いま問題になっている日本学術会議会員候補の任命拒否問題で菅首相が一部学者の任命拒否の根拠に挙げたのが、憲法15条の前半に謳われている公務員の地位に関わる条項である。
そこには、こう書かれている。
憲法第15条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
菅はこれを盾に、日本学術会議の人事に関し、内閣府が2018年11月に作成した文書「日本学術会議法第17条による推薦と内閣総理大臣による会員の任命との関係について」で、以下のような憲法解釈を披瀝している。
「憲法15条第1項の規定で明らかにされている公務員の終局的任命権が国民にあるという国民主権の原理からすれば、任命権者の首相が、会員の任命について国民および国会に対して責任を負えるものでなければならない。首相に学術会議の推薦通り会員を任命すべき義務があるとまでは言えない。」
菅は、あろうことか「国民主権」を根拠に一部学者の学術会議会員候補の任命を許否したのである。
菅の論法でいえば、主権者である我々国民が6名の学術会議会員候補の任命を許否したというのである。
なんとも恐れ入り屋の鬼子母神である!
後付けの謗りを免れない相当なこじつけ解釈である。
今回はこの菅の横暴きわまりない学術会議会員候補任命許否の話ではないが、それと同等に重要な問題である。
続けよう。
この憲法15条は、続いて以下のようにも謳っている。
「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」
当然と言えば当然な話である。
この憲法の条文について深く考えさせられる投書が昨日の東京新聞「発言」欄に掲載された。
短いので、全文引用する。
以下
不公平だった G0T0の旅
派遣社員 東 修二(東京都品川区)
「Go To トラベル」事業を利用して旅行しました。旅行会社のサイトで新幹線と宿泊がセットになった旅行プランを予約したところ、その代金が割引に。現地で使える電子クーポンと合わせて実質的に半額で済みました。
そのお得さに感動すると同時に、心苦しさを感じました。この事業の恩恵を受けられるのはごく一部の人たちだと感じたからです。コロナ禍によって生活に困窮している人や、闘病している人もいます。
スマートフォンを使えない人は、電子クーポンを利用できません。現地で利用できたところは、大手の小売店や飲食店ばかりで、個人経営の店では使えませんでした。この事業の不公平 さを使ってみて感じました。
以上、引用終わり。
この人は政府が鳴り物入りで推進している「Go To トラベル」事業を利用して旅行したが、その不公平さを感じ後味の悪さを覚えたようだ。
そしてこう書いている。
「この事業の恩恵を受けられるのはごく一部の人たちだと感じたからです。コロナ禍によって生活に困窮している人や、闘病している人もいます。
スマートフォンを使えない人は、電子クーポンを利用できません。」
このように、ちょっと想像力を働かせればこの「事業」がどれだけ不公平であるか普通の市民の感覚を持っていれば理解出来るはずである。
しかし、世間では菅の施策に踊らされて多くの国民が浮き足だって街や観光地に我先にと繰り出している。
しかし、その帰結が現下のコロナの第3波の襲来である。
この「Go To トラベル事業」とやらは、明らかに政府の失策であり、それ以上に憲法違反の施策なのである。
なぜなら公務員たる為政者は「全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者で」あってはならないにも関わらず、この菅が鳴り物入りで推進している事業は、この投稿者のいう通り、コロナ禍によって生活に困窮して旅行にいくお金さえない人や、旅行に行きたくても行けない闘病している人や、多忙な人、さらにはスマートフォンを使えない「デジタル弱者」を置き去りにして、まさに「一部の『健康な強者』のみ」に「奉仕」する施策であることは明らかなのだ。
よって、私たち良識持つ市民のスローガンはこうである。
「『Go To トラベル事業』は憲法違反だ!政府の違憲事業推進政策に踊らされるな!」
全国民にあまねく一律に支給した、定額給付金ならばいざ知らず、こんな不公平な事業に公金である我らの血税を公僕の親玉である首相が旗振り役を買ってでて推進するなど言語道断である。
私たちはこの不公平極まりない政府の施策に断固として反対しなければなるまい。
これは、最近やっとスマートホンを手にして、その使い方にあたふたとしている「デジタル弱者」の負け犬の遠吠えでは決してないのである。
どーよっ!
どーなのよっ?
※画像はくだんの投稿
ログインしてコメントを確認・投稿する