<不読論:読書のパラドックス>
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新聞の書籍の広告欄に、 驚異のロングセラー『思考の整理学』が掲載されていました(下記URL参照)。
https://www.atpress.ne.jp/news/150192
現時点での販売数は258万部になるそうで、特に東大生、京大生の間ではベストセラーとなっているようです。
この本のキャッチフレーズが「自分の頭で考え、自力で飛翔するための思考法」。
特に先の見えない今、AIの威力と脅威が語られる今こそこういう「思考法」が必要だというわけです。
ただ、実はこれには大きなパラドックスがあります。
すなわち「どうしたら自分の頭で考えることができるかを、自分の頭で考えずに、読書で学ぶ」という変なお話というわけです。
世の中では概ね「読書は大切だ」と思われていますが、「読書は自分で考える力を損ねる」という考え方も古くからあります。
例えば、アインシュタインは次のように述べています。
「本をたくさん読みすぎて、自分自身の脳を使っていない人は、怠惰な思考習慣に陥る。」
また、フランスの詩人で早朝の思索家だったヴァレリーは次のように述べています。
「本を読む時間は三級の時間。それは時間をつぶすのに役立つ。第一級の時間はつぶす必要はない。それは逆にあらゆる書物をつぶす。そして何冊かの書物を生み出す。」
ひょっとしたら今必要なのは、「読書」でなく本を読まない「不読の読」なのかも知れません。
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