本当に本当に久しぶりの、「歌劇」。いやあ、オペラって、本当にいいものですね。
大津 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール大ホール
沼尻竜典オペラセレクション
ビゼー:歌劇『カルメン』
全3幕・フランス語上演・日本語字幕付
指揮:沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:マルコ・フィリベック
合唱指揮:冨平恭平
舞台監督:高橋尚史
カルメン 山下牧子
ホセ 村上敏明
エスカミーリョ 須藤慎吾
ミカエラ 石橋栄実
スニガ 大塚博章
モラレス 星野 淳
ダンカイロ 成田博之
レメンダード 升島唯博
フラスキータ 平井香織
メルセデス 但馬由香
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、新国立劇場合唱団
児童合唱:大津児童合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場との共同制作による、いわゆる「新演出」オペラの新制作。舞台は、現代都市(おそらくは東京)、カルメンはロック歌手と思しき歌姫、ホセは警察官、エスカミーリョは闘牛士の恰好をした芸能スター、といった具合に読み替えられ、舞台上には鉄パイプでくみ上げられたビル、もしくはコンサート・イベント会場が現出する。そこで展開する、テレビドラマさながらの愛憎劇。
なかなかこの演出が秀逸で、そこから受ける印象は、「オペラ」というより、ブロードウェイミュージカルの雰囲気。そんなもので、本当にこれまで見たことも聴いたこともない新鮮な「劇場体験」ができて、本当に楽しかったです。
家内のこすもすも言っていたのだが、なんといっても石橋さんの演じるミカエラの魅力が抜群。前半のホセとの二重唱など、その清廉さ、切なさに涙、涙。そのあとのドラマのドロドロさとのコントラストが鮮烈で、ここが一番だったかもしれないです。
山下さん演じるカルメンは、劇が進むにつれてその「悪さ」がどんどん加速していくのが、なんともいえない魅力を放つ。それと比例するかのように、村上さん演じるホセがどんどん情けなくなっていくのも、なんともいえなかったですねえ。これも演出のなせる業、なんでしょう。こすもすは、「なんでオペラのテノールって、ろくでもない男ばっかりなのよ」とぷんぷん丸でしたが。
音楽はというと、東京フィルが抜群。ここぞというところで艶やかに朗々と響き渡るストリングサウンドなど、鳥肌ものでしたね。完全にこの歌劇を自家薬籠中の物にしている、という感じで、文句のつけようがありません。残念ながら、びわ湖座付きの京響より、一枚も二枚も上手ですな。まあ、オペラ公演数からして全然違うので、比較するのも余計なお世話かもしれませんが。
また、本当に本当に久しぶりにみる、衣装を来た合唱陣の華やかさ、響きわたる合唱の素晴らしさ!大津児童合唱団の声のなんという素敵なこと!
これが「歌劇」だよねええええ。いやあ、良かった。本当に良かった。
こすもすと何度も何度もうなづきあいました。びわ湖ホール、こんなに素敵な「オペラハウス」がここにあること、そこに気軽に来ることのできる幸せ!
沼尻さん、あなたは僕たち「関西の聴衆」にとっての、最高の「カペルマイスター」です。心からの感謝と、無限の拍手を。
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