戦いで、ポーランド王国とリトアニア大公国の連合軍が、ドイツ騎士団との戦いに勝利したことにより、ようやく平和が戻ってきた。15世紀から18世紀までジェマイティアは、リトアニア大公国の一つの公国として認められている。
写真＝ハールィチ・ヴォルイニ大公国の国旗・国章 Wikiwand https:/
唯一の王として戴冠したミンダウガスだが、民衆の中に溶け込めず、1261年にリヴォニア騎士団との同盟を解消したことにより、棄教した。2年後の1263年甥のトレニオタ、また妻の兄弟の夫ダウマンタスによって暗殺された。トレニオタは、ドイツ騎士団とリヴォニア騎士団への対抗心をあらわにする民衆の支持を取り付けていた。ミンダウガスがカトリックを受容する一方、トレニオタは異教徒でありつづける。ジュマイティアの総督として、ローマ教皇の同盟破棄と共に、ドイツ騎士団との戦いを再開させた。1260年から1261年のドゥルベの戦いで、指揮をとっている。
イパチエフ年代記（ルーシーの出来事を書いた歴史書物の一つ）によると、ミンダウガスは妻の死を受けて、ナリシアの公であった義妹のダウマンタスの妻モルタを強奪したという。ダウマンタスは、権力の座を狙うトレニオタと手を組み、ミンダウガス暗殺を企てたというのである。新たにトレニオタが大公としてトップにつく。叔父を殺害して、国の指導者に登りつめたトレニオタだが、権勢欲を持つ諸侯との争いは絶えず、地位は不安定なままだった。真っ先に大公のポジションを狙うポラツク公タウトヴィラスとの戦いに挑む。首謀者本人を討ち取ることに成功したものの、1264年にミンダウガスの支持者に暗殺された。大公の座についてわずか1年の悲劇だった。
写真＝現ベラルーシ共和国北部のポラツクにある冬の聖ソフィア大聖堂 掲載元https:/
後を引き継いだのはミンダウガスの息子ヴァイシュウィルガスだった。彼は、正教会で洗礼を受けている。聖者として歩むべく、自分の土地や財産をハーリチ・ヴォルイニ公国の統治者ダニーロの息子ロマンに譲った。修道士として巡礼のたびに出ている際、父の暗殺が起こっていた。彼は、国の統治者として歩む決断を下し、姉妹の夫であるシュヴァルナス（ガリシア西部の公）と手を結び、リトアニア大公になる。国を脅かす反対勢力を潰すことから初め、ナリシアとデルトゥバの2つの町を中心に兵を差し向けた。ナリシアの公はあの父の暗殺の首謀者の一人ダウマンタスだった。ダウマンタスは、プスコフ（現ロシア連邦の都市）に逃れ、新たに公として即位する。1268年にラコヴォルの戦いでドイツ騎士団を破り、エストニアまで領土を広げた。14世紀までプスコフは公国の首都として栄え、ハンザ同盟に加入した。1510年にモスクワ大公国に組み込まれ、国として消滅する。
写真＝プスコフのクレムリン 掲載元 駐日ロシア連邦大使館 on Twitterより 2019年2月24日付 https:/
さて、リトアニア大公ヴァイシュウィルガスは、ドイツ騎士団とリヴォニア騎士団と友好関係を結び、国を安定させる、彼は、権力の座についてわずか3年後の1267年に修道院生活に戻ることに決め、大公の位を義兄弟のシュバルナスに譲った。
聖者としての生活に戻ったものの、土地や財産を与えたダニーロの息子で、シュヴァルナスの兄弟であるレーヴ・ダヌィーロヴィチに暗殺された。レーブは、現在町ごと世界遺産になっている西部リヴィフの名の由来となった張本人である。
写真=
リヴォニア騎士団 ウィキペディア
キエフ・ルーシ国のように、リトアニア大公国の中でも政略結婚などを通して、それぞれの公国が同盟関係を結び、権力の座を巡って争う。後継者や遺産を巡る戦い、または宗教上の問題から一つの国家のようにまとまらない。14世紀にゲディミナスの時代に国家としての基盤が出来上がる。彼は、ドイツ騎士団との争いに決着をつけようと、1322年末にローマ教皇ヨハネス22世に手紙を送り、迫害されている現状を訴える。「フランシスコ修道会やドミニコ修道会がリトアニア国内で広まり、神のお告げを聞いている」と書き記した。1325年1月25日には、ハンザ都市に対して、貴族や騎士と言った身分階級や職人の招聘を提供する手紙を送った。1323年10月にリガの大司教、デルプトの司教、デンマーク王、ドミニコ会とフランチェスコ会、ドイツ騎士団総長がヴィリニュスに招待する。ゲディミナスは、教皇の特使が来たら直ぐに洗礼を受けると誓った。ヴィリュニスでの署名は、キリスト教会全体では、単にゲディミナスと代表団の特権の確約と名付けられている。ドイツ騎士団は、改宗とは名ばかりと非難した。現に国民の半数は異教徒だった。ゲディミナスの真の目的は、ドイツ騎士団の侵攻を食い止めることに限る。正教徒が中心のルーシー国家や異教徒サモギティア、カトリックのマゾフシェと友好関係を築いた。1325年にドイツ騎士団が、宣戦布告してくると、ポーランド王ヤン・カジミェシュ3世に娘アドルナを嫁がせて、和解に持っていった。正教徒やカトリックの間柄を上手く取り結び、キリスト教の洗礼を受けながら、異教徒たちとも協力関係を築いた。1341年に死去している。
ゲディミナス大公が亡くなった後、国はキリスト教が広まり、勢力を一気に伸ばす。西暦1362年、大公アルギルダスが率いるリトアニア軍は、9月24日から12月25日にかけて、シニュハ川（現ウクライナ）の戦いで、キプチャク汗国軍を下した。戦闘において完全無欠の強さを誇ったキプチャク汗国との戦で、東ヨーロッパ勢として始めての勝利だった。領土拡張を進め、ウクライナ内で西部ハーリチ地方を除く9割の領土を、ベラルーシ全域を含め、キエフ・ルーシ国の半分以上まで版図を広げた。わずか1世紀足らずの領土拡大は、世界でも例を見ない成果だった。
写真＝ゲディミナス家の家計図 掲載元 ロシア学事初 http://
写真＝リトアニアの首都ヴィリニュスの町並み 掲載元 iStock
リトアニアの急拡張の要因は、いくつかある。一つはドイツ騎士団との戦いで力をつけたことだ。13世紀にポーランドの公が、東側のモンゴル人の侵入を阻止するべく、十字軍遠征部隊、いわゆる騎士団をバルト海沿岸の土地を与えたことに始まる。リトアニア人は、先史時代からバルト海に広く住んでいたものの、カトリックでも正教でもなかった。ドイツ騎士団は、リトアニアの主大公がキリスト教に改宗しても、信仰心がないと批判したのである。地理的状ドイツ騎士団と、分離したリヴォニア騎士団に挟まれ、圧力を受け続けた。
もう一つ勢力急拡大の要因は、新しい文化への溶け込みが早かったことにある。リトアニア人の貴族は、正教に改宗し、ルーシー独自のルテニア語を公用語として採用した。後世のウクライナの歴史家は、キエフ・ルーシの文化をリトアニア人が受け継いだと主張している。
リトアニアは、東ヨーロッパ屈指の広さを持つ国へと成長していく中、ポーランドも互角に渡り合う。ルーシー時代に広まった正教に改宗したリトアニアに対し、ポーランドは根っからのカトリック国家だった。南方のボヘミアやモラヴィア王国によって、南方政策を阻まれ、領土は小さいままだった。14世紀のカジミエシ三世（大王、在位1333年から1370年）の時代に、ハーリチ・ヴォルイニ公国の公位継承問題に干渉し、リトアニア大公国をけん制した。ウクライナは領土の9割をリトアニアに持っていかれる中、西部のハーリチ地方はポーランドに支配された。近代都市リヴィフが属するハーリチ地方は、第2次世界大戦までポーランド領と化した。なお1771年、1793年と1795年の3度に渡るポーランド分割の際、ハーリチ地方はオーストリア帝国に編入している。
写真＝14世紀のリトアニア大公国の図 掲載元 毎日新聞 2020年12月9日付け記事より https:/
ポーランド・リトアニアは、ユダヤ人保護政策にも貢献していた。キエフ・ルーシ時代には、ユダヤ人は塩の専売をする「ユダヤ人の門」と呼ばれる商店が栄えていた。ポーランド・リトアニア時代、ユダヤ人は巨万の富を手にし、共和国の経済を磐石なものにする。1264年にボレスワフ敬虔王（在位1243年から79年）は、ユダヤ人を保護するカリシュ（ポーランドの都市名）の規約を出す。ユダヤ人には納税と引き換えに、商売の自由を認めたのである。ユダヤ人自治区を制定し、他民族の侵攻を厳しく取り締まった。14世紀のカジミエシ大王は、ユダヤ人の自治を大幅に拡大する。土地と家畜を所有することを許し、自由な商売を認めたのである。迫害を受けていたアルメニア人やドイツ人などの移民を受け入れ、経済を活性化させる。13世紀から15世紀に、神聖ローマ帝国内で迫害を受けていたユダヤ人は、ポーランドでは自治区まで与えられ、手工業者や商人になる。都市郊外では、事務的手腕を見込まれ、領主から荘園管理人を任されることにより、余剰資金を高い金利で貸し出し、富を蓄えた。下層労働者と地方の主との間にユダヤ人が挟まった。経済が悪化し、平民の暮らしが苦しくなると、荘園管理の傍ら高利貸し業を営むユダヤ人は潤う一方である。貴族を除き、一般市民からはますます憎まれるようになった。1919年から1920年にかけて行われたポーランド・ウクライナ 対 ソヴィエト戦争では、ユダヤ人の大量虐殺（ポグロム）が起こった。
写真＝ゲディミナス城 世界遺産オンラインガイドより https:/
ユダヤ人は、異教徒として、ポーランド・リトアニア共和国内で蔑視されてきた。歴代のポーランド王やリトアニア大公は、キリスト教を信仰しても、税収を得るために、ユダヤ人の商売を概ね認めていた。民衆が、ユダヤ人の商売を妨害することを厳しく禁じたのである。西暦1500年ごろには、約18000人がポーランドに、リトアニアには6000人のユダヤ人が住んでいたと推定される。全人口のわずか１%弱にとどまっていたものの、年々増加の一途を辿った。1648年には、全体の人口比５%になる推定50万人といわれている。ユダヤ人は20世紀まで旧ポーランド・リトアニア領に残り続けた。第2次世界大戦には、ナチス・ドイツにより大量虐殺の被害にあう。イギリス委任統治領として1920年に建国されたユダヤ人国家イスラエルでは、常にアラブ諸国に囲まれ、緊張状態が続いている。イスラエルとアラブ人が暮らすパレスチナの間での紛争は解決していない。今後ユダヤ人は、国際社会でどのような道を歩むのか、21世紀の今なお明らかになっていない。
第2章へと続く。
■野田聖子氏、総裁選立候補に意欲 周囲に伝える
(朝日新聞デジタル - 09月03日 19:21)
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前日の9月2日(木）、首都圏は一日を通して雨が降り続いた。最高気温は20度、最高湿度は85％となった。真夏の暑さから開放され、幾分涼しさを感じるようになった。本日3日、午前11時時点で気温は20度、湿度は80％台である。昨日の夜と比べると、雨は小康状態となった。前線の停滞により、日本列島はしばらく雨雲に覆われる見通しである。
最新ニュースによると、9月17日に公示され、29日に投開票を迎える予定の自民党総裁選挙に、現職の菅義偉氏が、出馬しない意向を示した。任期満了を持って自民党総裁と共に内閣総理大臣の職を辞することになる。ワクチン接種担当大臣の河野太郎氏、野田聖子氏も立候補する意向を示した。既に岸田元外務大臣は、出馬を表明している。自民党内の総裁選挙を巡り、各派閥で駆け引きが続く。
目次
・9月3日にアフニスタンへ飛び立った自衛隊2機のうち1機が帰国
・9月2日（木）新型ウィルス関連情報
・独立30周年ウクライナの歴史（2）ポーランドとリトアニアの支配下での出来事（前編）
��9月3日にアフガニスタンへ飛びたった自衛隊2機のうち1機が帰国。
9月3日、午前9時頃、自衛隊の埼玉県入間基地に、アフガニスタンへと飛び立った2機のうち1機が、無事に着陸した。8月23日（月）に、自衛隊Ｃ２とＣ１３０輸送機２機が、アフガニスタンに残る日本人を救出するため出発したことから始まる。8月25日から27日に、パキスタンの首都イスラマバートとアフガンの首都カブールの空港を複数回往復して、安全を確保しながら、日本人と現地人の救出に努めた。26日に国際空港にて自爆テロが起こったことにより、隊員の安全を確保しながら任務に当たることが難しくなった。日本人１人とアフガン人14人を退避させた段階で、岸信夫防衛大臣の命令により、引き上げた。現地には、救出予定だった日本大使館の職員と家族を含め500人が取り残されたままだった。8月30日に米軍の完全撤退に伴い、自衛隊の任務にも明らかに支障が出ていた。残るC130機は、パキスタンのイスラマバートの空港から日本に戻る準備を進めている。アフガン情勢は、タリバン復権と共にISが加わり、ますます混迷を極めている。20年間駐留したアメリカ軍が不在になった今、先行きが読みずらくなった。
�◆�9月2日（木）と3日（金）新型ウィルス情報
新型ウィルスの方は、感染第5波のピークを過ぎつつある。9月2日に日本全国で確認された新規陽性者数は1万8228人、感染による死亡者は65人と発表された。厚生労働省によると、重症患者数は前日66人増となる2158人となった。この日で国内の累計感染者数は150万人を突破した。
日本全国では、首都圏を始め新規陽性者数は一時期よりは下がっているとはいえ、大阪府に関しては8月末にきてピークを迎えている。大阪の「第5波」の特徴は、若者の感染者の増加だ。8月31日までの7日間では、18歳以下の感染者が3585人、その前の7日間（18〜24日）の2560人と比べると大幅に増加していることが分かる。全体の陽性者に占める18歳以下の人の割合も16%から20・6%まで上がった。府立学校の休校数も、7月の延べ37校から8月は143校に急増した。
写真 掲載元 9月2日の関西地方の新型コロナの感染者数を示したグラフ Yahoo https:/
最新9月3日、日本全国で確認された新型ウィルスの新規陽性者数は1万6783人、感染による死者は63人、重症患者数は前日68人増となる2221人と明らかになった。
参考 NHK NEWS WEB https:/
日本政府は、病床の逼迫により、自宅療養者が急増している事態から、9月12日の期限をもって、緊急事態宣言の解除は難しいとみている。感染者数が高止まりしている中で、出口戦略を立てることさえできない。ワクチン接種を勧めると共に、治療薬の開発も急がれている。新たな治療薬として、2020年11月9日に米国FDAにより緊急使用許可が出た「抗体カクテル療法」が注目されている。東京都では、都立・公社病院でコロナ患者102人に抗体カクテル療法を実施した。82人が退院、もしくは熱が下がるなどして症状が回復したという。投与された患者は重症化リスクの高い糖尿病を含め基礎疾患がある人が多くを占めていた。重症化や死亡した例は確認されなかった。
東京都では、8月31日に日本国内で変異したとされる新たなデルタ株が見つかっている。専門家でも感染力については分からないという。収束が見えない中、新たに病床を確保する必要に迫られている。コロナとの戦いは、日に日に厳しさを増している。
独立30周年ウクライナの歴史（2）ポーランドとリトアニアの支配下での出来事（前編）
今回、独立30周年を迎えたウクライナの歴史の2回目である。2回にわたって、ウクライナを統治した14世紀のポーランドとリトアニアを紹介する。
前回の関連日記 独立30周年ウクライナの歴史(1)キエフ・ルーシについて 緊急事態宣言下でパラリンピックが開幕 https:/
ウクライナは、先日8月24日に、首都キエフにて、節目の独立30周年を迎えるパレードが無事に行われた。コロナ禍にも関わらず、マスク未着用の群衆の前で、兵隊達が一列となって、行進をしていた。国家元首のウォロディミル・ゼレンスキー大統領もマスクをつけず、演説を行ったのである。同国では、2021年8月29日の段階で、一日当たり平均1683人の新規陽性者が出ていた。累計感染者数は228万8371人、死者数5万3833人である。参考ページ https:/
写真＝独立30周年式典に参加するゼレンスキー大統領 掲載元 https:/
ウクライナは、感染対策と共に、現在隣接する旧宗主国のロシアとのクリミア問題を抱えている。2014年にロシアのクリミア併合以来、両国の外交関係は完全に途絶えた。将来的にＥＵ入りを目指すウクライナのゼレンスキー大統領は、現地時間9月1日に始めてアメリカのバイデン大統領と会談を行った。アメリカは、ロシアを睨み、ウクライナに日本円換算で66億規模の軍事支援を行う意向を明らかにした。ロシアのクリミア併合を認めず、ウクライナと今後も軍事的に協力関係を築くと約束した。
ウクライナの国民の多くはＥＵと共にNATO（北大西洋条約機構）の加盟を望んでいる。巨大な穀倉地帯を抱える同国は、常に大国の干渉を受け続けた過去を持つ。今なおロシアと軋轢を抱えている。
目次
・第1章 東ヨーロッパで勢力を伸ばすリトアニア
・第2章 リトアニアとポーランドが共和国として統一する。
・第3章 選挙王政が始まり、四半世紀に及ぶリヴォニア戦争が終結する
・第4章 ウクライナの豊かな穀倉地帯の秘密
必 今回第1章のみ掲載
第1章 東ヨーロッパで勢力を伸ばすリトアニア
ウクライナ共和国は、2020年時点で人口4140万人、首都キエフは2017年時点で288万人である。東ヨーロッパ最古の首都であり、スラブ圏の東方教会発祥の地として知られる。
写真＝キエフの町並み 掲載元 今すぐどっかへhttps:/
9世紀から13世紀に10から15の公国のゆるやかな連合となる「キエフ・ルーシ国」が、東ヨーロッパにおいて交易の中心地として栄えた。13世紀にバトゥが率いるモンゴル軍の侵攻にあい、それぞれの公国の主は、正教を保護されながら、服従を強いられた。1349年に、現在のウクライナ共和国の9割の人口が集中する土地を抱えるハーリチ・ヴォルイニ連合公国が消滅する。ハーリチ公国はポーランドに、ヴォルイニ公国はリトアニア領となった。
ウクライナは、ポーランドとリトアニアの支配下において、民族運動も制圧された。モンゴル侵攻以前、現在のロシア、ウクライナ、ベラルーシは、一つの国家だった。14世紀から17世紀の間、3つの民族に分かれ、それぞれ独自の言語を持つようになる。
中でもリトアニアの急拡張は、キエフ・ルーシを支配したモンゴルさえ脅かした。14世紀リトアニア大公ゲディミナス（在位1316年から1341年）が、東南進出を果たしたことに始まる。先代のミンダウガス公（在位1240年?から1263）の時代に始めて統一されたリトアニア大公国は、カトリックを信仰するドイツ騎士団との戦闘を続けていた。ミンダウガス公の時代は領土拡張を阻まれたものの、後のゲディミナスの時代はウクライナの北部とベラルーシの全域を治める。首都をヴィリニュスに置き、自らルーシーの王と名乗った。ロシア帝国やポーランドの貴族は、ゲディミナス家から派生している。
写真=14世紀のドイツ騎士団の紋章 ウィキペディアより
ミンダウガスは、年代記においても出生について詳しく書かれていない。西暦1253年に唯一のリトアニア王として戴冠している。西暦1250年ないし1251年にカトリック教会の洗礼を受けたことにより、リヴォニア騎士団と同盟関係を結んだ。彼が国王として勤めた1253年から亡くなる1263年9月までの10年間、親類やその他の公との争いは起こっていた。
写真＝現ラトビア西部からエストニア南部にあたるリヴォニア騎士団領の位置
掲載元 バルト3国の歴史（ラトビアの歴史）よりhttp://
写真＝ラトビアの都市を示した地図 旅行のとも Zen Tech ツェーシスの地図
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リトアニアの西部地方ジェマイティアは、ミンダウガス＝リヴォニア騎士団の統治により、市民からの激しい抵抗を受けている。ドイツ騎士団領と接する土地に当たり、戦闘に巻き込まれた経緯がある。ヨーロッパでも布教活動が最も遅れていた。1345年から1382年までの37年間に渡り、プロイセンから70回、リヴォニアから30回も攻撃を受けている。1410年のタンネンベルクの戦いで、ポーランド王国とリトアニア大公国の連合軍が、ドイツ騎士団との戦いに勝利したことにより、ようやく平和が戻ってきた。15世紀から18世紀までジェマイティアは、リトアニア大公国の一つの公国として認められている。
写真＝ハールィチ・ヴォルイニ大公国の国旗・国章 Wikiwand https:/
唯一の王として戴冠したミンダウガスだが、民衆の中に溶け込めず、1261年にリヴォニア騎士団との同盟を解消したことにより、棄教した。2年後の1263年甥のトレニオタ、また妻の兄弟の夫ダウマンタスによって暗殺された。トレニオタは、ドイツ騎士団とリヴォニア騎士団への対抗心をあらわにする民衆の支持を取り付けていた。ミンダウガスがカトリックを受容する一方、トレニオタは異教徒でありつづける。ジュマイティアの総督として、ローマ教皇の同盟破棄と共に、ドイツ騎士団との戦いを再開させた。1260年から1261年のドゥルベの戦いで、指揮をとっている。
イパチエフ年代記（ルーシーの出来事を書いた歴史書物の一つ）によると、ミンダウガスは妻の死を受けて、ナリシアの公であった義妹のダウマンタスの妻モルタを強奪したという。ダウマンタスは、権力の座を狙うトレニオタと手を組み、ミンダウガス暗殺を企てたというのである。新たにトレニオタが大公としてトップにつく。叔父を殺害して、国の指導者に登りつめたトレニオタだが、権勢欲を持つ諸侯との争いは絶えず、地位は不安定なままだった。真っ先に大公のポジションを狙うポラツク公タウトヴィラスとの戦いに挑む。首謀者本人を討ち取ることに成功したものの、1264年にミンダウガスの支持者に暗殺された。大公の座についてわずか1年の悲劇だった。
写真＝現ベラルーシ共和国北部のポラツクにある冬の聖ソフィア大聖堂 掲載元https:/
後を引き継いだのはミンダウガスの息子ヴァイシュウィルガスだった。彼は、正教会で洗礼を受けている。聖者として歩むべく、自分の土地や財産をハーリチ・ヴォルイニ公国の統治者ダニーロの息子ロマンに譲った。修道士として巡礼のたびに出ている際、父の暗殺が起こっていた。彼は、国の統治者として歩む決断を下し、姉妹の夫であるシュヴァルナス（ガリシア西部の公）と手を結び、リトアニア大公になる。国を脅かす反対勢力を潰すことから初め、ナリシアとデルトゥバの2つの町を中心に兵を差し向けた。ナリシアの公はあの父の暗殺の首謀者の一人ダウマンタスだった。ダウマンタスは、プスコフ（現ロシア連邦の都市）に逃れ、新たに公として即位する。1268年にラコヴォルの戦いでドイツ騎士団を破り、エストニアまで領土を広げた。14世紀までプスコフは公国の首都として栄え、ハンザ同盟に加入した。1510年にモスクワ大公国に組み込まれ、国として消滅する。
写真＝プスコフのクレムリン 掲載元 駐日ロシア連邦大使館 on Twitterより 2019年2月24日付 https:/
さて、リトアニア大公ヴァイシュウィルガスは、ドイツ騎士団とリヴォニア騎士団と友好関係を結び、国を安定させる、彼は、権力の座についてわずか3年後の1267年に修道院生活に戻ることに決め、大公の位を義兄弟のシュバルナスに譲った。
聖者としての生活に戻ったものの、土地や財産を与えたダニーロの息子で、シュヴァルナスの兄弟であるレーヴ・ダヌィーロヴィチに暗殺された。レーブは、現在町ごと世界遺産になっている西部リヴィフの名の由来となった張本人である。
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リヴォニア騎士団 ウィキペディア
キエフ・ルーシ国のように、リトアニア大公国の中でも政略結婚などを通して、それぞれの公国が同盟関係を結び、権力の座を巡って争う。後継者や遺産を巡る戦い、または宗教上の問題から一つの国家のようにまとまらない。14世紀にゲディミナスの時代に国家としての基盤が出来上がる。彼は、ドイツ騎士団との争いに決着をつけようと、1322年末にローマ教皇ヨハネス22世に手紙を送り、迫害されている現状を訴える。「フランシスコ修道会やドミニコ修道会がリトアニア国内で広まり、神のお告げを聞いている」と書き記した。1325年1月25日には、ハンザ都市に対して、貴族や騎士と言った身分階級や職人の招聘を提供する手紙を送った。1323年10月にリガの大司教、デルプトの司教、デンマーク王、ドミニコ会とフランチェスコ会、ドイツ騎士団総長がヴィリニュスに招待する。ゲディミナスは、教皇の特使が来たら直ぐに洗礼を受けると誓った。ヴィリュニスでの署名は、キリスト教会全体では、単にゲディミナスと代表団の特権の確約と名付けられている。ドイツ騎士団は、改宗とは名ばかりと非難した。現に国民の半数は異教徒だった。ゲディミナスの真の目的は、ドイツ騎士団の侵攻を食い止めることに限る。正教徒が中心のルーシー国家や異教徒サモギティア、カトリックのマゾフシェと友好関係を築いた。1325年にドイツ騎士団が、宣戦布告してくると、ポーランド王ヤン・カジミェシュ3世に娘アドルナを嫁がせて、和解に持っていった。正教徒やカトリックの間柄を上手く取り結び、キリスト教の洗礼を受けながら、異教徒たちとも協力関係を築いた。1341年に死去している。
ゲディミナス大公が亡くなった後、国はキリスト教が広まり、勢力を一気に伸ばす。西暦1362年、大公アルギルダスが率いるリトアニア軍は、9月24日から12月25日にかけて、シニュハ川（現ウクライナ）の戦いで、キプチャク汗国軍を下した。戦闘において完全無欠の強さを誇ったキプチャク汗国との戦で、東ヨーロッパ勢として始めての勝利だった。領土拡張を進め、ウクライナ内で西部ハーリチ地方を除く9割の領土を、ベラルーシ全域を含め、キエフ・ルーシ国の半分以上まで版図を広げた。わずか1世紀足らずの領土拡大は、世界でも例を見ない成果だった。
写真＝ゲディミナス家の家計図 掲載元 ロシア学事初 http://
写真＝リトアニアの首都ヴィリニュスの町並み 掲載元 iStock
リトアニアの急拡張の要因は、いくつかある。一つはドイツ騎士団との戦いで力をつけたことだ。13世紀にポーランドの公が、東側のモンゴル人の侵入を阻止するべく、十字軍遠征部隊、いわゆる騎士団をバルト海沿岸の土地を与えたことに始まる。リトアニア人は、先史時代からバルト海に広く住んでいたものの、カトリックでも正教でもなかった。ドイツ騎士団は、リトアニアの主大公がキリスト教に改宗しても、信仰心がないと批判したのである。地理的状ドイツ騎士団と、分離したリヴォニア騎士団に挟まれ、圧力を受け続けた。
もう一つ勢力急拡大の要因は、新しい文化への溶け込みが早かったことにある。リトアニア人の貴族は、正教に改宗し、ルーシー独自のルテニア語を公用語として採用した。後世のウクライナの歴史家は、キエフ・ルーシの文化をリトアニア人が受け継いだと主張している。
リトアニアは、東ヨーロッパ屈指の広さを持つ国へと成長していく中、ポーランドも互角に渡り合う。ルーシー時代に広まった正教に改宗したリトアニアに対し、ポーランドは根っからのカトリック国家だった。南方のボヘミアやモラヴィア王国によって、南方政策を阻まれ、領土は小さいままだった。14世紀のカジミエシ三世（大王、在位1333年から1370年）の時代に、ハーリチ・ヴォルイニ公国の公位継承問題に干渉し、リトアニア大公国をけん制した。ウクライナは領土の9割をリトアニアに持っていかれる中、西部のハーリチ地方はポーランドに支配された。近代都市リヴィフが属するハーリチ地方は、第2次世界大戦までポーランド領と化した。なお1771年、1793年と1795年の3度に渡るポーランド分割の際、ハーリチ地方はオーストリア帝国に編入している。
写真＝14世紀のリトアニア大公国の図 掲載元 毎日新聞 2020年12月9日付け記事より https:/
ポーランド・リトアニアは、ユダヤ人保護政策にも貢献していた。キエフ・ルーシ時代には、ユダヤ人は塩の専売をする「ユダヤ人の門」と呼ばれる商店が栄えていた。ポーランド・リトアニア時代、ユダヤ人は巨万の富を手にし、共和国の経済を磐石なものにする。1264年にボレスワフ敬虔王（在位1243年から79年）は、ユダヤ人を保護するカリシュ（ポーランドの都市名）の規約を出す。ユダヤ人には納税と引き換えに、商売の自由を認めたのである。ユダヤ人自治区を制定し、他民族の侵攻を厳しく取り締まった。14世紀のカジミエシ大王は、ユダヤ人の自治を大幅に拡大する。土地と家畜を所有することを許し、自由な商売を認めたのである。迫害を受けていたアルメニア人やドイツ人などの移民を受け入れ、経済を活性化させる。13世紀から15世紀に、神聖ローマ帝国内で迫害を受けていたユダヤ人は、ポーランドでは自治区まで与えられ、手工業者や商人になる。都市郊外では、事務的手腕を見込まれ、領主から荘園管理人を任されることにより、余剰資金を高い金利で貸し出し、富を蓄えた。下層労働者と地方の主との間にユダヤ人が挟まった。経済が悪化し、平民の暮らしが苦しくなると、荘園管理の傍ら高利貸し業を営むユダヤ人は潤う一方である。貴族を除き、一般市民からはますます憎まれるようになった。1919年から1920年にかけて行われたポーランド・ウクライナ 対 ソヴィエト戦争では、ユダヤ人の大量虐殺（ポグロム）が起こった。
写真＝ゲディミナス城 世界遺産オンラインガイドより https:/
ユダヤ人は、異教徒として、ポーランド・リトアニア共和国内で蔑視されてきた。歴代のポーランド王やリトアニア大公は、キリスト教を信仰しても、税収を得るために、ユダヤ人の商売を概ね認めていた。民衆が、ユダヤ人の商売を妨害することを厳しく禁じたのである。西暦1500年ごろには、約18000人がポーランドに、リトアニアには6000人のユダヤ人が住んでいたと推定される。全人口のわずか１%弱にとどまっていたものの、年々増加の一途を辿った。1648年には、全体の人口比５%になる推定50万人といわれている。ユダヤ人は20世紀まで旧ポーランド・リトアニア領に残り続けた。第2次世界大戦には、ナチス・ドイツにより大量虐殺の被害にあう。イギリス委任統治領として1920年に建国されたユダヤ人国家イスラエルでは、常にアラブ諸国に囲まれ、緊張状態が続いている。イスラエルとアラブ人が暮らすパレスチナの間での紛争は解決していない。今後ユダヤ人は、国際社会でどのような道を歩むのか、21世紀の今なお明らかになっていない。
第2章へと続く。
■野田聖子氏、総裁選立候補に意欲 周囲に伝える
(朝日新聞デジタル - 09月03日 19:21)
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