Irreplaceable camera

時は・・・、20XX年の近未来、

Irreplaceable camera

そんな名前のカメラが普及した。


Irreplaceable (イレプレイスブル)とは

”かけがえのないもの”意味。

今までのカメラは被写体しか写さなかったが

被写体を取ると同時にカメラを撮影者の姿・表情も写す。

つまり、親が子供を撮った場合

子供の写真が一枚、

その裏側に、その瞬間の

撮影した親の姿がもう一枚。

そんなものを写すカメラ。


ある日、その家族は久しぶりに集まった。

かつて少年だった男は

アルバムをめくっていた。


そこには母に抱かれた自分が写っていて

その写真の裏側には、

それをじっくりとみつめ、

満面の笑みで私を見つめる

父が写っていた。


またアルバムをめくると今度は

父に抱かれた泣いてる自分が写っていて

その写真の裏側には

それをじっくりとみつめ、

大きなえくぼを作り私を見つめる

母が写っていた。


また、アルバムをめくると

小さいランドセルを背負う自分と

眉間にしわを寄せて見つめる

叔父が写っていて、


また、アルバムをめくると

叔父と手をつなぐ自分と

やさしい表情で見つめる

叔母が写っていて、


また、アルバムをめくると

馬鹿なカッコをした自分と

それを面白そうに見つめる

友達が写っていて、


また、アルバムをめくると

恥かしそうな照れた顔の自分と

真剣な眼差しでそれを見つめる

恋人が写っていた。



昔からずっと思っていた。

被写体と撮影者。

そんなふたつのものを

同時に写すことが出来たらと。


この世には本当に写すべき者を

写し出すカメラがない。


Irreplaceable camera。

かけがえのないのは

被写体なのだろうか。


本当にかけがえのないものって

撮影者だったりしないだろうか。


毎回、古い子供時代のアルバムを

見るたびにそう思うのであった。


子供の成長過程のアルバムがあるなら

親の成長のアルバムがあってもいいような。


子供にとって、かけがえのないものは

自分じゃなくて、、、

それを写した人な気がするんだけどな。


ま、たまには知らないおじさんが

混ざることもあるだろうけどさ。



子どもの写真、何のために撮ってるんだっけ？　娘を悲しませてしまった漫画にハッとさせられる
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=6260219